2012/9/5

第9号:グローバルサプライチェーンで実現する利益の極大化

#トピックス

グローバルサプライチェーンで実現する利益の極大化

日本企業のグローバル化が急加速してるなかで、これまでの各社管理・各社最適から、グループ全体でサプライチェーンを俯瞰して、グローバルレベルでの全体最適を目指す動きが進んでいます。

すなわち、世界レベルでの需要変動、為替の急激な変動、法規制の変更(税制、CO2規制 等)、中国等の労働問題(賃金)、カントリーリスク(政治不安定)や災害の発生等の外部環境の変化に対して経営者は「どこの販売市場に対し」、「どこの部品を使って」、「どの工場で生産すれば」利益が最大化するのか?柔軟に対応すべく、迅速に意志決定をすることが求められているのです。

グローバル全体で利益を極大化するためには、以下の3点が重要と考えます。

■ポイント①最適地生産・メーカーレイアウトのシミュレーション

最適地生産・メーカーレイアウトを決めるためには販売極、生産拠点、利用部品の変更をシミュレーションしますが、その際にはP/L・B/S・C/Fのインパクトまでシミュレーションし、事業計画立案や実績管理に反映させることが必要です。シミュレーションは販売側・生産側双方で複数のパラメータがありますが、経験的には販売側のパラメータを仮決めし、生産側のパラメータを変更してシミュレーションする方が良いと思います。
また、シミュレーションの前提として、各拠点別・品番別のコストが把握できること、さらに各拠点のコストが同じ基準で計算され、比較可能なものでなければなりません。
現実的には全ての拠点の原価計算方法や費目粒度等を統一している企業は少ないでしょうから、各拠点別に計算したコスト情報を共通フレームを用いて加工し、比較・シミュレーション可能な情報にする必要があります。

 ■ポイント②コストダウン活動とコストマネジメントとの完全連動化

 利益を最大化するためには当然ながら各拠点のコストダウンを強力に推し進めなければなりません。そのためにはコストマネジメントとコストダウンを連動化することが重要です。通常、コストは月一回事後で計算し、結果報告してきました。これでは、コスト情報が死亡診断書となって、コストダウン活動に活かせません。
特に、標準原価を採用している会社では、いくら日々コストダウンしても、標準原価が改訂されるまで、原価が変わらないといったことが起きています。これでは、ダイエットして毎日体重計にのっても、いつも体重が同じといったことになり、成果の測定もできなければモチベーションも高まりません。

 ■ポイント③海外拠点に対する利益管理システムのロールアウト海外に生産拠点を持って行った場合、最優先はラインの立ち上げと品質確保になり、コストや利益などに関する管理面は後回しになっている企業も少なくありません。
特に工場全体で利益が出ていれば良しとして、現地の経営者や現地採用の管理者などには製品別や工程・ライン別の収益管理を行い、厳しく利益管理する意識・風土がなく、具体的な仕組みもありません。
利益管理を組織全体で実行するための利益管理システム(仕組み)をロールアウトして定着化させることが急務になります。

以上、簡単にグローバル全体で利益を極大化するための重要ポイントを述べましたが、次回は①最適地生産・

メーカーレイアウトのシミュレーションついて、もう少し詳しく解説していきます。

(SCM事業部 統括マネージングディレクター 鈴木 基)

 

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