2019/9/5

パフォーマンスを最高度に引き出す働き方改革~ストラテジック・ワークスタイル・デザインのすすめ~第3回 データアナリティクスの活用による組織パフォーマンスの向上施策

#メディア掲載

※『月刊人事マネジメント2019年7月号』掲載

株式会社レイヤーズ・コンサルティング
HR事業部 ディレクター  今泉 洋之

データアナリティクスの活用

真の働き方改革とは、「人と組織のパフォーマンス向上」を目指すものであると考える。効率化だけでなくデータアナリティクスの活用による高度化も今後の大きなキーとなる。組織として最大のパフォーマンスを実現していく上で、高いアウトプットを出せる人財をどう採用し、いかに育成し、どのように配置していくのかが人事として最も重要な施策となる。

①採用への活用:ポテンシャルアセスメントの精緻化

採用業務そのものの目的は、組織が求めるスペックの人財をタイムリーに採っていくこと、この一点に尽きる。これは業種業界の別は問わない。では、データアナリティクスを採用業務にどう取り込んでいけば、求める人財を多く採用できるのか。結論から言うと、「多変量解析」と「深層学習」の両面から採用すべき人財をモデル化していくという考え方である。
まず、「多変量解析」は、採用候補者の履歴書・職務経歴書に記載されている定量項目や採用面接時の評点スコアおよび適性テスト等の数値データを構造化データとして取り込み解析をしていく。
一方、「深層学習」の方は、履歴書・職務経歴書の記述部分、採用面接時のフィードバックコメント等定性的な項目に対して、自然言語処理エンジンにより構造化データ化し、画像分析等精度の高い深層学習を行っていく。
「多変量解析」により、高いパフォーマンスを出せる人財への適合性寄与率を算出し、もう一方の「深層学習」により、データを写像変換で変数化し適合度を特定した上で、最終的に採用すべき人財をモデル化していく。モデル化された人財像をベースとして、人事採用担当者は候補者に対しても同様の分析を行い、モデルとのGAPをもとに採用の可否を判断する。その結果、スピード感を持ち高い精度で採用活動を実現することができる(図1)。

 

【図1】ポテンシャルアセスメントの精緻化

②育成への活用:有効施策(OJT)の明確化

次に、高いパフォーマンスを出すことのできるポテンシャル人財をいかに発掘し育成していくかについて述べたい。ステップとしては、データを収集し、そのデータを分析し、育成施策へ落とし込み実行していくという3つである。

まず、「データ収集」のステップでは、『人財の特徴』『行動特性』『環境条件』の3つの異なるカテゴリーから、可能な限り詳細なデータ項目を収集していく。次に、それらのデータに対して、多変量解析による分析処理を行い、あらかじめ設定した基準を上回るハイパフォーマーに共通する因子を「データ分析」のステップにおいて抽出していく。一番重要な「育成施策への落とし込み・実行」という最後のステップでは、どのような人財属性を持ち、どのような就業環境であればハイパフォーマーとして育っていくのかについてのポイントを明確化した上で、育成体制や施策に具体的に落とし込み、現場にて実行していくことが、効果的にヒトを育成することにつながっていく(図2)。

 

【図2】有効施策(OJT)の明確化

③配置への活用:忖度なしの人財マッチング

最後に、パフォーマンスが最大化する最適な「人員配置」について述べたい。ビジネスそのもののスピードが加速している昨今のビジネスマーケットにおいては、より早くより高いパフォーマンスを出せる人財の配置は極めて重要度が増してきている。『何となく』『思い込み』『主観』で『熟慮』を重ねた上で『年に1回』の人事異動によって動かしていく従来型の人員配置ではなく、今後はデータによる『客観的』な判断、必要なタイミングに素早く判断する『アジャイル』の考え方で、人財を配置していくことが求められる。以下、皆さんの身近にある例で具体的にご説明したい。下記のような異なる3つの仕事において、それぞれ人財を配置したいとする。

Ⅰ.新規プロジェクトチームのリーダー
Ⅱ.急成長している事業のリーダー
Ⅲ.安定収益をあげている事業の責任者

Ⅰ、Ⅱ、Ⅲで求められる人財要件(スキル、経験、コンピテンシー、性格etc)は当然異なるはずで、それぞれの人財要件をベース、タレントマネジメントシステム(人財DB)で人財の検索をする。その結果、候補として、Aさん・Bさん・Cさんの3名がリストアップされる。最終的に、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの仕事に対する3名の適合率・適合順位を見ながら、組織として最高のパフォーマンスが出せる組み合わせを決定し配置していく、という考え方である(図3)。

 

【図3】忖度なしの人財マッチング

タレントマネジメントシステムの構築が鍵になる

組織のパフォーマンス向上におけるデータアナリティクスの活用では、お気づきのように、大きな鍵となるのは「タレントマネジメントシステム(人財DB)の構築」である。つまり、ツールだけでは効果的な分析と施策立案はできないということである。タレントマネジメントシステムの構築においては、人事部だけではなくトップマネジメントや現場も巻き込んでいくこと、陳腐化しがちなヒトのデータを常にアップデートしていく仕組み作りがポイントとなる。

 

今泉 洋之:株式会社レイヤーズ・コンサルティング HR事業部 ディレクター

大学卒業後、人財コンサルタント等を経験しながら、レイヤーズ・コンサルティングに入社。人事部門業務改革、組織改革、評価・報酬制度構築、サクセッションプランによる人財育成・研修企画等のコンサルティング経験に加え、コーポレート部門における人事実務業務全般(採用、評価、報酬、配置、育成etc)も多く経験している。
Mail: imaizumi@layers.co.jp

「第1回  真の働き方改革とは?~本来働き方はビジネスに従う~」

「第2回 ストラテジック・ワークスタイル・デザイン ~働き方の7つのドライバー~」

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