MaaS(Mobility as a Service/マース)
MaaS(マース)の読み方と概要
MaaS(読み方:マース)とは、「Mobility as a Service」の略。従来の交通手段を単なる移動手段としてではなく、各種サービスと統合し、利便性を向上させる概念を指します。鉄道・バス・タクシー・シェアリングエコノミーなど、複数の交通手段を一つのプラットフォームで予約・決済できるようにすることで、ユーザーがスムーズかつ効率的に移動できる仕組みを整備することを目標としています。
用語の由来
MaaSという略語は、クラウドサービスの概念である「〜 as a Service」から派生しており、2010年代半ばに欧州を中心に広まりました。人口構造の変化や都市部の渋滞・環境問題を背景に、公共交通やシェアリングサービスを高度化することで、持続可能な社会の実現を目指す機運が高まっています。
MaaSが注目される背景
MaaSは、移動の最適化とサービスの一体化により、社会全体のコスト削減や環境負荷低減に寄与するとされています。国土交通省の調査(国土交通省「交通政策白書」2021年)によると、都市部における公共交通利用率の向上と個人の車両依存度の低下は、CO₂排出量削減の有効な手段であるとされています。さらに、欧州委員会(European Commission)の報告書でも、MaaSプラットフォームの導入により交通渋滞と大気汚染が減少する可能性が示唆されており、MaaSが多方面から注目される主要な根拠となっています。
今後の課題と展望
MaaSが持つポテンシャルを最大限に生かすには、複数の公共交通機関や関連事業者間でのデータ連携や料金体系の標準化が必要になります。さらに、各地域の交通インフラや利用者の移動ニーズを正確に捉えた上で柔軟にサービスを提供する仕組みを整備することも求められるため、技術面だけでなく、法整備や自治体の理解など、多様なステークホルダーの協力・連携が持続可能な交通サービスの実現には不可欠です。