「とりあえずジョブ型」になっていませんか?
~勝てるジョブ型とは~

近年、多くの企業がジョブ型人事制度を導入する傾向にあります。しかしながら、その導入の背景には様々な事情があり、企業の目的だけを重視した結果、社員の利益や幸福度が犠牲になるケースも散見されます。企業の目的と社員の成長や働きやすさを両立するジョブ型人事制度を構築するためには何が必要となるのでしょうか。

ジョブ型人事制度の取り組み状況

近年、「ジョブ型人事制度」がバズワード的に取り上げられています。
ある調査によると、柔軟性の必要性やリモートワークの普及、スキルの多様性などの要求もあり、2020年度で導入予定を含めて56%、2021年度で62%と、ジョブ型導入企業は年々増加しており、むしろ主流の人事制度と言える状況になりつつあります。
導入企業における導入目的については、貢献度に応じた適性な処遇をしたい、職務内容を明確化したい、という2つの回答が突出して多くなっています。
多くの企業にとって、「責任」を明確化する、「責任を持っている社員を適切に遇する」というところを主な目的としてジョブ型人事制度を導入しているということが見て取れます。

企業のビジョン・人事思想・人事制度の繋がり

人事制度は単体で存在しているわけではなく、企業のビジョン・人事思想と密接に関わっています。
ここでは、企業のビジョンとは、事業を通じてその企業が将来的に成し遂げたいことや成し遂げたい姿、人事思想とは、ビジョンを実現するために、人・組織をどうしたいかを定め、言語化したもの。人事制度とは、人事思想をルールの形で具現化したもの、と定義しています。
企業のビジョンを実現するために人・組織の観点から言語化したものが人事思想であり、会社が社員に求めるもの、そしてこれを人財マネジメントの観点で捉えなおした、会社が社員に約束することの2点から構成されます。
そしてこの会社が社員に求めるもの、つまり、行動指針、人材要件、OK行動から組織の在り方としての組織規程、OK行動を定義した行動規範、ポスト毎の人材要件を定義したジョブディスクリプションを通して、等級・報酬・評価といった人事制度に落ちていく、という構造になっています。

【図1】ジョブ型人事制度の全体像

「勝てる」人事とは何か

では、勝てる人事とは何か?というと、人という観点で勝つとは、人が最大の生産性を発揮する、従業員が最高のパフォーマンスを出せる状態を整えること、エンゲージメントが高い状態を維持することのできる人事が行えている状態、といえます。
しかし、目的・思想が曖昧で従業員も納得していない、調整が仕事で従業員が付加価値の高い業務に取り掛かれていない、他社情報とかバズワードに飛びついて自社に合わない人事を行ってしまっているなどのケースがしばしば見受けられます。
安易に飛びつき、踊らされ、どこぞのコンサルの言いなりになって、結局同質化してしまっている、このような状態では、従業員のエンゲージメントは高められません。
人事は流行に振り回されず、本質をついて、自社の考えを貫いて差別化していくということが、今後、ますます重要になっていくと考えます。
それぞれの会社は、異なる経営哲学、思想、異なる事業、異なる組織・事業特性、異なる環境でその企業独自のビジョンを描いており、また、従業員もそのビジョンに共鳴して同じ方向を向いているはずです。
このビジョンに合った形で人事思想が作られ、これに一貫性を持った形で人事制度が作られる。このような考え方で他社と差別化していくことが、人事で勝つために非常に重要です。

「一貫性を持つ」ということが重要

「一貫性を持った」状態とはどのような状態なのでしょうか。
その企業が人事思想を持っていたとしても、経営陣と人事の関係が希薄でビジョンを汲んだ人事思想になっていない、人事で勝手に作った人事思想になってしまっている。結果、現場がビジョンと共鳴していても、人事思想に腹落ちしていない状態で人事制度が設計されてしまう、ということが往々にしてよくあります。
このように構築された人事制度が機能せず、結果として制度の再見直しを行わざるを得ないという「しくじり事例」は数多く起きており、当社でも立て直しの支援をさせていただいております。
これに対して、目指すべき姿としては、ビジョンを元とした形で、現場も腹落ちした人事思想を作り上げ、さらにこれに沿って人事制度も作りあげていく。
これが「一貫性のある状態」であり、従業員の納得性・効果の高い、理想の状態であると言えます。
単にジョブ型人事制度を導入するだけではなく、企業のビジョン・人事思想・人事制度の繋がりを意識してジョブ型人事制度を導入することが、成功への第一歩と言えるでしょう。
人事思想の構築、人事制度導入にあたっての準備など、様々なご相談にお役に立てると思いますので、詳細については、是非お問い合わせください。皆様と一緒に従業員のエンゲージメント向上に取り組んでいきたいと思っております。

【図2】「一貫性を持つ」とはどういうことか

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この記事の執筆者

  • 木村 圭佑
    木村 圭佑
    HR事業部
    マネージャー
  • 田﨑 文教
    田﨑 文教
    HR事業部
    シニアマネージャー
  • 大島 直樹
    大島 直樹
    HR事業部
    シニアコンサルタント
    ISO 30414 コンサルタント