グループ会計システム再構築

グループ会計システム再構築とは、グループ全体での財務経理ガバナンスの強化、デジタルテクノロジーを活用したグループ経理業務改革の推進、IFRSや収益認識基準等の会計制度対応などを推進していくためにグループ会計システムを再構築することです。

2000年前後に構築された会計システムが20年近く経った今でも稼動している企業などにおいては、単なる老朽化更新だけではなく、経理の高度化や効率化を実現するためのグループ情報統合基盤としてグループ会計システムを刷新していくことが重要です。

レイヤーズでは、経理組織のミッション・役割・あるべき姿、グループ経理体制最適化、業務プロセス改革などを実現するために、グループ会計システムのあるべき姿の定義やFit to Standardに基づく会計システムの導入などを支援するコンサルティングサービスを提供しています。

今だからこそ求められるグループ会計システム再構築

VUCAと呼ばれる環境変化が激しい時代においては、DXに取り組み、デジタル経営にシフトすることが非常に重要です。そのDX推進の中でも会計システムの再構築はデータを起点とするデジタル経営には欠かせない取り組みと言えます。

 

会計システム再構築の実現手段としては、ERPや会計パッケージを活用することが一般的です。
2000年前後の会計ビッグバンの際に日本にもERPを導入する企業が増えてきましたが、それまでの自社業務に最適化されたシステムからの切り替えを前提とした導入だったため、アドオンと呼ばれる追加開発の山となり、現在維持運用やランニングコストとして重い足枷になっている企業は数多くあります。

 

デジタルテクノロジーの進歩とともに会計システムの機能自体が拡充されている今だからこそ、機能を使い倒す形でグループ会計システム再構築を進めていくことで、導入目的であるデジタル経営にシフトすることが重要です。

グループ会計システム再構築を実現するうえでの重要視点

従来、システム更改を行うときには現行業務と新システムの差分をとらえる「Fit & Gap」を行うことが一般的でした。しかし、どうしても現行業務を軸に新システムに足りていない機能を洗い出すような形になるため、結果的に現行業務に新システムが合うように不足機能を追加開発で補うということになりがちです。
そのため昨今では、「Fit to Standard」という、システムの中に組み込まれた標準機能に業務をいかに合わせていくかということが、会計システム導入の大きなテーマになっています。

【図1】Fit & Gap から Fit to Standard へ

レイヤーズがこれまでのグループ会計システム再構築を導入してきた中で、Fit to Standardを推進していくうえで特に重要な視点を3つご紹介します。

 

①ERP・会計パッケージの機能を知る
②会計慣行・会計方針・会計処理をシンプル化する
③ERP・会計パッケージですべてをやり切ろうとしない

ERP・会計パッケージの機能を知る

ERP・会計パッケージの導入にあたっては、IT部門やITベンダーとともに行っていくことが一般的ですが、ユーザー部門は業務要件検討に注力するあまり、ERP・会計パッケージの機能を理解することをIT部門・ベンダーに丸投げにしがちです。

 

しかし、Fit to Standardを実現していくためには、ユーザー部門がERP・会計パッケージの機能を理解することが何よりも重要となってきます。ERP・会計パッケージの機能理解を疎かにした場合、処理操作そのものはもちろん、デジタル経営をしていくうえで最も重要なデータの構造や動きへの理解が遅れてしまいます。

 

ERP・会計データパッケージの機能理解と、データ活用として何を管理していきたいのか、この2つを合わせて「グループ会計システムに求めるデータに関する要件」を真に検討していくことができるようになります。

【図2】使えるシステムにするためのERP・会計パッケージ導入時の機能理解

会計慣行・会計方針・会計処理をシンプル化する

Fit to Standardを実現するには、現状の会計慣行・会計方針・会計処理ありきではなく、ゼロベースで要件定義を行っていく必要があります。
ERP・会計パッケージは原則的には各種会計基準に則るようになっていますが、例えば現行のシステムで多くのアドオンをしている場合、本来的には不必要な業務運用をしている可能性もあると言えます。
会計システム再構築に合わせて、本支店会計、仮単価、付替処理、棚卸資産計算法、請求締め・消込、支払締め・消込、承認手続き等、複雑化しがちな会計慣行・会計方針・会計処理をシンプル化するという形で業務改革をしていくことが、Fit to Standardの実現には欠かせません。

【図3】ERP/会計システムとGAPになりがちな業務要件例

ERP・会計パッケージですべてをやり切ろうとしない

ERP・会計パッケージは、その特性上・最大公約数的な機能となっているため、業務をシステムに合わせるよう要件定義していっても、ERP・会計パッケージの標準機能で対応しきれないことが往々にしてあります。その際に単一のERP・会計パッケージでやり切ろうとせず、ユーザー部門の要求にあったソフトウェアやクラウドサービスを活用するよう割り切ることが重要です。
また、ERP・会計パッケージのアドオンは、インプット処理の効率化・簡略化や独自のアウトプット帳票の追加であることが大半を占めます。その際に、初めからインプット・アウトプットにRPAやBIなどを活用することを前提に業務要件を整理することも一つの策となります。

【図4】パッケージに不足しがちな機能

グループ会計システム再構築のステップ

グループ会計システム再構築は、以下のステップで実施していきます。

 

STEP1:基本構想
STEP2:要件定義・設計・開発・テスト
STEP3:導入・展開・運用

 

検討においては、CFO等が責任者やオーナーとなり、必要に応じて各部門やグループ会社を巻き込み、またタスクフォースを組成して各部会に入り込んで施策検討を促進していくことが重要となります。

【図5】グループ会計システム再構築のステップ

関連するセミナーアーカイブ

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経済産業省の「持続的な企業価値向上に関する懇談会」において、日本企業のCFO組織及びFP&A機能の不足による事業戦略と財務戦略の連携の欠如が指摘されています。企業価値向上のためにはCFO組織及びFP&Aが重要な役割を果たすことが期待されていますが、特に重要なのは事業構造改革や事業投資などの事業戦略が今後の企業価値向上にどれだけ貢献するかと言ったプランニングの部分であり、これらを着実に実践するためにはFP&A機能の強化が不可欠です。 *FP&A(Financial Planning & Analysis)は、CFOの配下で、業績目標の達成のために計画策定やモニタリング、業績予測や分析を通じて、CEOや事業部門の意思決定を支援し、企業価値向上に貢献する機能。   【基調講演】今回は、旭化成株式会社 代表取締役 専務執行役員 堀江 俊保氏をお招きし、旭化成グループにおける事業ポートフォリオ転換とそれを支えるFP&A導入を試行する中での重要ポイントについてご講演いただきます。   レイヤーズ・コンサルティングからは、CFO組織の強化や効果的なFP&Aの導入・活用の実践ポイント、FP&Aの武器としての経営管理基盤などをご紹介します。   【講演Ⅱ】CFOの先見の明の裏にFP&Aあり と言われるようになるには FP&Aのミッションと導入方法、計画と見込みで未来を操る、事業戦略と財務戦略の連動による資本効率の向上 等   【講演Ⅲ】FP&Aの役割と武器となる情報基盤 一昔前の日本企業の不思議、FP&Aに求めること、FP&Aの武器となる情報基盤 等

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