BPOベンダーとの調整がうまくいかない?!
~コスト削減に向けた生産性管理を実現するには~

間接業務のコスト削減施策としてBPOを活用される企業は、BPO市場の拡大と併せて近年増加傾向です。しかし、BPO活用の構想フェーズで想定されていた効果を活用後に実現している企業は少ないのが現状です。その原因の一つとして、BPO導入企業視点での対象業務の生産性が不透明であることが挙げられます。コスト削減に向けた生産性管理について、当社の事例を含めてご紹介します。

市場が“今”BPOに求めるものと実態の乖離

BPOの活用をご検討される企業は主に①コスト削減、②退職リスク回避/継続的な運用、③専門知識の増強、といった3点のメリットを求めて実際にBPOを活用されていると考えています。
ですが近年、「BPOを活用したが、当初想定通りの効果を得られていない」、「コスト削減というよりもBPOベンダーとの調整などでコストが増加している」、「コストメリットがないのであれば契約終了のタイミングで自社に業務を戻そうと考えている」といった①コスト削減に関する苦言を企業の経営層の方から度々お聞きします。
なぜ当初想定通りの効果を企業は享受できないのでしょうか。

主な原因の一つとして「生産性管理のハードルの高さ」が挙げられます。1つの業務であればハードルは決して高くはありません。しかし、多品種の間接業務を運用する場合、1日の中で複数の業務を遂行しなければならず、管理のハードルは高くなります。仮に10種類の業務をAさんが担当されていた場合、それぞれの業務に投下した時間・手待ち時間を正しく管理する事は困難です。

BPOベンダーは企業に対してコスト削減の目標値を定期的に報告されるでしょうが、仮に現状の生産性を正しく管理できていなければ、その数値は希望的観測と言わざるを得ません。

【図1】代わり映えの無い提案時点と実際の業務量(業務委託費)

BPOにおける生産性・コスト削減の在り方

BPOにおいて、コスト削減を実現させるためには作業者の業務毎作業スピードを正しく把握し、実態を正しく把握する必要があります。前段でご説明したように、スタッフの担当業務のバリエーションが多ければ多い程、生産性管理のハードルが高まります。また、日の総稼働時間には当然余剰時間も含まれていること、そして繁忙期でなければ、個人の生産性は当然低下する傾向もあります。

当社の特定の案件では生産性を正確に計測するために、すべてのアクションの開始・終了のログをデータ管理する仕組みを導入しています。
(具体的には以下の内容等を1件毎の粒度で管理)

  • どの業務の、どの処理に、どの程度の時間を要したのか
  • どの程度休憩時間を要したのか
  • どの程度質疑対応・庶務雑務のために離席したのか

上記管理は管理者だけでなく、現場の作業者にも一定の工数を要する管理方法です。
ですが、上記を自助努力として実施しなければ、BPOにおいて、実態を踏まえた適切な目標設定と、課題抽出・施策検討/実行による、クライアントへのコスト削減の価値を提供することはできないのです。

【図2】単一業務と多品種業務の生産性管理

生産性管理の徹底により見える世界

実際に前段でご説明した生産性の管理を導入した事例をご紹介します。

案件概要

某大手情報関連企業の顧客より新規事業の引き合いがあり、新サービスを展開することになりました。しかし、その新事業の業務運用を担う人材やノウハウ等が不十分であり、新規事業の立ち上げのため、全ての業務運用をHorizon Oneに委託されています。
BPO対象業務は申請受付から確定検査までの事務局運営業務であり、体制は業務量の繁閑に併せて15~30人を柔軟配置しています。

クライアントの課題感

当案件の特性上、業務量の繁閑の差が激しいと想定されます。ただし、新規事業のため、必要人員のコントロールの精度を徐々に向上させていくことが至上命題でした。

施策

案件内の管理・連携すべきKPIを立ち上げ当初にクライアントと精緻化しました。
合意したKPIを基に生産性管理・日/週/月での実績報告による情報連携を徹底し、人員のコントロールに活用しました。
引き続き、生産性の管理精度を向上させていく必要はあるものの、立ち上げ時期に比べて、正しく生産性を把握することで適正配置を実現しました。それに伴い、クライアントへコスト削減の効果を還元しました。

【図3】日別の配置工数に対する稼働工数(=実際に稼働した工数)

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この記事の執筆者

  • 松田 汎未
    松田 汎未
    BPO事業部
    マネージャー
  • 佐竹 早織
    佐竹 早織
    BPO事業部
    シニアコンサルタント