2019.2.26

デジタルレイバーを働かせるために

成功裏にRPAを導入するための要諦

セミナーレポート

セミナーテーマ 成功裏にRPAを導入するための要諦

株式会社レイヤーズ・コンサルティング
DX事業部
副統括マネージングディレクター
山本 和幸

「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(働き方改革関連法)」が、2019年4月から段階的に施行される。「長時間労働の上限規制ができること、有給休暇取得の一部義務化となることなどが大きく変わるポイントとなります。そのため、これまでと同じ働き方のままでは、求められる変化に十分に対応することはできません。このように変化する環境の中でどのように働き方を変え、生産性を上げるのかが問われています」と、経営コンサルティング会社のレイヤーズ・コンサルティングの副統括マネージングディレクター山本和幸氏は話す。

 

山本氏は、デジタルテクノロジーを活用し企業の経営・運営の在り方を根底から変革させる、デジタルトランスフォーメーション分野のコンサルティングに従事する。その立場から、新しい労働力として期待されるソフトウエア型ロボットのRPAを導入する企業の現状から話を始めた。

 

「RPAの導入を進めている企業から、RPAの構築がうまくいかない、導入したものの働き方改革の面で成果が出ていない、といった声をよく聞きます。また、業務を知る現場レベルが主導してRPA導入する方針を出している企業が多くありますが、日々の業務を多く抱える中で現場の社員の方が業務のかたわらでRPAのスキルを身につけることは大変です。RPAで何をどのように自動化するのか、判断しかねている企業も少なくないようです」

業務を標準化してニーズに合ったRPAを開発する

RPA導入のポイントは企画段階で生産性の目標を設定し、専門家を巻き込んだ体制にすることだ。人がやらなくてもいい仕事や単純な仕事をRPAにさせ、それによって空いた時間を付加価値の高い業務に注力する。業務改革の考え方と基本は同じという。「なんとなく導入しただけではRPAの効果は得られません。部門ごと業務ごとに目標を設定し、達成度合いを可視化して共有することが大事です。RPAの導入にあたり、情報システム部門が主導する企業も増えてきましたが、構築や導入支援という点で全社的なニーズに追いついていけないケースも多く、RPAの専任の役割を設置したり、業務部門とうまく連携して推進することも必要です」と導入段階でのポイントを付け加えた。

 

設計・構築のフェーズでも気をつけなければならない点は多い。効果を上げるには業務の標準化を行い、業務のニーズに合ったRPAを設計すること、RPAで自動化させる業務の優先順位を決めることが重要なポイントだという。また、ロボットの開発を標準化しないままRPAを導入すれば、構築の工数が増え、品質も低下する。開発を標準化すれば、初期導入時の開発コストはかかってしまうが、維持管理や機能拡充期になればコストの最適化が図られる。

 

山本氏は導入後の課題も指摘する。「生産性が上がったけれど、その先はどうすべきなのか、曖昧にはできません。運用、保守、利用の促進までフォローする体制を整備する必要もあります。RPAを導入すると自動化は進みますが、そのままでは人の空き時間が増えるだけとなるため、創出された時間を集約して役割分担を見直し、仕事の再配分をきちっとやることが大切です」

 

RPAに関わる事例として注目されているのが、AIを使った文字認識技術のAI-OCRと連携させた技術だという。「顧客から紙で受けた情報を手動で情報システムに入力している企業はすくなくありません。AI-OCRで読み取りデータ化して、そのデータをRPAがチェックし情報システムに入力することで入力業務の8~9割が自動化でき、大幅に効率を向上することができます」と話を続けた。RPAを取り巻く環境は、ますます広がっていくことだろう。

※2019年2月26日 日経電子版主催「普及フェーズに入った新時代の労働力『RPA/AI』がもたらす生産性革命」にて講演。

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