2026/08/05
【第1回】日本の製造業のポテンシャルを解放せよ
~設計・原価・プラインシングの改革~
日本の製造業を再び世界一へ導く、設計・原価・プライシング
日本の製造業のポテンシャルを開放せよ、という目的でコラム連載を始めたいと思う。そのためには、設計と原価とプライシングというのが、日本の製造業を世界一にもっていく成功要因であると考える。
日本の製造業は、その素晴らしい生産技術に基づく高い品質を提供していることは間違いない。しかし、その延長線上では、世界と戦える製造業にはなり得ないと考える。世界で戦うためには、世界のユーザーが欲する機能を適正原価・プライスで提供することが必須である。ひとりよがりの高品質な製品を国内市場だけをターゲットに高価格で販売するビジネスでは世界を制することはできない。
一方設計者は、原価・プライスよりも品質・納期を最優先に開発していることが多いと感じる。したがって、本コラムでは設計者が苦手とする、または自分の担当外としがちな原価・プライシングにスポットライトを当てる。
世界に勝つための設計・原価・プライスを達成するためには2つの重要視点が必要と考える。
1.グローバル市場を当初からターゲットにすべし
日本の多くの企業は、まずは日本国内をターゲットに商品開発をし、マーケティングを行っている。したがって、国内市場ではフィットするものの、グローバル市場では全く歯が立たない商品になってしまうことが非常に多い。一方、グローバル市場を対象にすると、まずは競争的プライスの設定とそのために必要な目標原価を設定することが必須である。グローバル市場をターゲットにすると原価は大幅に削減できる可能性がある。目標販売数量が全く異なり、調達コストのスケールメリットがでて、かつソフトウェアの比率が大きくなる中でソフトウェアコストが圧倒的に低くなる。また、世界中で最も安い全部コスト(製造原価+物流コスト+為替変動)のエリアで生産することが可能となる。
2.フロントローディングの重要性
企画・設計段階で品質・納期・コスト・プライスを検討することが必要である。自動車産業をはじめ多くの先進的企業ではフロントローディングが実施されているが、その内容や頻度についてはまだまだ十分とは言えないのが現状である。特に原価については、設計段階で90%が決定されると言われているにも関わらず、後の工程で原価低減を期待することが多く行われている。
レイヤーズ・コンサルティングで実施した大手住宅設備メーカーに対する調査においても、設計のデザインレビューで目標原価を達成できず通過させてしまった製品について、その後目標原価を達成した例は一つもなかった。また、大手自動車メーカーにおいて、納期を重視するあまり目標原価を達成しないまま設計完了した車は、上市後全て利益はでなかった。
今後、設計と原価とプライシングというテーマでより具体的な議論を進めていく予定である。連載に是非ご期待いただきたい。



