2026/08/05

【第6回】日本の製造業のポテンシャルを解放せよ
~設計・原価・プラインシングの改革~

#日刊工業新聞

今回は第4回で述べた原価企画の実行ポイント3つのうち「②ゲート管理の徹底」について記載する。

原価の種類——4つの原価で利益を守る

本題の前に、製品ライフサイクル全体における原価の種類を整理したい。

市場で勝てるコストを作り込み、量産後も維持・低減し続けるには、量産前後それぞれ2つ、計4つの原価が必要だ。量産開始前は、①目標原価(原価企画における必達目標。「マーケットイン」の原価)、②企画原価(現在実現可能な原低アイデアを織り込んで積上げた原価)。量産開始後は、③標準原価(量産時に必達すべき目標)、④実際原価(生産実績情報と実際発生費用にもとづく生産実態を表す原価)である。

原価企画とは、①目標原価に対し②企画原価を設計・開発の進捗ごとに突き合わせ、そのギャップを埋め続ける活動にほかならない。目標を達成した企画原価は③標準原価へと引き継がれ、④実際原価と比較しながら量産後の原価管理へつなげていく。そして、④実際原価は次の新製品開発における②企画原価のベースとして利用される。これがあるべき原価のサイクルである。

ゲート管理(デザインレビュー)の要は目標原価の達成率である

製品原価の80〜90%が決まる設計・開発段階で勝てるコストを作り込むには、①目標原価に②企画原価をぶつけ、未達なら追加原低を講じる活動を回し続けねばならない。そのチェックの場が、製品開発プロセスのゲート管理(デザインレビュー)である。

多くの企業で②企画原価が①目標原価に到達しないまま量産に突入し、赤字製品を市場に送り出してしまっている。その元凶の1つが、ゲートの通過条件・ルールの曖昧さにある。最初のフェーズから目標原価の100%達成を求める必要はなく、段階的に目標達成していけばよい。ただし、フェーズ毎の目標原価の達成率をクリアしなければ絶対に次のフェーズへ進めない——この一線を守れるかどうかが運命の分かれ道である。目標未達のまま見切り発車で次のフェーズへ進めてしまえば、ゲート管理はたちまち形骸化し、単なる”儀式”と化す。目標未達なら「絶対に通さない!」という経営の強い意志こそが、量産後の利益率を大きく左右する。

【図1】ゲート管理(デザインレビュー)

但し、原価企画の実行性を担保するには、これを遂行する組織とシステムが必要である。

次回は残りのポイント「③原価専任組織とそれを支えるシステム」について記載する。

この記事の執筆者

円子 貴義
株式会社レイヤーズ・コンサルティング
SCM事業部
ディレクター

光学系精密機器メーカーや農林業機械メーカー、住宅設備メーカー、造船業、自動車部品メーカー等、グローバルコストマネジメントのコンサルティングを数多く行うとともに、太陽光発電パネル製造メーカーに対する需給調整・PSI業務構築、食品メーカーに対する開発・品質・製造・営業などの全社業務視える化など、SCM領域のコンサルティングを多数手がける。
株式会社レイヤーズ・コンサルティング
SCM事業部
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