建設業界におけるBPOを活用した
社内人材リソースの最適配置

コスト削減の手段としてBPO活用を検討される企業は多いですが、その中で一般的なBPO対象業務以外の業務における人材不足の課題解決の手段として、BPOを検討される企業が増えてきております。
その業界は建設業界です。2024年4月からの時間外労働規制の適用や、理系・技術職人材不足の課題を抱える企業にとってのソリューションとなるBPOを事例を含めてご紹介します。

建設業界における理系・技術職人材不足

建設業界は長時間労働が常態化しており、厚生労働省「毎月勤労統計調査」年度報によると、建設業は調査対象産業全体の年間労働時間に比べ、336時間もの長時間労働を強いられております。また、現場の急速な高齢化と若者離れにより、総務省「労働力調査」より、年齢別建設業就業者の推移から近年では55歳以上が3割以上を占め、29歳以下は1割に留まるという結果となっております。

更に、2024年4月からは時間外労働規制の適用が建設業界に始まりました。この規制適用に対応するため、企業は強制的に長時間労働の是正が求められ、数年前から業務量の圧縮及び人材採用の強化を実施してきました。
しかし、採用の面では職業別有効求人倍率が示すとおり、建設・土木・測量技術者の倍率は非常に高く、建設業界では新規採用が難航しています。
Horizon One(※)はそのような課題を抱える企業にBPOを活用したソリューションを提供しております。

(※) 株式会社レイヤーズ・コンサルティングは株式会社ベルシステム24ホールディングスと、2022年3月にBPO会社(Horizon One株式会社)を設立し、BPOサービスの提供を開始しています。

 

【図1】建設業界における実労働時間の推移・建設業就業者の高齢化の進行

【図2】建設技能労働者の有効求人倍率

BPO活用による社内人材リソースの最適配置の考え方(例)

建設業界を取り巻く理系・技術職人材の不足といった課題に対して、Horizon OneはBPOを活用し顧客の社内人材リソースの最適配置化の取り組みをご支援しています。
Horizon Oneが提供しているサービスはまず、社内の業務をフロントオフィス(顧客/営業・施工/直接業務を指し、会社の事業を担う部門及び会社固有の独自性の強い業務)、バックオフィス(間接/管理/事務業務を指し、汎用的などの会社にもある業務)、その中間に該当する業務をミドルオフィスと定義しています。
そして、ミドルオフィスからフロントオフィスへ、バックオフィスからミドルオフィスへ、人材の配置転換を実施することで、フロントオフィス人材(前段にて言及した理系・技術職人材)の拡充を実現します。その実現のためのバックオフィス業務BPOにて人材異動に必要な余力を創出するといったモデルです。

当モデルを実現するためにはBPOによる抜本的な余力創出の実行計画と、それらの多岐にわたる業務を運用することが可能なケイパビリティを備えている必要があります。そして同時に、顧客内の人員配置転換計画との高い精度での並走が重要です。
次項ではHorizon Oneの事例をご紹介します。

【図3】社内人材リソース活用によるフロント人材拡充の考え方

Horizon Oneの取り組み(事例紹介)

【案件概要】
某施工企業の顧客は理系・技術職人材の不足に苦悩されており、対象人材の積極採用やBPRの取り組みを社内にて実施されておりました。しかし、技術系人材の採用難により新規人材の確保は進まず、また社内人材だけではBPRのノウハウ等が不十分且つ推進力に欠けるため、現在ではBPRを含めた業務運用をHorizon Oneに委託されています。
委託範囲は間接業務全般(人事/経理/営業事務/総務領域等)を対象とし、最大で月間約100人工超の委託を見込む取り組みとなっています。

【クライアントの課題感】
技術系人材の採用難のため、BPRを含めたBPOにより「約2年以内での間接業務の最大60%余力創出」といった非常にチャレンジングな目標を掲げられておりました。その目標を達成するためには、間接業務のボリュームゾーンの業務だけをスコープに含めた取り組みでは実現不可のため、専門性の高い業務及び小ロット多品種の業務さらには現地対応が必要な業務もスコープに含めたBPOの実現が至上命題でした。

施策】
本社・各支社/営業所の間接業務機能を担う部署すべてをスコープとして約200名を対象とした業務調査を実施し、全体で約70%のBPO可能業務を選定その結果を踏まえた実行計画を策定しました。
まずはパイロットBPO+ボリュームゾーンから業務移管を短期間で移管・本稼働させ、段階的に少ロット多品種業務への移管を進め、計画達成に向けてご支援しております。なお、本取り組みはクライアント社内の人員配置転換計画と足並みをそろえて実行することが非常に重要となります。

ここまで精読いただきありがとうございました。本記事は建設業界を例に執筆させていただきましたが、同様の課題を抱えている運送業界の企業にも有益な取り組みと考えております。
BPO活用によるフロント人材拡充にご興味をお持ちの方は是非、お気軽にお問い合わせください。

【図4】間接業務領域における余力創出イメージ

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この記事の執筆者

  • 松田 汎未
    松田 汎未
    BPO事業部
    マネージャー
  • 石井 未宇
    石井 未宇
    BPO事業部
    シニアコンサルタント
  • 古屋 大和
    古屋 大和
    BPO事業部
    コンサルタント

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