経営統合に向けた実務支援およびチェンジマネジメント

クライアントが抱えていた課題

数年前に“対等の精神”の思想を元に持株会社方式で経営統合をした大手素材メーカー2社であるが、統合後にシナジーが生まれず両事業会社が従来の考え方のまま経営を行っている状況が続いていた。役員会でも合併前の出身ごとの主張がぶつかり合うことが多く進まない。

また事業会社の配下にある孫会社もそのままそのまま残っており、孫会社同士で機能が重複しているものもあった。シナジー効果・新しい利益の創出・進まないスリム化について、株主から指摘を受け始めており、グループ組織再編の必要性が日に日に増している状況にあった。

レイヤーズのアプローチ

真の一体感の創出、統合シナジーの発現を狙い、グループ内組織再編の検討をスタートした。しかし組織再編の議論は出だしから暗礁に乗り上げた。組織再編に踏み込むことは多くの利害が絡み、また双方が永年培ってきた会社の歴史や思想そのものを変革することを意味し、経済合理性の観点だけでは語りつくせない。

そこで第三者であるコンサルタントが行司役としてファシリテーションを行い、ボードメンバーとの集中合宿形式で検討を進めることとなった。組織再編のスキームパターンは無数に考えられたが、目的合致性や法務・税務の観点からの制約条件を考慮して、3つの代替案に絞込み役員会での議論を進めて行った。

お互いに腹を割った議論を経て、結果として持株会社を解消して完全な経営統合を果たすべく、HD及び事業子会社の3社完全合併という方向性に進んで行くこととなった。

しかし実現をするためには、株主総会での承認決議、複雑な合併に伴う会計処理、社長をはじめとする役員数減、会計や人事等の制度及び情報システム統合など、多くの課題が立ちはだかっている。当社は合併推進委員会の実行部隊としてハンズオン型で参画し、同時多発的に発生するタスクを横断的に推進。組織内や社外ステークホルダーとの多くの調整が必要となったが、当初の予定通りのスケジュールで無事に3社合併を実現するに至った。

成果と顧客満足

3社合併を果たすことで、経営意思決定構造がシンプル化し、機動性やスピード感ある経営と生まれ変わった。これにより遅々として進まなかった多くの統合効率化施策が一気に進むこととなり、その後の利益は大きく上昇していくこととなった。

歴史と伝統のある2社の経営統合だけに、経済的な利点だけでなくお互いの企業文化の発展的融合、携わる人々の感情の共有など、多くのポイントがあったが、合併ビジョンに向かってグループ全体が一体感を持って進んでいくことができたことで、これまでにないユニークかつ競争力ある企業への生まれ変わる大きな一歩となった。

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