大型機械メーカーにおける資格・スキル管理とMES連携
クライアントが抱えていた課題
受注生産を行うクライアントでは、生産工程のなかで自動化・標準化の難しい「職人技」を要する工程が多数存在していました。高齢化に伴い、そのような職人の技能承継が必要でしたが、スキルの教育・管理の方法が属人化していたため、作業者のレベルもバラつきが大きくなっていました。その結果、人の作業が原因となる不良が多く発生し、不良率が高止まりしていました。さらに、他業界で発生していた検査不正問題の発覚等を受け、品質上の課題として自社の検査資格やスキル認定の仕組みの改善が必要になりました。
レイヤーズのアプローチ
品質担保のために自社の様々な組織で管理されていた各種社内資格・スキル認定を一元的に管理するためのデータベースを構築しました。データベースの構築のなかで、認定主体の責任が不明確である、認定方法が属人化しており品質の底上げが出来ていない等の課題が挙がったため、並行して業務の改善も実施しました。
また、検査員の不正を防止するために、不正の3要素である「動機・正当化・機会」を無くすことを打ち手としました。まず「動機」については、検査工程の納期プレッシャーが原因で無資格者にも検査させたいという動機を減らすために、増員を含めた人員の適正配置を行いました。次に「正当化」については、“納期を守るためなら多少は手順を守らなかったりデータを改ざんしても問題ない”等といった正当化をさせないために、検査員に対する倫理観の教育を実施しました。最後に「機会」については、そもそも無資格に検査させる機会を無くすために、着手時点で資格を持っているかをチェックし、無資格検査に歯止めを掛けられる仕組みを作りました。具体的には、先述の資格・スキル認定のデータベースのなかで管理している検査資格をMES(実行系システム)に連携することで、作業の開始報告時にその工程に必要な資格を保有しているかが自動でチェックされる仕組みを作りました。
【図1】資格チェックの仕組み
成果と顧客満足
資格やスキル認定が標準化・一元管理されることで、品質担保の一つの基盤である「人」のリソースが可視化されました。また、資格のチェックがあることで不正問題発生のリスクが低減されるとともに、社内のコンプライアンス意識も向上しました。
今後の展望として、MES(実行系システム)だけでなく生産管理にも人のリソースとして資格・スキル認定情報を連携し、生産計画の負荷山積みに連携することを検討しています。


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