対面 × リモート。ハイブリッドな働き方
S.K.
昨年の座談会でM.T. さんはコロナ禍後、「完全リモートの中、お客さまとの関係性を築くのが難しかったのが本音です」と言っていました。今はプロジェクトが変わり、一概には比較できないとは思いますが、変化はありましたか。
M.T.
昨年9月まではお客さまと直接、顔を合わす機会がなかったのですが、来社いただくなど少しずつ対面を増やしていきました。今はプロジェクトが変わり、チームの人数が多くなりました。上司であるマネージャー、後輩5人とよくコミュニケーションを取るので、終日オープンしているオンライン会議とチャットを使い分けています。会議室に頻繁にアクセスして社員間のコミュニケーションを取るように心掛けています。
また、お客さまとは今年7月から週1回、往訪する形でミーティングを開いています。ミーティング自体は1時間なのですが、終日、会議室をお借りして、担当者と対面でコミュニケーションしてきました。オンラインではニュアンスが汲み取れないこともありましたが、対面では細かいニュアンスも感じ取ることができるのでハレーションが起きにくくなりましたね。やはり大事なセッションは対面でやるべきだと実感しています。
M.T.
常設のオンライン会議室以外に工夫した点はありますか。
M.T.
会議室では主に資料レビューをするのですが、どうしても仕事の話ばかりになるので、雑談も大切にしています。お客さまとのミーティングでも積極的な会話を心掛けています。
M.T.
対面で顔を合わせるのと、リモートでは何が違うと感じていますか。
M.T.
少しずれるかもしれませんが、私の一つ下の入社3年目以上は常駐していたので、お客さまと対話する重要性を知っています。一方、入社2年目以下はリモートからスタートしたこともあり、お客さまとの会話に恐怖心があったり、逆に「対面に意味はあるの?」という疑問を持つ社員もいます。ただ、そう感じていた若手も実際、お客さまだけではなく、社員と対面でやり取りする中でリアルの重要性を理解してくれるようになりました。
M.T.
今はリモートが中心なので会うことが特別になり、コロナ禍前と発想が逆転しましたよね。だから実際に会うと「こんなに話が通じるんだ」と目から鱗だったりするはずです。
S.K.
S.S. さんは昨年が入社1年目で、完全リモートで社会人生活がスタートしましたよね。当時は一日中、上司にオンライン会議をつなぎっぱなしにしてもらい、サポートを受けられていたとのことでしたが、そういった経験を経て、どう変化がありましたか。
S.S.
私は1年前、オフィスへ出社する頻度が月1回あるかないかのような状況でプロジェクトを進め、そのプロジェクトも最後までお客さまと会うことなく終了しました。一方で特に問題もなく、対面が絶対ではない感覚もありました。
そして、次のプロジェクトでは週1、2回はオフィスに出社し、チームメンバーと対面で業務を行いました。お客さまとも数回会う中で対面の重要性を実感しましたね。お客さまの考えや感じていることは対面の方が圧倒的に理解できます。ヒアリングでもオンラインと対面ではパフォーマンスが変わり、やはり対面の方が深く聞き出せました。上司の指示も同様です。内容もそうですが、自分が何を理解できていないのかも対面だとその場で掴めます。
M.T.
R.T. さんは部下とのコミュニケーションも多いですが、いかかでしょう。
R.T.
対面の方が自分の説明や指示が伝わっていると感じられます。終日つないでいるオンライン会議室で相槌を打たれるだけだと不安があります。
M.T.
例えば、業務改革で業務フローを作成する上で、資料の現物を見ながら話したり、お客さまのシステム画面を目の前に用意して議論するなど、リアルが重要になります。職場の雰囲気から得られる情報も多いですよね。T.N. さんはお客さまや社内でのコミュニケーションで感じていることはありますか。
T.N.
今のプロジェクトでの打ち合わせは、オンライン上で画面をオフにしながら進めることが多いです。お客さまの声しか分からないので、今の話を聞いて相手の表情や仕草が重要なんだと感じました。
S.K.
4月の入社直後からリモートで研修が始まり、初めての出社はその2か月後でしたよね。リモートでスタートした社会人生活はいかがでしたか。
T.N.
研修内容が充実していたので不安はなかったです。トレーニングしてくださった先輩が同期とコミュニケーションを取れるようにと、オンライン会議室をずっと開放してくれてもいました。終業後に同期で集まりオンライン飲みをして仲を深められて良かったです。
S.S.
私の入社時はコロナ禍に入った直後だったので、そういう取り組みがまだ取り入れられていなかったので羨ましいです。入社2年目の今でも出社すると、上司の紹介で初めて同僚が同期だと知ることがあります(笑)。
T.N.
私の同期は画面越しではよく話していますし、最近は直接会う機会が増えてきたので嬉しいですね。
M.T.
出社とリモートを掛け合わせたハイブリッドな働き方にシフトする中、例えばクリスマスパーティーなど同僚と交流できるレクリエーションについてはどう考えていますか。
T.N.
まだお会いしたことがない先輩方や同期が数多くいます。そのような機会を設けていただけると、大変ありがたいですね。最近、社内での取り組みでラジオ番組風に先輩社員がナレッジ共有や経験を語るFMレイヤーズで先輩方々の話を聞いています。例えば、野球観戦が趣味なら、一緒に行ってみたいですし、業務外でコミュニティーを築ければ、より仕事も楽しくなるはずです。

リモートは社内の知見を集約しやすい
S.K.
コロナ禍前に入社した方々にお伺いしたいのですが、コロナ禍前の方が良かったこと、コロナ禍後に良くなったことを教えてください。
R.T.
今はハイブリッドな働き方なのですが、在宅の日はほとんど残業していません。基本的に出社日はお客さまとコミュニケーションを取り、移動時間のない在宅日は作業に充ててメリハリをつけています。具体的には月曜と金曜は作業し、火曜から木曜は出社しています。
M.T.
リモート時はチームメンバーを含めて定時または残業しても1時間程度で切り上げることが多いです。仕事のペースをコントロールしやすくなりましたね。コロナ禍前は常駐が長く、お客さまとのコミュニケーションを密に取れていました。些細なことでもすぐに気付けましたし、その場で解決することもできました。
M.T.
リモートで断然良くなったのは多くの同僚の知恵を借りやすくなったことです。各領域の専門の上司に対し、「30分だけください」と声を掛けやすくなりました。以前は日程調整や会議室を確保する必要がありましたが、時間と場所の制約が少なくなりましたね。垣根の低いレイヤーズの良さが生きる働き方だと感じています。レイヤーズにはナレッジを共有し、各領域に詳しい先輩社員を後輩社員に紹介しています。若手が気軽に尋ねられる環境を整備すれば、より時間と場所にとらわれないハイブリッドな働き方ができるはずです。
R.T.
確かに以前と比べれば上司に時間を取ってもらいやすくなりました。WEB会議で細かく時間を取ってもらいありがたく感じています。
M.T.
今の上司はオンライン上の終日会議室に様子を見に来てくれたり、相談したいことをチャットでお願いすれば、すぐに入室してくれます。
T.N.
私も上司と頻繁にチャットしながら仕事を進めています。チーム間の連携は朝会や夕会で密に取っています。情報交換もできますし、他チームの上司にも気さくに疑問をぶつけられる雰囲気があり、新人を温かく受け入れ、丁寧に接してくれてありがたいです。
S.K.
出社する機会が増えてきた中、継続していくべきこと、または変えていくべきだと感じていることはありますか。
M.T.
移動時間がなくなったことでプライベートに割ける時間ができました。私は1歳の子供がいるのですが、朝や夜に少し子供の面倒を見て、仕事に戻ることができます。コンサルティング業界はリモートがしやすいので、家庭と仕事を両立する女性にとっても働きやすい業界だと思います。
M.T.
働き方のすみ分けは、今後よりはっきりしてくるはずです。プロジェクトの形態にもよりますが、そこはさらに最適化されていくはずです。ただ、重要な意思決定や重いテーマを話し合う時は対面で膝をつき合わせて話しています。
新たな知を創る手段としてリモートや対面がある
S.K.
シニアコンサルタント以上の方は今後、自分だけではなく、部下を指導する上でどのような働き方がいいのか。そして入社から日が浅いリモート世代の方は、来年以降、入社してくる後輩に向けてアドバイスをお願いします。
R.T.
個人的には出社を前提に、部分的にリモートを採用するハイブリッドがいいと考えています。レイヤーズは客先で泥臭く仕事をするからこそ価値を認めてもらえてきました。リモートが増えれば、レイヤーズの良さが薄れてしまう側面もあるので、直接やり取りしながら成果を出していきたいです。
M.T.
私も対面は大事だと考えているので、対面とリモートをうまく併用してハイブリッドでやっていきたいです。後輩からリモートばかりだと会社への帰属意識が薄くなるということを耳にしたことがあります。そこをどう意識付けするかと言えば、対面でのコミュニケーションが重要になります。対外的にもその場の空気感を知ることが大事ですし、後輩にはどんどん発言を促していきたいですね。
S.S.
リモートでは議事録を取るだけになるなど、お客さまとの関わり方が難しいと感じています。また、名刺交換や客先に何を持っていくかなど基本的なマナーの実践を経験しないまま、社会人2年目を迎えています。後輩には自分の経験を通して、些細なことでもアドバイスしていきたいです。
T.N.
働き方をどちらから一方に寄せる必要はないと感じています。オンラインでも即レスポンスを心掛ければ、信頼関係を築けます。対面ではホワイトボードを使って熱く議論できる良さがあります。仕事内容によって対面とリモートを使い分けていければいいですね。
そして後輩に対しては、隣にいればいつでも聞けると思うのですが、オンラインでは遠慮してしまうかもしれません。自分からコミュニケーションを取れば、聞いてもらいやすくなるのでそこを意識していきたいです。
S.K.
来年、たくさん新入社員が入社するのでよろしくお願いします。
M.T.
これからレイヤーズはさらに規模が大きくなります。『戦う創造集団』というミッションを掲げていますが、それを実現するのはコンサルタントの皆さんです。さまざまな知恵や知見を使いつつ、新たな知を創る手段としてリモートや対面があるのだと思います。先ほど少し触れましたが、レイヤーズには縦割りではないフラットな土壌があります。コロナ禍においては短時間で社内の知見を集約し、アウトプットできる瞬発力がレイヤーズの強みとなりました。オフィスに出社する際は、ハイタッチなコミュニケーションを意識しプロジェクトメンバー間で同じ方向に走っていけるような環境作りをしていきたいですね。結果として、お客さまにとって価値ある答えが出せるような。そういった仕掛けづくりを各々が意識していきたいと思います。
※座談会実施:2021年11月