キャッシュフロー経営・CCC

キャッシュフロー経営とは、企業価値向上のために企業が生み出すキャッシュフローに着目し、キャッシュフローを増大させる取り組みを推進することです。特に、運転資本に着目し、運転資本の効率化を目指す取り組みがCCC(Cash Conversion Cycle)です。

CCCは、以下の通り計算できます。
CCC:現金循環日数=売上債権回転日数+棚卸資産回転日数-仕入債務回転日数

資本効率向上を目指した経営を実現するために、ROE・ROICをグループ経営の中核指標として掲げている企業においては、投下資本や運転資本の効率性を高めるためキャッシュフロー経営やCCCの推進が重要です。

レイヤーズでは、各社のROE・ROICの取り組みや資本効率向上の取り組みを踏まえて、キャッシュフロー向上のための管理制度のあるべき姿やキャッシュ効率向上のための具体的な取り組みなどを支援するコンサルティングサービスを提供しています。

資本効率を重視したキャッシュフロー経営の重要性の高まり

日本企業は持続的成長と中長期的企業価値向上のためにコーポレートガバナンスの改革が求められており、2014年コーポレートガバナンス・コード制定以降様々な提言が行われてきました。数値目標として、伊藤レポート1.0では資本効率向上を目指しROE8%以上が求められ、伊藤レポート2.0では資本効率向上に加え将来期待を高めていくことを目指しPBR1.0以上(株主資本以上の時価総額)が求められました。

 

そのような背景の中、資本効率を向上させるためにキャッシュフローを重視した経営の重要性が近年改めて高まってきています。
即ち、ROE・ROICをグループ経営の中核指標として掲げる企業においては、その中期目標達成に向け、グループ全体での事業・SBU(Strategic Business Unit)のポートフォリオマネジメントにおいて、SBU別のROIC・キャッシュフロー・CCC等の向上を如何に図るかといった取り組みが重要と言えます。

【図1】SBU別ROIC管理

キャッシュフロー経営・CCC改善を実現する上での重要視点

キャッシュフロー経営・CCC改善では、全社としてキャッシュフローの重要性を理解し、キャッシュフローを増大させる取り組みを推進することが必要です。
ここでは、キャッシュフロー経営・CCC改善を実現する上で特に重要な視点を3つご紹介します。

 

①経営目標と現場活動施策の紐付け
②トップ・ミドル・現場の意識変革・行動変革
③地道で本質的な改善活動

経営目標と現場活動施策の紐付け

ROE・ROICをグループの経営目標として掲げている場合、事業(SBU)・組織単位に経営目標をブレイクダウンし、かつ構成要素に展開することで、現場の活動レベルの施策と紐付けたマネジメントを導入する必要があります。
これにより、マネジメント指標に関連する現場活動が明確になるため、指標の悪化に対する課題把握や打ち手検討及び実行主体が容易に特定できるようになります。また、経営層と現場が同じ方向を向いて企業価値向上に取り組むことができるようになります。
従って、キャッシュフロー経営・CCC改善も、こうしたROE・ROIC等の経営目標と現場活動施策の中での位置付けを明確化していくことが重要です。

【図2】経営目標をブレイクダウンしたマネジメントイメージ

トップ・ミドル・現場の意識変革・行動変革

CCC改善を行うためには、まずトップから現場まで資本効率向上の必要性、CCC改革活動の必要性を認識する必要があります。

しかし、多くの日本企業はこれまでP/L中心で事業運営を行っていたため、B/Sやキャッシュフローに対する考えが乏しく、重要性を認識していないことも多く見受けられます。
従って、B/Sやキャッシュフローに対する啓蒙活動や、CCCを業績評価指標に組み込むといったマネジメント制度の見直し等による意識変革を同時に行いながら、行動変革につなげていくことが重要です。

【図3】意識の変革と行動の変革

地道で本質的な改善活動

CCC改善には、体質改善・特効薬の2つのアプローチが考えられますが、本質的なCCC改善のためには、体質改善アプローチを推進すべきです。

 

体質改善アプローチにおいては、例えば得意先に対して回収条件見直しやサービスレベル見直しの交渉を行う、仕入先に対して支払条件見直しや納入リードタイム短縮の交渉を行う、など地道で骨の折れる活動が多く含まれます。また、販売予測精度の向上など、デジタル化を推進することが必要なものも含まれます。

 

多数の製商品や取引先を抱える中で、一つ一つの改善を推し進めることは、非常に労力を要するものではありますが、前述したようにトップから現場までが一体となり、企業価値向上に向けて戦略的・継続的に取り組むことが持続的な企業体質の改善において極めて重要となります。

【図4】体質改善アプローチと特効薬アプローチ

レイヤーズのキャッシュフロー経営・CCC改善の検討ステップ

キャッシュフロー経営・CCC改善は、以下のステップで推進していきます。

 

STEP1:全社領域別の目標設定、領域別改善方針の設定
STEP2:領域別の具体的施策の立案、施策別目標の設定
STEP3:領域別の実行計画の策定
STEP4:改善活動の実施、進捗管理

 

推進においては、CEO・CFOが責任者やオーナーとなり各部門やグループ会社を巻き込み、またタスクフォースを組成して、各部会に入り込んで施策検討を促進していくことが重要となります。

【図5】プロジェクト体制イメージ

お仕事のご相談や、ご不明な点など、お気軽にお問い合わせください。
セミナー開催予定など最新ニュースをご希望の方はメルマガ登録をお願いいたします。