第2号:【受け身買い】を回避するためには

【受け身買い】を回避するためには

前回は「企業・事業統合にみる失敗の本質!?」というテーマで議論させていただき、その失敗の本質を①:【受け身買い】②:【高値掴み】③:【放ったらかし経営】の3つにあるとご説明しました。第2回の今回は、その失敗の本質①:【受け身買い】についてどう回避すべきかを議論したいと思います。

我々は、【受け身買い】を回避するためには「普段の備え」が重要であり、そのポイントは以下の2つと考えています。

■ポイント① 自社のM&A方針の策定(投資テーマの明確化)
我々は、国内企業、外資系企業双方のM&Aのご支援の経験がありますが、実際の現場で感じる両者の最も大きな違いは明確な方針のあるなしの部分であると感じています。M&Aの方針策定など当たり前のように聞こえますが、日本企業できちんとM&A方針を明確化した上でM&Aに取り組んでいる企業は少数です。逆にM&Aを得意とする外資系企業は方針およびそれに基づく判断基準を明確化しているため、ぶれず、かつスピーディーな意思決定によりM&Aを実現しているのです。売却する外資系企業が3日で承認されたにもかかわらず、買収する日本企業が1カ月以上かかり、外資系企業が別のターゲットに切り替えたといったようなこともよくあります。それでは、方針明確化のために具体的に何をすればいいかというのは以下の3つです。

(1) 投資テーマの明確化
企業のビジョン、戦略に従って、M&Aを行うべき投資テーマを明確化します。例えばどの業界、エリア、規模等を明確化し、その上で具体的企業名をリストアップします。

(2) 統合目標水準の明確化 
ターゲット企業をM&Aする事により自社の価値がどれだけ高められるかについての目標水準を明確化します。例)売上、利益、ROE

(3) リスク許容方針の明確化
投資規模や利益上限損失額等の財務リスク、エリアリスク、人事リスク、環境リスクを整理、明確化します。

■ポイント② ターゲット会社の選定と積極的コミュニケーション
我々は「撒き餌のマーケティングの推進」と呼んでいますが、ただ受け身的に案件が来るのを待つのではなく、自ら日常的に調査、フック活動をしておくことも重要です。具体的には以下の3つの活動を実施すべきです。

(1) ターゲット企業に対し、興味がある旨の軽いコミュニケーションを失礼のない範囲でとってみます。 
ただしこの時点ではこちらからの強引なラブコールは行わないことが重要です。安易にやってしまうと失敗するかまたは 高値づかみのどちらかの状況を招く恐れがあります。 

(2) ターゲット企業から何らかの意思表示(興味あり or なし or 中間的な提携 etc.)に基づきある程度スクリーニングをしておきます。

(3) ターゲット企業が興味を持っている場合は、技術者交流、工場見学といったレベルの交流からスタートし、資本提携も含めた友好関係の構築につながる取り組みを実施します。そして相手からの意思表示がきたら、具体的な話し合いを開始します。

業界、企業により技術系志向の企業あるいは営業系志向の企業、集権型リーダーシップ企業あるいは集団指導体制企業など、企業風土は千差万別です。上記の活動を実施する際にもターゲット企業の状況をきちんと見極めて、風土に合ったアプローチを慎重
に選択することが重要です。

以上、【受け身買い】を回避するため2つのポイントをご説明しましたが、一言で言うと「備えあれば憂いなし、備えなければうまみなし」ということです。次回は2つ目のポイント 【高値掴み】の回避について議論させていただきます。

(事業戦略事業部 バイスマネージングディレクター 草加 好弘)