自動車部品メーカーECM改革プロジェクト
2D(CAD+紙図面)から脱するためのECM領域のデジタル化を推進

株式会社ヨコオ様の3Dモデルデータ活用を推進した生産性抜本改革プロジェクトのご支援をさせていただきました。
ヨコオ様ではこれまで、二次元図面(紙図面)を中心とした紙文化で、情報連携が人づて、紙書類渡しになっている、という課題をお持ちでした。そこで、3Dモデルと関連データを中心に開発から製造まで徹底的にデータ活用することで、伝達の手間、情報を探す手間、情報の抜けを防止し、製造までの立ち上げ期間短縮や開発手戻りが起こらないようなプロセスの見直しとデータ管理および設計標準の確立を行いました。

成果
  • フェーズ1:3DCAD/ドキュメント管理を立ち上げ、設計部門におけるデータ管理の標準化を実現
  • フェーズ2:設計部門から製造部門への出図管理と変更管理、治具管理に向けたプロセスとシステム機能拡張を実現
  • フェーズ3:設計部門のBOMから製造部門のBOMへの連携、生産管理システムとのインターフェースの実現
お客様の課題
  • 2D(CAD+紙図面)を中心とした紙文化での設計環境が定着していたことから、バケツリレー型の伝達を繰り返し、データ連携の分断が起きていた
  • 作図・設計の基準が蓄積管理されておらず、ノウハウの伝承における課題があった
レイヤーズのアプローチ
  • 課題の明確化、開発管理規定プロセスを遵守する業務要件検討
  • 業務要件とシステム要件の整合性の確立、ベンダーとの調整
  • プロジェクトが確実に推進できるように積極的な関わりを持った支援の実施

「BOMの循環」を作ることで、生産性の効率化を実現したかった

本プロジェクト発足のきっかけを教えてください。

角田さま お客様とのデータコミュニケーションにおいては、3DのCADデータを使ったコミュニケーションを行っていたのですが、その後の社内の量産においては、一度お客様と合意した3DのCADデータに基づいて2次元の図面を書き直し、その2D図面を社内に展開していました。

これには大きく2つ問題があると思っていました。
1つはそもそもの設計者の手間の問題。

2D図面を正とした設計業務

もう1つは“BOM”だと思っています。

BOM(Bill Of Materials)とは

本来であれば、3DのCADデータに基づいてE-BOM、M-BOMを作り、それをERPに渡してあげる、という「BOMの循環」を作ってあげないと生産性の効率化はできません。生産性の効率化ができていない点を問題視して、プロジェクトの発足を呼びかけました。

設計から製造へのデータ連携

現場を説得できるだけの陣容を整え、約3か月でPDMを立ち上げ

レイヤーズにご依頼いただいた理由を教えてください。

角田さま 歴史をたどれば、2008年にSAPを導入しています。そこから10年程かけてロジスティクス・会計を整理していったのですが、いわゆるECMの領域というのは全く手も付けられないでいました。また悩ましいところで、ECMの領域を分かっているIT技術者がなかなかいない業界でして、しかたなくまずは単独で始めておいて、そこから体制を整えるか、ということで進めてきました。

当社には、4つの事業部があります。先ほど申し上げた「BOMの循環」という観点から、その4つの事業をできれば並行的にプロジェクトとして動かしたいという想いがありました。そのため、現場を説得できるだけの陣容や説得性がどうしても必要であり、その観点でレイヤーズさんにお願いしたいと考えた次第です。

MD(Medical Device)事業部で先行して改革を進めた理由を教えてください。

角田さま 一番最初に乗り越えなければいけないヤマというのが設計部門にあるだろうなというのが分かっていました。MD事業に関しては、設計部門からもECM改革をやりたいという意見が出てきたこともあり、「よし、これはもう全社展開するうえでのモデルケースにしよう!」という想いがあったので、積極的に参加するようにしました。

約3か月でPDM(Product Data Management)を立ち上げた時の周囲の反応はいかがでしたか?

角田さま BOMの循環を考えたときに、まずPDMから立ち上げなければいけないというのは当然なのですが、同じ事業部の中でもPDMを立ち上げたことの感覚に関しては、濃淡があったというのが正直なところです。この時点ではまだ生産管理・製造の人たちは、「この人たち何やっているんだろう?」みたいな顔をしていてもしょうがないかなというところがありました。
彼ら自身が「これ、ちょっとやらなきゃ」という意識に変わったんじゃないかなと思います。
割と早い段階で意識が変わったというか、マインドチェンジしてくれたことが一番大きかったです。

プロジェクトを推進するうえで、“現場の信頼を勝ち取れた”

本プロジェクトの参画当初、不安はありましたか?

秋葉さま 正直、本当に不安感しかなかったですね。これから我々は何をしていくのか、これからどんなものを作り上げなくてはならないのか、といったところが全然分からない状態でスタートしたので、見えないものに対する不安感は大きかったですね。

石井さま 「全社に先駆けてMD事業部が一番最初にECM改革を行う全事業部の基礎になる」と聞いた時に、他の事業部に向けて説明ができるのか、知らないことがたくさんあるかもしれない…、という部分に関しては非常に不安を感じていましたね。

プロジェクトメンバー

そうした不安はプロジェクトの中で解消されましたか?

石井さま 何度も会議を実施していく中で、先ほど言ったような不安感を正直にレイヤーズさんにお伝えしていたのですが、そこをちゃんと汲んでくださっていて、途中からはあまり不安を感じずに「レイヤーズさんに相談すれば大丈夫だ」という感覚になっていきました。

秋葉さま ITに関する知識がほとんどない状態でしたので、プログラムの開発会社との会議でもレイヤーズさんが「これはこういうことですよ」と通訳のようにかみ砕いて説明してくれたことで、我々も「あっ、これはこういうことなんだ!」となり、自分の仕事に落とし込んでみて、だんだんと理解できるようになりました。そこから、「じゃあこんなことできますか?」とか「こんなことしたいです」というのもだんだん言えるようになってきたなと感じていました。

レイヤーズに対してのメッセージをいただけますでしょうか。

石井さま 非常に安心させてくださったというか、素直にご相談すればきっと良い方に導いてくださるという安心感、その安心感があったから、不安を抱えながらも進めたなと思う面が強いです。

秋葉さま レイヤーズさんとの契約が終わる時に、我々はもう不安しかありませんでした。それぐらい我々にとっては大事な存在というか、正直感謝の言葉しかないですね。

レイヤーズに対する評価としてはいかがでしょうか。

角田さま レイヤーズさんが離れる直前にメンバーには、「現場の人間の信用をちゃんと勝ち取らなきゃダメだよ、レイヤーズさんはそれができていたよ」ということを強く伝えました。成果云々というよりも“現場の信頼を勝ち取れた”というところにすごく感謝をしたいと思っています。
非常にお力をいただきました。

株式会社ヨコオ

https://www.yokowo.co.jp/
業種
電気機器
従業員数
501~1,000名

株式会社ヨコオは、アンテナ・ファインコネクタ・マイクロウェーブ・先端デバイスのスペシャリスト。独自の先進技術力とグローバルな生産技術力を駆使し、世界市場が常に激動する中、革新的な先端製品を供給しています。

取材にご協力いただいた方

http://角田 達郎%20様

角田 達朗様(トップ写真左から2番目)

執行役員 経営企画本部長
兼 事業リスク管理委員会副委員長

http://秋葉 暁%20様

秋葉 暁様

MD事業部 MD製造部
生産管理課 課長

http://石井 幸江%20様

石井 幸江様

MD事業部 MD製造部
生産管理課

※会社名、肩書きはインタビュー当時(2024年7月)のものです。

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