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プライム市場移行に伴う
全社的サステナビリティ対応ポイント
~形式から実質へ~

待ったなし!プライム上場企業へのサステナビリティ開示要請

2022年4月から東京証券取引所の市場が再編され、新たに3市場が始動しました。最上位のプライム市場は海外投資家の投資対象になるようなグローバル企業が集まる市場と位置づけられ、2021年6月に公表されたコーポレートガバナンス・コードによって英文開示やTCFDなどの枠組みに基づく開示などの質と量の充実が要請されています。

そのため、プライム市場へ移行した東証一部の約8割の1,839社は、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)を巡る課題への対応及び開示の充実に向けて取り組みを進める必要があります。また、サステナビリティを巡る開示にあたっては、IFRS財団が開示基準の作成を進めるなど国際的なルールや枠組み整備も進んでおり、今後も企業はサステナビリティへの積極的な対応及び開示に対する必要性は増していくと考えられます。

【図1】コーポレートガバナンス・コード改訂(2021/6/11)要旨

<図1>コーポレートガバナンス・コード改訂(2021/6/11)要旨

サステナビリティ対応に向けた各社の取組み姿勢

以前より全社的にサステナビリティ対応に取り組んできた一部の先進企業を除き、大部分のプライム市場上場は気候変動を始めとしたサステナビリティ対応に本気で取り組んできたとは言えない状況です。

サステナビリティ対応に対する企業の取組みは<図2>のように大きく3つのタイプに分類できます。多くの企業は「タイプⅢ 形式派」として、2022年の決算開示に向けて最低限の体裁を整えることを最優先に検討しているように思われます。しかし、直近の対応として開示の体裁を整えるだけで対応完了となる訳ではなく、来年以降の開示を充実させていく必要があります。そして、サステナビリティ対応の開示を充実させるためには、開示の裏付けとなる実際の取組みとモニタリングが必要です。つまり、取組み方針を策定して目標を設定したうえで、具体的な施策を検討・実行し、その進捗を確認していく必要があります。そのため「開示充実の検討」を契機として、最終的に「タイプⅠ 実質派」となることを目標とし、段階的にステップを踏んで本格的にサステナビリティ対応の取組みを始める企業も増えてきています。

【図2】サステナビリティ対応に対する企業の取組みタイプ

<図2>サステナビリティ対応に対する企業の取組みタイプ

SDG Compassに沿ったサステナビリティ本格対応ロードマップ策定

サステナビリティ対応の本格検討においては、SDG Compass(SDGsの企業行動指針)をフレームワークとして使用することができます。SDG Compassは、国連グローバル・コンパクト(UNGC)などの国際組織によって企業がいかにしてSDGsを経営戦略と整合させ貢献を測定・管理していくかに関し、指標を提供することを目的として策定され、現時点では最も共通認識化されたフレームワークと言えます。

【図3】SDG Compassとは

<図3>SDG Compassとは

検討を始めるにあたって、SDG Compassのステップに沿って全体ロードマップを策定します。本格的にサステナビリティ対応を検討し、サステナビリティ経営を実現するには2~3年かかると想定されます。そのため、半年~年単位といったタイミングでマイルストンを設定して、どのタイミングで何を達成するかを明確にしておくことが重要です。<図4>はロードマップの例示ですが、実際は、企業の理念やサステナビリティへの取組みの方向性や、自社の課題、社内の取組み状況等を踏まえて決定していくことになります。

以下にロードマップを策定する実行準備段階におけるポイントを紹介します。

【図4】SDG Compassに沿った検討ロードマップ(例)

<図4>SDG Compassに沿った検討ロードマップ(例)

実行準備のポイント① 経営層への事前説明による理解・意識醸成

全社的なサステナビリティ対応として全社一体となった取組みを実施するためには、経営トップ及び経営幹部がサステナビリティ対応への理解を深め、全員が納得感を持って臨むことが重要なポイントです。ロードマップを策定する前に、まず経営トップのサステナビリティ対応への考えや方向性・期待等を確認します。そして経営トップの意向を踏まえた上で、経営幹部に対してサステナビリティ対応の必要性や取り組まない場合のデメリットなどを説明し、全員に納得感を持って本格的なサステナビリティ対応への取り組みに合意してもらいます。

実行準備のポイント② 他社ベンチマークの実施

今後の目指すレベルを検討する前に、自社が強化すべきポイントを把握しておく必要があります。そのために競合他社や類似業種で目標とする企業等を対象として他社ベンチマークを実施します。他社と比較することで自社の課題を洗い出し、どういった対応が必要なのかを棚卸して、優先順位をつけて具体化していきます。

ベンチマーク比較の方法は色々ありますが、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が採用するESG指標などに則して比較することで、投資家が求める視点を取り入れた課題抽出・検討が行えます。

ある上場企業での経営層への事前説明

最後に、ある上場企業での経営層への事前説明の事例をご紹介します。事例となる企業の経営トップはサステナビリティに本格的に取り組むべきという考えでしたが、経営幹部の必要性に対する理解には温度差がありました。また、サステナビリティ対応の検討範囲は広範に亘ること、比較的新しいトピックであることから、人によってイメージする内容が異なり、全ての経営幹部に同じように理解して頂くことに苦心していました。

そのため、サステナビリティ対応の必要性について先進企業の取組み内容や、取組まなかった場合のデメリットなどを具体的な事例を交えて説明することで経営幹部に共通理解を持って頂きました。そのうえで、SDG Compassに沿ったロードマップや進め方を説明し、サステナビリティ対応の本格検討を進めることに対して同意して頂くことができました。

【図5】経営幹部への事前説明資料(例)

<図5>経営幹部への事前説明資料(例)

以上のように、サステナビリティへの取組みは、企業全体で全社員が一丸となって進めていかなければならず、一朝一夕で簡単に実現できるものではありません。是非皆様と一緒にサステナビリティへの取組みを実質的に推進し、経済価値と社会価値の同時達成を実現していきたいと思っております。

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