「整合性がとれない」状態に陥っていませんか?
~ストーリー化された人事施策の“全体整合性”の実現~

近年、これほどまでに人事に関する改革テーマが雨後の筍のように出現し、人事部門がその対応に追われている状況はあったでしょうか。各改革テーマに対応はしつつも、いつの間にか全体像が見えない、全体整合性が取れていない、といった状況が各企業で起きています。
今回は、戦略人事に基づく各人事施策の「全体整合性」を取っていくためにすべきことについて、解説していきます。

乱立する人事改革テーマ

2015年ごろから『健康経営』というキーワードが注目され、2018年には健康経営銘柄も設置されました。あわせて『エンゲージメント』や、『働き方改革』、『ダイバーシティ&インクルージョン』、『タレントマネジメント』、『ジョブ型』、『ESG経営』、『SDGs』、『ISO30414』、『Well-being』、『人的資本開示』と色々なテーマが企業に求められ、人事部門は対応に追われる形となっています。また『HRTech』としてAIなどを活用したデジタルトランスフォーメーションも求められています。
人事部門は日常業務に加え、上記のようなテーマに対応しなければならず、全社へ「残業を減らすように!」と掛け声をかける側でありながら、一番残業している部門になってしまっている状況です。

人事が抱える各テーマも日々進化しており、例えば「ダイバーシティ」で言えば、日本においては、当初は女性活躍とイコール的にスタートして、いわゆる「デモグラフィックダイバーシティ」がメインでした。年齢、性別、民族性、国籍など、個人の社会経済的背景や身体的特徴に基づく多様性を指します。これは一般的に目に見えるダイバーシティです。
もちろん「デモグラフィックダイバーシティ」も大切ですが、イノベーションを生み出す目的からすれば、「コグニティブダイバーシティ」が重要となり、異なる思考スタイルや視点を持つ個々の人々が存在することが求められました。これには、問題解決のアプローチ、意思決定のプロセス、情報の解釈や処理の方法、創造的な思考の適用などが狙いとしてあります。「コグニティブダイバーシティ」は、一般的には外見からは見えないダイバーシティに分類されます。さらに、最近ではDE&Iとして、Equity(公平性)も追加されております。

このように日本企業の人事部門は、様々なテーマへの対応に追われ、日々そのテーマが進化しており、対応の難易度が高まっています。

【図1】人事改革テーマを追い続ける人事部門

人事施策の「箇条書き対応」から「ストーリー対応」へ

上記の状況から、今の日本企業の人事部門は様々なプロジェクトを立ち上げ対応をしています。しかし、次から次へとテーマが追加されてしまうため、実態は各施策の整合性が取れていなかったり、全体像からすると抜け漏れがあったりと、場当たり的対応に陥ってしまっています。完全に流行り物に飛びつかされて、現場も巻き込み、手間暇かけて実施した施策にもかかわらず、大きな成果を得られていない、という状況が各所で見受けられます。
まさに各施策を『箇条書き』で掲げて対応している状況です。人事部門の方も必死に対応しているにもかかわらず、現場はしらけて「またか」「今度はなに?」「これって何の目的でやるの」と迷惑顔になります。人事部門としては報われない状況です。

そこで、しっかりと全体像を意識して、追加されてくるテーマについて、全体像のどこに位置付けられて、自分たちの人事目的、人事思想、戦略人事からすると、取り組むべきテーマなのか、対応しないテーマなのか、しっかりと判断していくことが重要となります。『箇条書き対応』から脱却し、『ストーリー』でしっかりと人事施策を語れるようにすることが重要となります。
経営戦略・事業戦略と一体化した人事戦略を踏まえて、当該取り組みを「なぜ」実施するのか、どうして「今」やるのか、経営層も人事部門も現場も腹落ちするストーリーにすることが重要です。その際には繰り返しになりますが、人事の目的、人財ビジョン、人事の基本思想等が存在することが前提となります。それがないとストーリー化は不可能です。

【図2】人事の全体像

一旦立ち止まって人事施策の全体像整理を

上記のような状況のため、人事部門や経営陣のご支援を多くさせていただく中で、最近問い合わせとしては、「人事施策の全体像の見える化と追加施策の洗い出し」といった内容が多くなっております。皆様同じように、「一つひとつの実施している施策は間違っていない」「今やっていることを『逆戻り』はしたくない」「ただ、今、全体像の中でどの施策をなぜ今やっているのかを明確にしたい」といったことを言われます。

そこで我々は、短期間でセッションを実施させていただき、全体像の整理、追加施策の洗い出しを実施させていただきます。
まずは1回目2回目で、現状の施策に関する資料を事前に受領し、我々から他社事例なども踏まえて「論点の投げかけ」をさせていただき、各施策の背景、目的・狙い、実施内容、他の施策との関係性などを深掘りします。施策の抜け漏れを確認し、追加施策、補強施策を整理させていただきテーマを洗い出します。
3回目は、1回目2回目の現状施策のディスカッションを踏まえて、当社側から追加・補強施策として取り組むべきテーマ案を提示させていただきます。また、全体整合性の確認をさせていただき、議論します。
4回目は、全体整合性を踏まえて漏れている施策や、現状施策以外で他社事例や動向を踏まえたトピックをご紹介し、追加テーマとして取り組むか否か、またそれをいつやるのかを議論します。
5回目6回目において、直近取り組むテーマについては施策の方向性や、実現したい姿について詳細に深掘りを行い、最終的には人事施策の全体像を策定し、追加・補強施策の実行計画を策定していきます。

一旦立ち止まり、このような全体像を整理する取り組みをすることで、経営陣、人事部門も施策に対する腹落ちができ、迷いなく進めることができるようになります。単に流行り物に飛びついて施策を実行することから脱却し、全体像を踏まえてストーリーで語れる、整合性のとれた施策実行にしていくことが可能となります。

【図3】人事施策全体像整理のためのセッション

人事の目的、人事の基本思想の重要性

前述させていただきましたが、人事施策について全体整合性を検証し、全体像のストーリーを策定していく際には、『人事の目的』、『人事の基本思想』などが非常に重要となります。もし、人事の目的、人事の基本思想がない場合には、まずはそこから設定していく取り組みを実施していくことが重要となります。
日本企業においては「日本型人事」という不思議なワードがあります。本来、人事は戦略そのものであり、戦略は個社ごとに独自性が求められるわけで、つまり人事は個社ごとに「独自性」、「らしさ」が求められます。しかし、「日本型人事」では、標準化された人事制度がどの企業にも同じように採用されてしまい、「独自性」がなくなっています。

「我が社らしさ」「信念」に基づくPeople Managementの実現のために、株式会社レイヤーズ・コンサルティングと株式会社people first(代表取締役 八木 洋介 氏)の共同登録商標として、Authentic People Management®を掲げております。
我々は、「人と組織で最高のパフォーマンスを発揮し、勝つ」ことが人事の目的と考えております。人事部門の存在意義と言ってもいいですが、事業部において行われる育成なども人事ですので、我々は「人事の目的」としております。

人事の基本思想として、例えば人をどのように捉えるのか、管理する対象とするのか、成長を支援する対象と捉えるのか、人事そのものを他社並みにするのか、人事で差別化するのか、人事はクローズで秘密主義なのか、オープンで透明性のあるものなのか、細則主義なのか原則主義なのか、といった基本思想も明確にすることが重要となります。
Authentic People Management®についての詳細は是非ともお打ち合わせをさせていただき解説させていただければと思います。

【図4】Authentic People Management®

人事施策全体像策定推進におけるポイント

最後に、我々が多くの支援をしていく中で気づいた、人事施策全体像策定における重要なポイントについてご説明させていただきます。

1)可能な限り今ある人事を活かす
色々な施策が走って対応しているため、それらを全面的に止めたり、逆戻りさせたりすると、現場も混乱します。可能な限り今ある人事を活かし、つながりを構築することを模索しつつ、それがどうにも良くないようであれば、改革していく形で進めていくことが重要となります。

2)定量的に現在地を見てみる
色々な施策が走っている中で、人事に関連するKPI指標の数値を一度出してみて、現在地を知ることも重要となります。労働生産性やエンゲージメントとパフォーマンスのクロス分析、グレード別人員数のありたい姿と現状などを定量的に視える化して、人事の目的、人事の基本思想からどのような姿を目指すのかを策定していくことが重要となります。

3)「独自性」「らしさ」でのストーリー策定
他社を意識することももちろん大事ですが、繰り返しになりますが人事は戦略そのものですので、自社独自のストーリー、自社らしいストーリーで人事施策の全体像を策定していくことが本当に重要となります。経営陣、人事部門、現場がそれぞれ腹落ちする独自性のある人事施策の全体像のストーリーを策定していくことが重要となります。

今回は戦略人事に基づく各人事施策の「全体整合性」を取っていくためにすべきこと、「我が社らしさ」「信念」に基づくAuthentic People Management®について解説しました。詳細については、是非お問い合わせください。

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