2026/09/28
【第12回】価格は未来への意思
~経営主導で戦略推進~
価格を決める会社が、未来を決める
インフレ対応を一過性で終わらせない
インフレ局面への転換を受け、多くの企業が価格改定を実施している。しかし、コストが上昇した時だけ価格を見直し、落ち着けば元の運用に戻るのであれば、価格経営は定着しない。
価格改定を一過性の緊急対応ではなく、経営の仕組みへ昇華させる必要がある。価格は、どの顧客に、どの価値を提供し、どの収益モデルで、どれだけの利益を得るかを示す数字である。にもかかわらず、多くの製造業では、商品企画、営業、原価管理、部品、サービスが別々に価格を管理している。この状態では、本体価格を維持して保守契約を付けるのか、本体の導入価格を下げて利用料で回収するのかといった、全体最適の判断ができない。
価格を経営の設計変数にする
価格を現場部門の交渉結果にしてはならない。経営直轄のプライシング戦略室などを設け、本体、部品、サービスの価格を一体で議論する必要がある。商品別、顧客別、地域別に、実売価格、数量、粗利益、値引き率、受注率、失注理由を継続的に確認する。本体製品ではオプション装着率、部品では代替品への流出、サービスでは契約率や更新率も見る。AIを活用し、販売実績、価格弾力性、競合価格、コスト変動、地域需要から、最適価格を推奨することも可能になる。ただし、AIは値決めの主体ではない。経営が判断するための選択肢と影響を可視化する道具である。
価格は未来への意思である
製造業のプライシングは、単品価格の最適化だけでは終わらない。本体、部品、サービス、保守契約、稼働データを組み合わせ、収益モデルそのものを設計する必要がある。本体売り切り、選択型保守、包括メンテナンス、サブスクリプション、稼働課金など、価格の取り方は多様である。顧客との取引期間全体で、どの価値から、どのように対価を得るかを考えなければならない。デフレ時代、日本企業はコストを下げる力を磨いた。インフレ時代には、その強みに価格を決める力を加える必要がある。原価は過去の努力を映す。価格は、その価値をどのような未来につなげるかという意思を映す。長年のデフレで身に付いた「安くて良い」から卒業し、自らの価値を正しく値決めする会社だけが、利益を成長投資へ変え、製造業のポテンシャルを解放できる。
次回からは、日本の製造業を世界一に引き上げるための3つのポイントとして「設計」についてのコラム連載を進めていく。
創立から40年以上、
幅広い製造業に対して
設計・原価・プライシング領域の
改革をご支援しています
レイヤーズ・コンサルティングは、
日本の製造業を熟知した業務知見と現場視点を強みに、
経営戦略・業務改革からデジタル・システム導入まで
一気通貫でご支援します。



