第10号:「最適地生産・メーカーレイアウトのシミュレーション」

「最適地生産・メーカーレイアウトのシミュレーション」

グローバル全体で利益を極大化するためには、以下の3点が重要と考えます。

①最適地生産・メーカーレイアウトのシミュレーション
②コストダウン活動とコストマネジメントとの完全連動化
③海外拠点に対する利益管理システムのロールアウト

今回は、①「最適地生産・メーカーレイアウトのシミュレーション」のポイントについて、議論させていただきます。

最近中国における騒動がマスコミ等で取りざたされており、感情的な意見等も聞こえてきますが、日本企業にとっての中国市場の重要性は中長期的には何ら変化がなく、又中国にとっての日本企業の重要性(雇用や技術移転等)も 何ら変化がないと確信しております。
とはいえ、中国に集中的に進出している企業はChina+1を中長期的に検討しなければならないでしょう。更にグローバル経営を積極推進すべく、弊社も様々な支援をさせて頂きたいと思いを強く致しております。

話は変わりますが、現代自動車は世界最大級の蔚山(ウルサン)工場、中型・大型乗用車輸出用基幹拠点である牙山(アサン)工場から各市場に輸出している印象が強いイメージの企業ですが、近年では海外での生産を拡大しており、現代インディアは20万台以上インドから輸出しています。EON・i10・i20といった小型世界戦略車の基幹工場としているためです。
マルチスズキも10万台以上毎年輸出しており、今やインドは欧州・アフリカ・アジアへの輸出拠点となりつつあります。また日産自動車はタイからマーチを国内に輸入しており、トヨタ自動車はFTA締結を利用してアメリカから韓国に輸出していたりと、販売拠点と生産拠点の関係は多種多様になりつつあります。

その解を得るためにも最適地生産・メーカーレイアウト決定に向けたシミュレーションが欠かせません。現在の企業を取り巻く経営環境は非常に変化が激しく、その変化に対して経営の意思決定を即時実行する必要性が高まっているからです。特に需要変動・素材・エネルギー・人件費・為替といったパラメータの変動が挙げられます。
即時対応するためには、各種パラメータと販売計画・生産計画、ひいては事業計画が連動した仕組みを用いて、因果関係を可視化した根拠のある数値による明確な経営判断を行うことが必須と考えます。
シミュレーションには販売側・生産側双方で複数のパラメータがありますが、経験的には販売側のパラメータを仮決めし、生産側のパラメータを変更してシミュレーションする方が良いと思います。

まず、販売極/国毎の機種別販売計画・在庫計画及び販売促進費計画、極/拠点間の為替レート、関税、物流コストといった販売側のパラメータを仮決めします。

次に生産側は拠点別生産計画・メーカーレイアウト・操業度といった内部環境パラメータと、原材料相場・賃金水準・為替レートといった外部環境パラメータを双方変動させ、製品コストを生産拠点毎に算出・比較して最適な生産拠点候補を抽出します。

特に構成部品の内外製変更、生産拠点変更のシミュレーションが重要と考えます。それらの変更に伴う製造コスト・物流費・関税等のコストシミュレーションを行い、完成品工場の製品コストシミュレーション及び最適生産拠点候補抽出につなげていきます。又、大きな需要変動が予測される際には、操業度コントロールのシミュレーションが必須と考えます。 

設備コストが非常に大きな生産拠点ですと、操業度が損益に与えるインパクトは非常に大きなものになりますので、特に損益・キャッシュフロー(CF)シミュレーションが必須となると考えます。稼働率を上げるにせよ、稼働率を落とすにせよ、大きな経営判断を下すため、利害関係者に対する明確な説明根拠を持っておかねばならないからです。

最適生産拠点候補を元に、販売側のパラメータを変更して販売側の損益・CFのシミュレーションを行い、グループ 全体の損益・CFが最大化される販売拠点、生産拠点、部品供給方法を検討していきます。こういった様々な柔軟性を持ったシミュレーションを行う必要がありますので、大がかりで堅牢な情報システムを構築するよりも、まずは手軽な仕組みでトライをしながら、自社にあった仕組みを本格導入検討していくのが望ましいと考えます。

次回は②「コストダウン活動とコストマネジメントとの完全連動化」について議論させていただきます。

(SCM事業部 副統括マネージングディレクター 吉田 明正)