2013/3/5
第16号:グローバル競争での1,000倍環境変化
グローバル競争での1,000倍環境変化
日本企業は海外へ急速に進出し、グローバルで戦っていますが、グローバル企業として思うように成長していない現実があります。
これは、日本企業にとってグローバル競争が、国内と比較して分かりやすく言うと『1,000倍の環境変化』があり、企業がその変化に対応できていないからだと考えます。
1,000倍の環境変化とは
日本企業が海外へ進出すると、今までより、
- 「競争」で10倍
- 「顧客」で10倍
- 「自社」で10倍
とそれぞれ10倍の複雑さと向き合わなければなりません。即ち10×10×10で『1,000倍の環境変化』に対応した戦いをする必要があります。
競争環境での『10倍』とは
例えば、競争者数は、欧州・米州・中国・アジアに進出となれば4倍となり、競争次元も、日本の品質・納期中心から、更にコスト・人脈・規制等と2倍以上になり、結果として、競争環境は『10倍』以上の複雑さとなります。
顧客環境での『10倍』とは
例えば、進出国が、欧州、米州、BRICs、ASEAN等の10か国以上になれば、それ伴い、顧客セグメント・顧客ニーズ・流通形態等の顧客環境は、優に『10倍』以上の複雑さとなります。
自社環境での『10倍』とは
自社環境は、モノの分散×ヒトの分散×カネの分散でその複雑さが決定されます。例えば、日本、欧州、米州の3極体制で、モノ・ヒト・カネを配置すれば、自社環境の複雑さは、3×3×3で『10倍』超の複雑さとなります。
『1,000倍の環境変化』に対する3つの対応
こうした『1,000倍の環境変化』の中で、日本企業が勝ち残っていくためには下記の3つの対応を進めることが重要と考えます。
1.世界で通用する製品・サービス開発
- グローバルダントツ製品の創出
- ローカルの消費者実態を踏まえたマーケットインでの製品開発(ローカルカスタマイズ)
- 上記を実現するための開発体制、開発予算の組み替え、強化
2.現地の優秀な経営者の登用
- トップクラス人材の発掘
- 理念(イズム)の共鳴を前提にした権限移譲
- 経営者を奮い立たせる業績評価と報酬
3.コーポレートガバナンス
- 『経営者を駆り立てて結果を出させる』仕組み(経営者をその気にさせるシステム)の構築
- リスク・コンプライアンスマネジメント
次回は、これらのうち、特に『経営者を駆り立てて結果を出させる』仕組み、即ち、
- グローバルでの経営計画策定
- 経営トップから現場までのコミットメントの連鎖、コミットメントの制度化
- KPIマネジメント
- グローバル人材を奮い立たせる業績評価と報酬決定
をいかに行い、日本企業が勝ち残っていくための成長戦略を支えるかを解説いたします。
株式会社レイヤーズ・コンサルティング
経営管理事業部
統括マネージングディレクター
真貝 勝