2012/10/15
第12号:コストダウン活動とコストマネジメントとの完全連動化(その2)
②コストダウン活動とコストマネジメントとの完全連動化(その2)
グローバル全体で利益を極大化するためには、以下の3点が重要と考えます。
①最適地生産・メーカーレイアウトのシミュレーション
②コストダウン活動とコストマネジメントとの完全連動化
③海外拠点に対する利益管理システムのロールアウト
今回は、②コストダウン活動とコストマネジメントとの完全連動化のポイントについて、述べさせていただきます。
利益を最大化するためには、当然ながら各拠点のコストダウンを強力に推し進めなければなりません。しかし、現実には現場でのコストダウン活動と原価管理部門や経営層のコストマネジメントが連動しておらず、コストダウンが思うように進まないケースが散見されます。
コストダウン活動とコストマネジメントの完全連動化には、以下のポイントがあります。
先週に引きつづき、今週は(2)プロセス連動について解説します。
(1)製品連動
(2)プロセス連動
(3)データ連動
(4)タイミング連動
(2)プロセス連動
コストダウン活動のPDCAを行うに際しては、商品企画→設計→設計試作→量産試作→量産→販売→アフターサービスといった一連の製品連動でのコストダウン活動と、その活動を定量的に評価・判断するコストマネジメントのプロセス連動が重要です。
すなわち、製品軸での連動に従い、上記の一連のプロセスごとにコストダウン投資とその効果をシュミレーションしながら目標原価を設定し、活動の結果としての実際原価を計算して目標原価と実際原価のギャップを製品別・費目別また機能別・ライン別に分析し、課題と原因を明らかにする。そして、これを部門別のコストダウン目標として提示し、各部門はこれに従い具体的なコストダウンアイテムを立案しこれを実行し、結果を部門別・製品別に集計してチェックし、これをもとに各部門はコストダウン活動を実施する。この一連の計画・着地見込み・実績管理のプロセスがコストダウン活動と連動することが大切なのです。
さらに、プロセス別のみならずプロダクトライフサイクル収支や事業別・カンパニー別、ひいては全社のP/LやC/Fで見ることで、開発・生産・販売拠点の見直しや統廃合など経営レベルでの抜本的コストダウン活動を行い、コストマネジメントとコストダウン活動の更なる連動を行っていきます。
当たり前のようですが、現実には例えば量産以降の原価把握においては、年1回改定される標準原価を使用しており実際原価を把握していない企業であれば、コストダウン活動の結果が実際原価として把握されないため、コストダウン活動とコストマネジメントが連動されていないことになります。
次回は引き続き②「コストダウン活動とコストマネジメントの完全連動化」の3つ目のポイント(3)データ連動について、議論させていただきます。
株式会社レイヤーズ・コンサルティング
SCM事業部
マネージャー
緒方 美樹