量子コンピュータ
量子コンピュータとは
量子コンピュータとは、より高い処理能力を実現するため、量子力学において「重ね合わせ」、「量子もつれ」と呼ばれる量子の2つの性質を利用して演算を行うコンピュータです。
量子コンピュータと古典コンピュータ
量子コンピュータ以前のコンピュータを古典コンピュータと呼びます。量子コンピュータでは、「量子ビット」と呼ばれる情報単位を用いて計算を行います。
古典コンピュータが1ビットに「1」と「0」のどちらかの情報しか保持できないのに対して、量子コンピュータでは1量子ビットに「1」と「0」の両方を同時に保持できます。これが「重ね合わせ」と呼ばれる性質です。
また、古典コンピュータはビットが互いに独立していますが、量子コンピュータでは量子ビット間で相互関係を持たせることが可能です。これが「量子もつれ」と呼ばれる性質です。
これらの性質によって量子コンピュータは、古典コンピュータと比べて高い処理性能を有します。
量子コンピュータの仕組み
量子コンピュータにおける計算は、量子ビットの初期化、計算試行、量子ビットの測定の手順で行われます。
また、量子コンピュータにおける計算方式には「量子ゲート方式」と「量子アニーリング方式」の2種類が存在します。「量子ゲート方式」は様々な問題に対応が可能ですが、「量子アニーリング方式」は組み合わせの最適化問題に特化しています。
なぜ量子コンピュータが注目されるのか
古典コンピュータは「ムーアの法則」の限界を迎えつつあるといわれています。「ムーアの法則」とは、半導体の集積率が2年で2倍になるとの経験則であり、それにともないコンピュータの性能も向上していくことを意味します。しかし、近年はその終焉を指摘する見方が強まっています。こうした事情を背景として、古典コンピュータに代わり、量子コンピュータへの期待が集まっています。
また、AIの研究が進んだことで、AIを利用するための高性能なコンピュータへの需要が高まっています。組み合わせ最適化問題の計算に適した量子コンピュータでビッグデータの処理を行うことにより、AIが飛躍的に進化し、複雑な社会問題の解決に活用されることが期待されています。