3Dモデルとは?2D図面との違いや活用シーンについて解説
今回は「3Dモデル開発」をテーマに、2D図面との違いや、設計領域における3DモデルとAIの活用事例について、製造業におけるエンジニアリングチェーン領域のコンサルティングにおいて多数の支援実績を持つシニアマネージャーの宮下 剛よりご紹介します。
Q1. 3Dモデルとは?
A. 製品を立体的に表現したデジタルデータのこと
宮下
3Dモデルとは、製品を立体的に表現したデジタルデータのことです。
図面には、2D図面と3D図面という2種類があります。2D図面とは平面的なものに関して設計物を表現している、設計図のようなものになります。例えば正面から見た図や、横から見た図、上から見た図などに加えて寸法も記載されており、頭の中で実際の立体をイメージするような形になります。
一方で、3D図面は基本的には立体的に表現されているので、頭の中でイメージしなくとも、製品のデザインや形状を仮想的に確認することができるため、製品の見た目やサイズ、機能の配置などを評価検討する上で有効に活用することができます。
Q2. 3Dモデルは製品開発においてどのプロセスで使われているのか?
A. 3Dモデルは製品開発のほぼすべての工程で活用される
宮下
3Dモデルは、製品設計のプロセス全体において非常に役立っているものになります。
まず構想設計では、3Dモデルを使用してデザインの問題点や改善点を可視化し、CAE(Computer Aided Engineering)解析で熱解析や強度解析などを行い、不具合情報をフィードバックする「モデルベース開発」で設計効率を上げることができます。
また、デジタル工程設計では、組み立てや加工におけるプロセスの視覚化にも3Dデータが活用できます。ビューワーを使って道具の3Dモデルや設備の3Dモデル、部品の3Dモデルに人体的な3Dモデルを合わせ、製品の組み立てを事前に検証し、実際の組み立てライン上で活用しているケースもあります。
組み立て工程を詳細に計画することができるので、製品の製造や組み立て性の効率を向上させることができるようになります。
Q3. 設計領域における3DモデルとAIの活用事例はある?
A. 形状作成AIやジェネレーティブAI、サロゲートAIなどが活用されている
宮下
設計領域における3DモデルとAIの活用については、各企業が取り組み始めています。例えば過去に設計したモデルから顧客の要望に近い形状を検索をするといった、類似形状検索の活用については、よく耳にします。また検索結果を参考に、形状を自動生成するような形状作成の活用について各社取り組み始めようとしています。
他にも、ジェネレーティブAIやサロゲートAIが活用されています。CAE解析や物理シミュレーションでサロゲートAIを活用して、過去の解析データから計算結果をAIが即時に予測することで、既存のCAE解析時間を大幅に短縮した企業もあります。
Q4. 3Dモデル活用の現状と今後の展望は?
A. 現状は2D図面の運用が多いが、今後は3Dモデルを軸にMBEを構築することで開発のリードタイム短縮が実現可能になる
宮下
現状は2D図面の運用がメインで、3Dモデルは2D図面を作るための手段になっている企業が多いです。製造現場では図面を見れば全て分かるように2D図面に設計や製造の情報を書き込む方法で運用されており、「紙の図面が一番早い」という認識が強いのかなと思っています。
今後は製品の3Dモデルを軸にデジタル上で下流工程まで一気通貫で業務を完結できるようなMBE(モデルベースエンタープライズ)の構築が抜本的な効率化、もしくは開発のリードタイム短縮に寄与すると考えております。
この記事の執筆者
宮下 剛
株式会社レイヤーズ・コンサルティング
SCM事業部
シニアマネージャー
株式会社レイヤーズ・コンサルティング
SCM事業部
シニアマネージャー
通信機器メーカー、Sier(電気系CAD・PDMの開発/導入)を経て、現職。自動車部品メーカー、空調メーカー、精密機器メーカー等、様々な業界で開発・生産部門における業務改革、CAD/PDM/PLMシステム導入とECM領域のコンサルティングを多数行う。業務改革についてはメカ設計だけでなく電気設計領域でもコンサルティングを実施。