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コロナ禍で肥大化する15兆円の販促費を活き金に変える

コロナが太らせる15兆円の販促費

■流通構造の中に潜む15兆円の販促費

2019年における日本の広告宣伝費は、従来の媒体における広告費が減少する一方でデジタル広告やイベント費などが伸張し、6.9兆円になっている。2020年度については、コロナ禍で多くの企業が業績に苦しむ中、広告宣伝費は抑止傾向にあるといっても良いだろう。しかしその裏側で、販売促進費の肥大化がひしひしと企業の利益を蝕み始めている。販売促進費とは、いわゆる「流通対策費」とも呼ばれるもので、値引きや協賛金、リベートなど、流通構造の商流の中で発生する費用である。販促費は複雑な商流の中で発生しているため、その全貌を捉える事は非常に困難だが、日本全体で約15兆円あり、広告宣伝費の2倍以上の規模とも言われている。

 

コロナ影響で流通構造が大きく変化

新型コロナウィルスの感染拡大は、巣ごもり需要や衛生需要の拡大、訪日外国人の消滅など、一瞬にして消費者行動の大きな変化をもたらした。これにより、国内の流通構造はわずか数週間にして一変。これまで市場拡大の一途をたどっていたCVS業界は軒並み前年比80%台まで低迷し、一方で衛生需要・健康需要にマッチしたドラッグストアは120%以上の成長となった。特にドラッグストアは、近年は食品や飲料などの取り扱い構成を高める「フード&ドラッグ業態」への変身を図っており、もはやSMやCVSの機能そのものを代替する勢いになっている。<図表No.1>

図表No.1:流通3業態の売上高前年比の月別推移

コロナ禍がメーカーの利益を蝕む

コロナによる急速な流通構造の変化は意外なところへ影響をもたらした。流通に対して商品供給を行うメーカーの利益を蝕んだのである。定価をベースにした販売を行うCVS業態が落ち込んだ分の販売量は、“安さ”を売りにしてディスカウント販売をしかけるドラッグチェーンへシフト。この値引き原資は、サプライヤーであるメーカーの負担としてそのまま転嫁されている。影響が大きいメーカーの中には、コロナ禍の数か月の間に、全社の利益率が数パーセント低下してしまうほどのインパクトを被っている。

販促費の活き金化による利益改善アプローチ

■販促費は、「削減」ではなく「活き金化」を図ることが肝要

では、流通に対する販促費は、簡単に減らすことができるのだろうか?現実には非常に難易度の高い問題である。販促費は、自社の販売数量をとるために得意先に対して投じている資金であり、単純に削減すれば自社の販売数量は低下してしまう。それは同時に、競合他社につけ入る隙を与えてしまうということを意味する。とはいえ、このまま野放図に投入し続ければ、肥大化していくことは火を見るよりも明らかである。

この問題に対して、弊社では「販促費の活き金化」という弊社独自の販促費マネジメントの方法論を考案し、多くの企業での販促費問題の解決をご支援している。値引・リベート等の“販売に関わるカネ資源”について、「目的不明」もしくは「効果不明」の販売費(=“埋蔵金”)を掘り当て、活き金へと使い方を見直すというものである。決して販売費の一律削減を図るようなものではない。<図表No.2>

図表No.2:販促費の活き金化の概念図

死に金(埋蔵金)を抽出し、活き金として再投入する

死に金は、豊富な経験に基づく仮説と科学的検証手法がなければ抽出できない

例えば、値引きについても、「よい値引き」と「悪い値引き」が存在する。よい値引きは価格弾力性の効果によって数量倍率が大幅に高まり、自社の粗利益を高めるように作用するものであるが、「悪い値引き」とは逆に自社の利益を棄損するだけのものである。消費者が本来、機能を重視して購買している商品に対して、盲目的に値引きを行っても消費者ベネフィットにはつながっておらず、自社にとっても何らメリットがない。こんな当たり前の話だが、多数の商品アイテムに対する商談を同時に多頻度で行っている中でこのような事例が多発しているのが実態である。<図表No.3>

また、リベートやポイントプログラムへの協賛などの中にも、何ら貢献しない「死に金」になるようなパターンは多く存在している。弊社ではそのような死に金パターンの事例や知見を多く有しており、大量の単品別販売実績データに対するアナリティクスによって抽出するメソッドを適用して、あぶり出しを行っていく。

図表No.3:数量UPにつながらない無用なHigh-Low値引き

顧客別に戦略立案し、死に金を活き金として再投入する

抽出された死に金は、できれば「削減」として止める方向での交渉していきたいものだ。とはいえ、取引先にとっては既得権となっているカネである場合も多く、簡単に自社都合でやめることはできない。代替案がなければ交渉にならない。弊社では「利益シミュレーター」という独自ツールを使って、得意先と自社双方の利益増減を試算しながら、販促費の組み換えプランニングを行っていくメソッドをご提供している。そして同時に交渉シナリオを設計して、投入総額は変えずに得意先と自社の双方にとってwin-winとなる活き金プランニングを推進していくのである。

また、小さな改善レベルのカネの使い方ではなく、BDF(business development fund)として大きな資金の塊としてプールし、中期的な成長、大きなシェア伸長を図るための戦略的な投資原資として再投入するケースもある。得意先と企業対企業の取り組み関係を構築し、抽出した資金を双方にとって有効な形で利用していくのである。再投入する規模が大きくなるほど、当然ながらより精緻なシナリオ設計、シミュレーションが求められる。

活き金化の思想が定着すると、持続的な利益成長につながる

この活き金化は、最終的に現場の営業担当者の一人一人が、自らのスキルとして習得し、日々の商談の中で実践できるレベルまで昇華させる必要がある。これは、得意先の状況を多面的に理解し、自社の利益メカニズムを把握し、定量的かつ戦略的に思考するスキルセットを装着して活動を行うことができる人材への進化を意味している。EC化が進行する中、得意先も多くの問題を抱えている。それに対して、勘と経験だけで“切った・貼った”の商売をしているだけの営業担当者は、およそ相手にされなくなってしまう時代が迫っている。特に、コロナ禍により非対面営業が重視される環境の中で、ますますその傾向は加速していることは間違いがない。

この活き金化のプログラムを体得し、自社のスキルとして実践化できている企業は単年度の利益改善が図られるだけではなく、持続的に利益向上を図る、力強い成長モデルに生まれ変わることに成功している。

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