2022/11/2
Forbes Japanにタイアップ掲載/日本型「義しき経営」とは何か 日本発コンサルティングファームが目指す支援のあり方
「日本企業を強くする」という使命を掲げ、日本文化や風土に即した日本型経営のよさを見直し、組織を支えるミドルマネジメントを徹底的にサポートする独自路線を歩んできたレイヤーズ・コンサルティング。そんな独自の方針を打ち立て、同社をけん引してきた杉野尚志代表取締役CEOに話を聞いた。
日本文化のよさを生かした日本発のコンサルファーム
日本文化・日本風土に即した経営コンサルティングを目指すなど、コンサルティング業界のなかで独自の道を歩むレイヤーズ・コンサルティング。1983年の創業以来、名だたる大手企業を支援してきた日本発の独立系コンサルティングファームとして、確固たる地位を確立している。
同社のコンサルティング領域は幅広く、新規事業開発、グループ・グローバル経営管理、マーケティング・営業改革、業務改革、サプライチェーンマネジメント、ヒューマンリソースマネジメント、DX戦略など、総合コンサルティングファームとしてクライアントの課題解決を図ってきた。いまでは日本発の総合コンサルファームとして知られる存在だが、創業者である杉野尚志は創業からの流れを次のように話す。
「アーサーアンダーセン(現:アクセンチュア)で、当時としては異例なシステム系のコンサルティングに従事し、その後、仲間とレイヤーズを設立しました。創業間もないころは、新規事業のコンサルティングが中心で、コンサルティングに不可欠な経営学は米国が最先端ということもあり、外資系ファームの手法を取り入れていました。しかし、事業を推進していく過程で多くの出会いがあり、日本型経営のよさを再発見するようになり、クライアントへのコンサルティングはもちろん、自社に対しても日本文化や風土に即した経営を実践しています」
杉野が指摘する日本文化・風土とは多岐にわたるが、代表的なものとして、鎌倉時代からの「御恩と奉公」、フェアプレー精神を徳のレベルまで昇華させた「武士道」、近江商人に受け継がれてきた売り手・買い手・世間よしの「三方よし」の精神など、先人たちが磨いてきた精神文化がある。これらのエッセンスを生かし、レイヤーズ・コンサルティングは「義(ただ)しき経営を粋な心でしなやかに実行すること」を掲げている。
「『義しき経営』は、具体的には中長期的企業価値向上や顧客や社員の満足度向上、社会的責任・貢献を指します。そして、『粋』とは日本人がもっているよいところを集め、凝縮して昇華させたもの。粋だから、変革できる。『しなやか』だから、生き残れる。我々はそう考えています」(杉野)
「ホームコンサル」として長期的にクライアントを支援
日本文化を再評価することで経営に役立てる。そんな戦略で成長を遂げる同社が実践するコンサルティングとはどのようなものなのだろうか?キーワードを元に、その方針を探る。
まず、同社が掲げるのが「戦う創造集団」というパーパス(存在意義)。イノベーションが起こらない組織は衰退し、戦っても負けてしまう弱い組織も滅亡するという考えのもと、自らが戦う創造集団として、クライアントが激しい環境のなかで勝ち残るパワーエンジンとして支援することを課している。
「戦う創造集団になるために不可欠なのが、仕事に対する『熱き想いと冷徹な計算』です。コンサルティングを実践していくうえで新しいこと、新しい価値を生み出していくという情熱が重要。その一方で、新しい価値創造は冷徹な計算がなければ実現できないと考えています」(杉野)
クライアントに対するサービスのあり方は、「実行主義」「ミドルアップ・ミドルダウン」「ロングリレーションシップ」を貫く。提案書や報告書などで終わるコンサルティングではなく、営業や生産、開発などの各現場を重視する「実行主義」で、現場・現物・現実の三現主義に基づいて現場密着型のコンサルティングを展開している。
そして、日本型経営に合致した独自のコンサルティングとして、経営トップの想いを確認しつつ、「ミドルアップミドルダウン」を用いている。その理由は明快だ。日本企業が成長してきた原動力はミドルマネジメントにあるという考えから、現場で指揮を振り、実行していく中間管理職をターゲットにコンサルティングを行う。中間管理職が腑に落ちるまで議論を行い、納得したカタチで施策を実践していく。そんなミドルとの密接なパートナーシップが成果へと結びついているのだ。
「ロングリレーションシップも日本的経営のよさを取り入れた方針です。日本企業は労使の関係や取引関係などを見てわかるように、長いお付き合いをする風土があります。こうした日本のよさを生かし、長きにわたって支援していく方針を掲げています。言うなればホームドクターならぬホームコンサルとしてクライアントを支えています」(杉野)
BPOなどの新規事業で事業会社の生産性向上を図る
明確な方針を掲げ、大企業を中心に質の高いコンサルティングを提供しているが、それを可能にしているのが人財育成である。同社の人財育成の基本は、OJTとOFF-JTを交互に繰り返して、学んだ知識を現場で最大限に活用できるようにすること。その学びの場として機能しているのが社内「塾」だ。同社には各分野に精通したコンサルタントが数多く在籍している。そうした専門的な知識を身につけたコンサルタントが講師となってスキル向上を図っている。
また、同社は株主などの意見に左右されない完全自治権を厳守するために非上場を貫いてきたが、一方では有識者の意見を取り入れるためにアドバイザリーボードを導入している。そのメンバーには日本を代表する錚々たる経済人が名前を連ね、こうした見識者のアドバイスを受けることで成長してきた。コンサルティングファームの最大の財産は「人財」であるが、社内のみならず社外にも優れた人財を配して独自の道を歩んできたといえるだろう。
そんな同社が目指すのは事業の拡大と新規事業の強化である。現在は400人体制だが、3年後には1000人体制の確立や社員の報酬を1.5倍〜2倍にするなど具体的な数値を示す。そして、将来に向けて新たに取り組んでいるのが新事業への進出である。
「従来のコンサルティングの提供だけでは支援できる範囲も限定的ですので、新しい支援策としてBPOを新事業として立ち上げました。多くの企業は生産性向上が大きな課題ですが、解決の障壁になっているのがルーティンワークに膨大な時間を割いてしまっていること。そこで、ルーティンワークから解放して、施策づくりなど創造的な業務に時間を使えるようにするための事業を社外の企業と連携してスタートさせました」(杉野)
コンサルティングファームとして新しい支援のあり方でクライアントの成長を目指すレイヤーズ・コンサルティング。日本発のコンサルティングファームは常に進化を求めて挑戦し続ける。
風通しのよい社風と学び合う文化のなかで自社の理念を具現する若きコンサルタントたち
クライアントに寄り添い課題解決を図る三現主義を実践
「日本企業を強くする」を使命に、「三現主義」を掲げるレイヤーズ・コンサルティングのコンサルタントたちのフットワークは軽い。ある時はクライアントの本社オフィス、ある時は工場や子会社と、あらゆる現場に出向いて課題を発見し、現場責任者と議論を重ねて問題解決を図る。
そんな同社の伝統は先人たちから受け継がれ、若手コンサルタントは日々、実践する。しかし、ハンズオンを貫くコンサルティングはクライアントとの距離が近いが、時には相手に耳の痛いことも進言しなければならない。
「当社には『天下御免のレイヤーズ』というフレーズがあります。これは業界やお客様の常識に捉われずに、最終的にお客様のためになることは、従来の業務の進め方などを壊して再構築する当社のコンサルティングのあり方を表したものです。当然、お客様から反発されることはありますが、私たちの使命は真にお客様のためになるコンサルティングです。時には憎まれ役も買って出るのは、当社では当たり前の行為です」そう語るのは2015年入社の堀 優磨。
融資だけでなくより幅広い分野からクライアントを支援したいという理由で日本を代表するメガバンクから転職した。入社7年目ながら現在は複数のコンサルタントのマネジメントをするシニアマネージャーとして活躍する。
コンサルタントとして製薬会社の営業改革を皮切りに、会社合併にかかわる新しい会計管理の制度づくりや大手素材メーカーの業務改革を手がけ、その後は複数のコンサルタントを率いるプロジェクトマネージャーとして大手自動車メーカーのインフラ基盤の構築などを担当するなど、数多くの案件を経験してきた。
そしてもう一人、若手ながらマネージャーとして活躍する梅本 理緒は、堀とは異なり、1社のクライアントに長い期間、密着しながらさまざまなプロジェクトにかかわってきた。
「新卒で入社後、ある自動車部品メーカーのプロジェクトに参加し、まずは基幹業務改革に取り組みました。最初は、お客様である自動車部品メーカーの社員の方たちに『自社のありたい姿』を考えていただき、目指すべき企業像が定まると、その実現に向けた基幹業務プロセスのプランニングと実行を推進してきました。とはいっても、お客様にとってはなかなかイメージがわかないので、同業他社の取り組みなどを提示しながら、約5年、さまざまなフェーズで組織改革を支援してきました」
梅本は就職するにあたり、社会貢献できるボランティア的な仕事に就こうと就職活動をしていたが、CEOである杉野の「お客様と共振しながら支援する」というビジネススタイルに共感し、事業会社を支援することで社会貢献をしようと入社。そして、いままさにクライアントと共振しながら成長をサポートしている。
長期的な視点からクライアントを支援
同社は、クライアントとの距離と同様、目線も大切にしている。コンサルティングは上から目線のアドバイスをするイメージをもたれがちだが、クライアントと目線を同じにして広い視野からの支援を徹底する。ほんの一例だが、工場などの現場に赴くときは同社のロゴが入った作業服を着て出向き、クライアントと同じ目線で議論を重ねるという。
「コンサルタントという職業はドライに見られがちですが、当社はお客様とウェットな関係性を築いています。例えば、お客様との飲み会に参加したり、ゴルフを一緒に楽しむなど、人間的なつながりが信頼関係を築くことになり、プロジェクトの成功につながっていると実感しています。こういったお客様とのお付き合いも日本的な経営やコンサルティングを実践する当社ならではの特徴だと思います」(梅本)
先述したようにクライアントの現状を否定する発言もしなければならない。そんなときにも、強固な人間関係を築いているからこそ、相手に真意が伝わるのだという。まさに方針のひとつである「熱き想いと冷徹な計算」の実践である。
「ロングリレーションシップも現場で重視する価値基準です。現時点の課題解決だけでなく、風土改革を行いながら5年後、10年後を考えた時に、何がお客様にとってベストなのかを常に考えながら答えを選択しています。そういう意味では、まさに『ホームコンサル』という意識をもって仕事に臨んでいます」(堀)
このホームコンサルという意識は、レイヤーズ・コンサルティングのコンサルタント全員が共有する点だ。梅本も長いスパンでクライアントの支援を考える一人。そして彼女が考える「クライアントファースト」のカタチが、同社ならではのコンサルティングのあり方を物語っている。
「究極のクライアントファーストとは、私たちコンサルタントが入らなくても、お客様が自社内で問題解決をしていく風土、自社内で回っていく人財づくりや仕組みをつくることだと考えています」(梅本)
学び合う文化やオープンな社風が人財を育てる
ふたりのように、コンサルタントたちが自社の理念や方針を自分の業務に落とし込んで実践するのも同社の特徴である。こうした理念と一致した業務が行われている背景には、経営陣と現場の距離の近さや、さまざまな場面で学び合うという風土が影響している。その代表的なものに「塾」がある。会計、ICT、戦略人事など、さまざまな領域に精通したエキスパートが講師を務めて専門知識や最新動向はもちろんのこと、実際の現場で実践できる知識・ノウハウを教えるというものだ。また、「タスクフォース」と呼ばれる活動もある。「強くて、良い会社」を掲げ、それぞれ有志が集まり、「採用・評価」「エンゲージメント」「ブランディング」「社内DX化」などさまざまなテーマの施策立案・推進を行っている。
「不得意な領域のプロジェクトにかかわった場合は、すぐにレクチャーを受けにいけるのがありがたいです。そんな風通しのよさがオールラウンドなコンサルタントを育んでいるのだと思います」(堀)
しかも、マネージャーとメンバーが毎週、仕事のみならず、プライベートも含めた幅広いコミュニケーションの場として「1on1ミーティング」を実施しており、「メンター制度」も導入している。そうした仕組みを通じて、マネージャーとメンバーのタテの関係、メンバー同士のヨコの関係、さらにメンターを通じたナナメの関係がうまく機能し、社内活性化が図られている。
「とにかく一体感のある会社です。そんな雰囲気のなかで自分の興味のある領域を学ぶことができるので、キャリアの描き方も主体的に選ぶことができます。私は入社以来ずっとメーカーのお客様の組織改革をお手伝いしてきたので、今後も製造業の支援をすることで日本のものづくりを元気にしたいです」(梅本)
クライアントに寄り添いながらさまざまな課題解決を図ってきた堀と梅本。その表情は「日本企業を強くする」という使命感をもって第一線で活躍するコンサルタントとしての自信に満ちあふれている。
レイヤーズ・コンサルティング
杉野尚志(すぎの・たかし)
代表取締役CEO。アーサーアンダーセン(現:アクセンチュア)を経て、1983年にレイヤーズ・コンサルティングを設立。SCM改革・ECM改革、グローバル経営管理制度の構築・導入、会計システム構築、成長戦略構築、新規事業開発、業務改革、DX推進等のコンサルティングを多数行う。
堀 優磨(ほり・ゆうま)
シニアマネージャー。業務改革、企業風土改革、大規模プロジェクトマネジメント等のステークホールダーが複雑に絡み合うプロジェクトを主戦場とする。それぞれの企業がもつ文化や歴史と伝統を大事にしながら、次の5年、10年を見据えたコンサルティングをすることを心がける。
梅本 理緒(うめもと・りお)
マネージャー。製造業のクライアントを中心に基幹業務改革やシステム導入支援に携わってきた。現場と経営両方の声に耳を傾けながら、会社のあるべき姿を描くところから最終的には現場の業務を変えるまで、現場密着のプロジェクト推進を行ってきた。