【第13回】会計システムで資金管理ってどうやるの?
◆この記事の要約
会計システムの「資金管理サブシステム」で、預金・有価証券・貸付金・借入金をどう管理し、一般会計やファームバンキング等とどう連携するかを解説します。本記事を読むと、ERP/会計パッケージの標準機能の活用と専用パッケージ・クラウドサービスの選び方を確認できます。
- 資金管理サブシステムの主要機能:預金管理・有価証券管理・貸付金管理・借入金管理を中心に、資産・負債の管理を効率化(導入時に管理可能範囲を確認)。
- 預金管理のポイント:銀行口座情報管理、入出金管理、入金予定・出金予定管理、振込依頼データ管理、資金繰り管理、外貨建預金管理で資金繰りの最適化を支援。
- 有価証券管理のポイント:有価証券の銘柄管理、取引履歴管理、評価替管理などを一元化。
- 貸付金/借入金の管理:契約条件管理、取引履歴管理、評価替管理、利息の受領予定・満期償還予定、返済スケジュール、利息の自動計算、与信管理・リスク評価、電子契約管理、外貨建管理までを一元化。
資金管理サブシステムは、ERPや会計パッケージの一部として提供されるものもありますが、専用パッケージやクラウドサービスとして提供されるものもあるため、ERPや会計パッケージの導入にあたっては、それらがどのような標準機能をもっているか、ERPや会計パッケージと同じものを選ぶか、違う提供企業が提供するものを選ぶかなどの検討が必要になってきます。
そこで今回は、ERPや会計システムパッケージによる「会計システム刷新」のキホンのキとして、会計システムにおける資金管理サブシステムについてご紹介します。
資金管理サブシステムの主要機能
資金管理サブシステムは、主に預金、有価証券、貸付金、保証金、借入金などの資金取引に基づく資産・負債の管理に利用します。ERPや会計パッケージにおいて、どのような資産・負債が管理できるかは異なっているため、導入時に確認が必要です。
【図1】会計システムのシステム構成イメージ
ここでは、預金管理、有価証券管理、貸付金管理、借入金管理の主要機能をご紹介します。
預金管理
預金管理機能は、企業の複数銀行口座の管理や資金繰りの最適化、入出金管理を効率化するための機能です。企業の財務部門や経理部門が自社の預金口座を一元管理し、資金管理業務を効率化するために使用します。財務部門や出納部門が主に利用します。
【図2】預金管理のイメージ
銀行口座情報管理
企業が保有する複数の銀行口座(普通預金、当座預金など)を一元管理する機能です。銀行口座情報管理では、口座情報(口座番号、銀行名、支店名、口座種別、通貨種別、口座名義などの管理)の登録・更新を行います。
銀行口座入出金管理
各銀行口座の取引記録や残高管理を行う機能です。銀行のファームバンキングを通じて、銀行の入出金等の取引記録データを取り込み、資金管理サブシステムの預金取引として記録できるものもあります。
入金予定・出金予定管理
債権・債務情報や売上・仕入取引情報などから、入金予定(売上入金など)や出金予定(仕入、経費、給与など)を管理する機能です。これらと実際の入金・出金と照合できるものもあります。
振込依頼データ管理
銀行振込用のデータ(給与振込、仕入先支払など)を作成し、銀行へ送信する機能です。
資金繰り管理
入出金実績や入出金予定から、資金繰り実績表や資金繰り予定表など、資金繰りを管理する機能です。
外貨建預金管理
預金に関する上記の管理を外貨建でも行える機能です。通常、外貨建での管理と記帳通貨での管理ができます。
有価証券管理
有価証券管理機能は、企業が保有する株式、債券、投資信託などの有価証券の管理・運用を効率化し、リスク管理や会計処理を支援するための機能です。財務部門や経理部門、資産運用部門が主に利用します。
【図3】有価証券管理のイメージ
有価証券情報管理
個々の有価証券について銘柄コード、証券名、発行体情報、証券種別(株式、債券、投資信託など)、発行日、満期日、利率、額面金額などの基本情報管理を管理する機能です。また、個々の有価証券の保有数量、取得単価、取得日、保有口座なども管理します。
取引履歴管理
有価証券の売買、配当受領、利息受領、償還、評価替えなどの取引履歴を記録し管理する機能です。利息の受領予定、債券の満期償還予定などを管理できるものもあります。
評価替管理
有価証券の評価替を管理する機能です。市場価格や評価基準に基づく時価評価の自動計算、取得原価と時価の差額による評価損益の算出、定期的な評価替え(月次、四半期など)と帳簿反映などが管理できるものもあります。
リスク管理・分析機能
保有証券の分散状況、銘柄別・業種別・地域別の構成比分析などのポートフォリオ管理や、ボラティリティ、ベータ値などのリスク指標などを管理する機能です。
外貨建有価証券管理
有価証券に関する上記の管理を外貨建でも行える機能です。通常、外貨建での管理と記帳通貨での管理ができます。
貸付金管理
貸付金管理機能は、取引先や関連会社への貸付、従業員への貸付などの貸付金の貸付・回収・残高管理業務を効率化し、貸付状況の把握やリスク管理を行う機能です。
財務部門や与信管理部門が主に利用します。
【図4】貸付金管理のイメージ
貸付金情報管理
個々の貸付金について貸付先(取引先、関連会社、従業員など)の基本情報管理(名称、住所、連絡先、信用情報など)を管理する機能です。貸付金の貸付金額、貸付日、貸付期間、利率、返済方法、担保情報、契約書など管理も行います。
貸付金取引管理機能
貸付金の貸付、返済、利息等の取引ついて、実績を記録したり、予定を計算したりする機能です。貸付金の元本残高、利息残高、返済済み金額の管理など行います。返済スケジュール(元利均等、元金均等、自由返済など)と返済予定額の管理や実際の返済金額、返済日、遅延状況の記録、契約利率に基づく利息の自動計算(単利・複利対応)なども行います。
与信管理・リスク評価
外部信用調査機関との連携による貸付先信用情報管理、貸付先の信用リスク評価や格付け管理、貸付先ごとの与信限度額設定と超過管理などを管理する機能です。
電子契約管理
貸付先との金銭消費貸借契約等の締結、契約情報の保管などを管理する機能です。電子契約のクラウドサービスを利用する場合もあります。
外貨建貸付金管理
貸付金に関する上記の管理を外貨建でも行える機能です。通常、外貨建での管理と記帳通貨での管理ができます。
借入金管理
借入金管理機能は、銀行借入や社債、リース債務などの借入金の契約管理、返済管理、利息計算、リスク管理を効率化し、財務状況の把握や資金調達の最適化を支援する機能です。財務部門や経理部門が主に利用します。
【図5】借入金管理のイメージ
借入契約情報管理
金融機関や債権者の基本情報(名称、住所、連絡先、信用情報など)を管理する機能です。また、個々の借入金の借入金額、借入日、借入期間、利率(固定・変動)、返済方法(元利均等、元金均等、自由返済など)、担保情報、契約書なども管理します。
借入金取引管理
借入金の借入、返済、利息等の取引ついて、実績を記録したり、予定を計算したりする機能です。借入金の元本残高、利息残高、返済済み金額の管理など行います。返済スケジュール(元利均等、元金均等、自由返済など)と返済予定額の管理や実際の返済金額、返済日、遅延状況の記録、契約利率に基づく利息の自動計算(単利・複利対応)なども行います。
電子契約管理
借入先との金銭消費貸借契約等の締結、契約情報の保管などを管理する機能です。電子契約のクラウドサービスを利用する場合もあります。
外貨建借入金管理
借入金に関する上記の管理を外貨建でも行える機能です。通常、外貨建での管理と記帳通貨での管理ができます。
会計システム連携処理
一般会計や債権債務における資金管理に係わる仕訳等を資金管理サブシステムに取り込みます。
また、資金管理サブシステムにおける預金取引、有価証券取引、貸付金取引、借入金取引、社債取引等にともなう仕訳を生成し、一般会計に連携します。ファームバンキング等とも連携します。
導入上のポイント
資金管理サブシステムは、専用パッケージやクラウドサービスとして提供されるものもあります。
ERPや会計パッケージの導入にあたっては、それらがどのような標準機能をもっているか、ERPや会計パッケージと同じものを選ぶか、違う提供企業のものを選ぶかなどを検討する必要があります。また、銀行等のキャッシュマネジメントサービスを利用する場合、それらとの連携やそれらが提供するサービスの活用なども検討する必要があります。
まとめ
今回は、ERPや会計システムパッケージによる「会計システム刷新」のキホンのキとして、会計システムにおける資金管理サブシステムについてご紹介しました。今後の会計システム刷新は、ERPや会計パッケージに限らず様々なクラウドサービスやAIサービスを活用して「真に経営に資する情報システム」として実現する必要があります。個別のERPや会計パッケージ、クラウドサービスの活用のポイントについては、是非レイヤーズ・コンサルティングにお問い合わせください。


ソリューションに関するオンライン相談問い合わせる メルマガ登録
最新情報をお届け! メルマガ登録
この記事の執筆者
-
村井 泰三経営管理事業部
バイスマネージングディレクター -
山本 晶代経営管理事業部
ディレクター -
飯田 稜大経営管理事業部
シニアマネージャー
職種別ソリューション



