未来予測を踏まえた成長戦略グランドデザイン策定

その時々のテーマに応じて外部環境変化情報を収集し、各変化の因果関係を整理していくことで、5~10年先の事業環境変化をマクロ環境的視点から予測します。変化要因から自社事業に大きな影響を与える外部要因(ドライビングフォース)を特定し、事業に与えるインパクト評価及びチャンス、リスクの評価を行います。
 
加えてクライアント企業の主要顧客へのインタビュー等を通してペルソナ分析を行い、予測される環境下において主要顧客層における価値観・ニーズ変化の予測を行うことで、顧客ニーズ変化を見越した新たな価値提供や新規事業の検討等、既存事業の変革・新規事業創造の両輪で成長戦略の策定を支援します。

従来の中期経営計画による成長戦略ではVUCA時代に対応できない

予測不可能で変化スピードの速いVUCAの時代において、成長戦略を描くことは非常に難しくなっています。これまで3~5年間のスパンで更新がなされてきた中期経営計画による成長戦略では以下のような課題が発生しています。
 
 a.変化が激しく計画が陳腐化する
  ・変化のスピードが早く、これまで考慮していない事象が多数発生するため、
   3~5年の間で前提となる事業環境が大きく変わり計画が形骸化する。
 
 b.変化への対応力が低い
  ・計画の前提が大きく変わったときに、変化に応じた柔軟な対応が行えていない。
 
 c.成長戦略の描き方が現在の延長線上になっている
  ・現在の延長線上で成長戦略が検討されているため、事業環境が変化することによる成長機会を
   具体的に認識できておらず、成長性が限定的になっている。
 
このような中期経営計画の課題は①自然環境変化、②ビジネス環境変化、③コミュニティ変化、④技術変化の4つの変化が同時進行で急速に起こっており、顧客の購買意思決定基準に大きく影響しています。
 
以上のような変化の中において、従来型の直線的な成長戦略ではなく、環境に応じて柔軟に対応できるレジリエンス型の成長戦略が必要になっているのです。

【図1】顧客を取り巻く環境変化

未来予測による成長戦略策定の重要視点

未来予測は多くの企業で実施されていますが、未来シナリオをベースに成長戦略が策定されていたり、経営の意思決定に活用できている企業は少数で、ほとんどの企業が未来シナリオを事業に活用することができていません。当社では未来シナリオを戦略や事業運営に組み込むことを前提としたご支援をさせていただいており、ここでは押さえるべきポイントについて紹介します。

未来予測シナリオを描いたあと、実行計画まで落とし込む

未来予測を行いシナリオを作成しても、そのシナリオが事業運営に活用できなければ何の意味もありません。未来予測は予測してからがスタートになり、シナリオに対応した実行計画への落とし込みまで行うことが重要です。
 
未来予測はマクロ事業環境と消費者価値観の2つの軸から予測を行います。
予測された未来において自社はどのような企業でありたいかを明確に定めます。そのうえで、ありたい姿から既存事業や新規事業としてやるべきことの洗い出しや、戦略方針を策定します。
 
最終的にやることの優先順位をつけながら、実行計画としてまとめて具体的な活動への落とし込みまで行うことが重要です。

【図2】未来予測の進め方

自社の事業に大きな影響を与える外部要因の特定と影響の評価

未来予測においては、自社の事業に大きな影響を与える可能性のある外部要因(ドライビングフォース)を特定することが最も肝となり、難易度の高い作業となります。
 
当社ではPEST等の切り口から取集した外部要因を以下のフレームワークで整理を行います。象限1に該当した要因は事業に大きなインパクトがあり、かつ確実に起きる事象のため最優先での対策が必要です。また、象限4は発生する可能性がそれなりに高く、かつ自社に大きな影響を与える要因になりますので見逃せない要因となります。
 
この整理を自社の状況に照らし合わせながら影響を確認していきます。一見関係のない環境要因であっても間接的に影響する場合があったり、外部要因の脅威はリスクだけでなく、チャンスになる場合もあるため慎重に見極めを行っていきます。

【図3】ドライビングフォース整理フレームワーク

現実的で脅威的なシナリオをベースに成長戦略を描く

下記の図は2018年に実施した5年後のワークスタイルをテーマとした未来予測の例ですが、「働く場所」が分散すること、「働く主体」がAI中心になることをドライビングフォースとしています。
 
この予測は新型コロナが蔓延する前に実施したもので、当時は今と違って本社オフィスに集まる働き方が主体でした。当時から働く場所は分散していくことが予測され、またAIも発展途上にありましたが、将来的に人の仕事を代替してくることを予測し、ワークスタイルを大きく変えていくことを予測していました。
しかし、当時からすると、働く場所の分散はありえるが、AIの発展はそこまでに至らないと予測され、シナリオ3を現実的なシナリオとして設定しました。
 
このように、その時に選択するシナリオが現実味の薄い脅威のシナリオだと、客観的な根拠が弱く社内を動かすことが難しくなります。まずは、現実的に起こりうる可能性が高く、かつ事業に大きな影響を与えるシナリオを中心に据えて成長戦略を検討していくことが重要です。

【図4】2023年ワークスタイルの未来予測シナリオの例示

未来予測型の成長戦略グランドデザインの策定ステップ

未来予測型の成長戦略策定アプローチとして、最初にCX(顧客視点)、EX(従業員視点)から現状分析を行い、現状の課題点を把握し、変革方針を策定したうえで、未来予測を行い、現状課題を踏まえながら既存事業の変革方針や新規事業開発の検討を行い、最終的に成長戦略として実行計画をまとめて行きます。

【図5】未来予測による成長戦略グランドデザイン策定アプローチ

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