MBO(Management Buyout)

MBO(Management Buyout)とは

MBOとは、「Management Buyout(マネジメント・バイアウト)」の略で、企業の経営陣が自社(または一部の事業)を買収し、経営権を取得する手法を指します。買収の主体が現経営陣であるため、組織の内情を理解した上での意思決定が可能であり、買収後の運営にも一貫性を持たせやすい点が特徴です。事業の再編や非公開化、あるいは後継者問題の打開策として使われることが多く、近年ではプライベート・エクイティ(PE)ファンドと組んで実行されるケースも一般的になってきました。

MBOが注目される背景

昨今、上場維持にかかるコストや株主対応の煩雑さなど、企業を取り巻く経営環境は着実に変化しています。中でも事業承継ニーズの高まりは、MBOの存在意義を押し上げる一因となっています。
とりわけ中堅・中小企業では、創業者から経営陣へと経営を引き継ぐ場面で、MBOが“現実的で取り組みやすい”手法とされることが増えています。上場企業においても、短期的な株主要求に左右されず、より長期的な視点で経営判断を行うための「非公開化」の一環として採用される例が増加傾向にあります。
経済産業省が示す「事業承継ガイドライン(2022年改訂)」でも、MBOのような経営の継続性や意志決定の独立性を確保する手法が、実務上の有効な選択肢として取り上げられています。

MBOのメリットとリスク

MBO(マネジメント・バイアウト)の主なメリットは、経営体制の継続性と事業運営の安定性にあります。買収主体が現経営陣であるため、企業内部における意思決定の一貫性が確保されやすく、従業員や取引先をはじめとしたステークホルダーとの関係維持にも配慮しやすい点が特長です。組織文化や経営理念といった無形資産が維持されやすく、事業承継における実効性の高い選択肢と位置づけられています。

一方で、MBOには一定のリスクも伴います。最大の課題は買収資金の調達負担であり、金融機関や投資ファンド等との資金スキームの構築には相応の準備が求められます。また、経営陣が買い手となる特性上、売却価格の適正性や利害の調整に関して、外部株主や関係者との間で利益相反の懸念が生じやすい点も留意が必要です。そのため、第三者評価やフェアネス・オピニオンの取得を通じた手続の透明性確保が、実務上重要な対応となります。

MBOとLBOの違い

MBOと混同されがちな手法に「LBO(Leveraged Buyout)」があります。LBOは、買収対象の企業資産やキャッシュフローを担保にして借入を行い、その資金で企業を買収する手法を指します。MBOは「誰が買収するか」、LBOは「どうやって資金調達するか」にフォーカスした用語である点が異なります。MBOの資金調達にLBOのスキームが用いられることも多く、両者の併用によって、経営権の取得と資金効率の両立が可能になります。

MBOを成功に導くために

MBOをスムーズに実現するには、早期の準備と利害関係者との透明なコミュニケーションが不可欠です。特に、価格設定や買収資金の調達手法、従業員や取引先への説明責任など、実務上の検討事項は多岐にわたります。外部のアドバイザーやファンドと連携しながら、ガバナンス体制を整備し、MBO後の中長期的な成長戦略を描けるかどうかが、成功の鍵となります。

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