アフタービジネスのシステム刷新 成功のポイント

この記事の要約

アフタービジネスのDXには、アフターサービス部門における業務標準化と基幹システム導入が不可欠です。本記事では、過去データ移行や不具合情報活用を通じて、顧客満足度と収益力を高めるシステム刷新の要点を解説します。

この記事を読むとわかること

  • アフターサービス部門にシステム投資が必要な理由とDXのポイント
  • アフタービジネスに関する基幹システムに求められる機能の具体例
  • 過去データを新システムへ正しく移行する進め方
  • 業務標準化によってシステム導入効果を高めるポイント
アフタービジネスに関する業務は、顧客満足度を左右する重要な業務の一つですが、属人化や手作業での業務が多く、DXによる改善余地が大きな分野です。また、不具合情報の管理・共有・活用が十分にできていない企業もあり、結果として、顧客満足度の低下=顧客離れにつながるリスクがあります。アフターサービス部門についてもDXすることによって、高品質・迅速・低価格なサービス提供を図り、顧客満足度を向上させることで、次回の購入機会を逃さないようにすることが大切です。本記事では、アフターサービス部門の業務におけるDXに向けたシステム構築の重要性・ポイントを解説し、システム導入に向けた課題を解決するためのヒントをお届けします。

アフターサービス部門へのシステム投資の必要性

アフタービジネスにおける業務とは、製品の販売後に顧客へ提供する付加サービスに関する業務のことを指し、顧客からの問い合わせ対応や修理対応だけではなく、再発防止策の検討・蓄積や、定期的なメンテナンス業務も含まれます。迅速に高品質・低価格なサポートを提供することが顧客満足度の向上に、ひいては次の製品購入機会につながります。一方で、製造業におけるアフタービジネスは、特にBtoBビジネスを行っているような企業では、長らく重要視されずに、大きな投資もされていませんでした。そのため、非効率な業務が残存する一方で、不具合情報が有効に活用されていない状況になっていました。しかしながら、日本の製造業における有望な成長事業としてアフタービジネスが注目され始めてきています。製品の販売だけではなく、販売後のサービスによって、製品の生涯にわたって稼ぐ利益を最大化することができます。

こういった環境の変化に対応し、会社から求められる成長を実現するためには、主管のアフターサービス部門における業務およびシステムの抜本的な見直しが必要です。そうすることによって、業務内容やノウハウを標準化・可視化でき、生産性が向上し、スピード・品質の向上を追求できます。結果として、低価格でのサービス提供ができ、さらなる収益力向上につながります。製品販売後に発生する不具合情報は、アフターサービス部門のみならず上流業務(開発・販売・生産・調達・品質保証等)への活用が求められています。現行製品の改良だけではなく、次世代の製品に関する貴重な情報であり、製品のライフサイクル全体を見据えた広い視野や情報共有が必要です。

そこで次章より、「アフタービジネスに関する基幹システム」の導入に関する要諦について解説します。

【図1】アフターサービスが生み出す天使のサイクルへ

アフタービジネスに必要なシステム機能

「アフターサービス基幹システム」としては、下記業務機能を満たしている必要があります。

機能 概要
問い合わせ管理 顧客からの問い合わせ内容を記録し、分類(製品・部位・事象・原因等)して管理。
ワークフロー管理 問い合わせ内容に応じ、対応およびエスカレーション先を決定。案件完了までの進捗状況を把握。
見積もり作成 作業内容に応じた見積もりを作成。その際、標準作業工数・標準部品単価を保持することで、定型的な見積もりを簡易的に作成。
日程計画作成 作業内容および作業員の空き日程・保有スキル・治工具在庫・保守部品在庫等を踏まえ、最適な作業員を提案。案件や作業員・対象製品ごとにスケジュールを管理・可視化。
マニュアル管理 不具合事象ごとのトラブルシューティング内容を整理。
保守部品・治工具管理 保守部品・治工具の保有有無、在庫数、保管場所を管理。
作業実績管理 作業員が作業報告書を作成。過去の作業情報の照会が可能。
人材管理 作業者の保有スキルや作業実績を管理。
製品構成部品管理 販売時の機番(号機)ごとの構成部品を管理。加えて、販売後のメンテナンス作業や部品交換等による最新の製品構成情報を管理。
顧客情報管理 顧客の基礎情報(顧客企業名・部署・担当者・設置場所・設置時期・製品/シリーズ名・機種/バージョン名等)を管理。
契約管理 顧客別の保守契約(有償/無償含む)や定期メンテナンスの状況を管理。

※上記以外にも、売上管理やデータ分析等に関する機能も必要ですが、他システムの機能を活用することで対応可能です。

一般的な基幹システムパッケージには上記機能は実装されていないケースが多いため、周辺モジュールか専用のパッケージを導入する必要があります。

過去データの移行を乗り越えろ

アフタービジネスにおけるシステム刷新を成功させるための重要なポイントの一つは、過去データを正しく新システムへ移行することです。アフタービジネスでは、過去の問い合わせ情報、不具合情報、作業・修理情報が肝であり、この過去データを蓄積・活用することが非常に重要です。このノウハウの宝庫である過去データを、新システム導入においても快適にアクセスでき、検索・参照することが必須です。過去データをナレッジとし、日々のアフターサービス業務に活用していくことで、アフターサービス部門全体のスキルを一定水準以上に担保することができます。つまり、顧客へ安定したサービスを提供することが可能です。

ただし、過去データの移行が重要である一方、過去データを“正しく”移行することは難易度が高く、慎重に取り組む必要があります。過去データは、システム導入以前の紙・個人のExcel・メールで管理しているケースも多く、そういった情報を正しく新システムに移行し、いつでも・誰でも・どこでも使いやすい形にしておく必要があります。移行を成功させるためには、「①移行すべきデータ/する必要がないデータの切り分け」、「②新システムでの活用方法の明確化を事前に整理」しておく必要があります。特に文章データだけではなく、写真データやPDF等のデータも多くあるため、事前の整理が重要です。

なおレイヤーズ・コンサルティングでは、過去データの移行ツールを用いて、短期間で移行作業を完了させることが可能です。

【図2】データ移行における留意点

システム導入に向けたポイント

システム導入の効果を最大化するためには、業務の標準化が必須です。
レイヤーズのクライアントにおいても、製品によって業務のやり方や、サービスで得た知見の管理方法が異なっており、業務が属人化していました。サービス対象製品が増加する一方で、技術者の定年退職者も見込まれるため、早期の知見蓄積・業務効率化が求められていました。そのためレイヤーズの支援のもと、システム導入前にまず業務パターンとあるべき業務の姿を整理しました。

業務標準化に向けた基本的なステップは以下です。

  1. 現状の業務内容を棚卸しする
  2. 生産性・収益性を上げるためにあるべき業務はどんな姿なのか整理する
  3. 現状業務とあるべき業務の比較をして業務課題を抽出する
  4. 業務課題を踏まえ現状業務の見直しをして標準業務の検討を行う

現状業務にとらわれ過ぎず、柔軟な業務の見直しや業務を支える「アフタービジネス基幹システム」を導入することで、各アフターサービス担当者の担当領域が拡大し、知識やスキルの向上につながりました。

【図3】業務標準化に向けたステップ

まとめ

アフタービジネスは、製品の販売後も顧客と長期的につながる、いわば“企業の顔”ともいえる存在です。アフタービジネスで顧客の期待を裏切るようなことがあった場合には、製品だけではなく会社全体の評価をも左右しかねません。その業務を担うアフターサービス部門は、徹底的に効率化され最短のL/Tで、顧客の期待に適切に応えることが必要です。そのためには、人海戦術でのやり方ではなく、システム投資を通じたDX導入を図る必要があります。アフタービジネス基幹システムの導入は、全社基幹システムを導入する場合と比較し、導入期間や工数を抑えることが可能です。アフタービジネスの収益力向上を図るためにも、貴社アフターサービス部門のDXをお考えになってはいかがでしょうか。

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