電子部品メーカーにおける基幹システム再構築

クライアントが抱えていた課題

このメーカーは2つの事業を有しており、国内本社の他、海外3か国4拠点で生産を行っていました。ここ数年で事業規模が急拡大し、今後更なる成長が期待できる状況である一方、既存の基幹システムは約10年前にミニマムの期間・内容で導入したものの、活用できているのは一事業の一部業務にとどまり、各拠点で別々にシステム開発(全拠点で合計200以上)やExcel、紙帳票を乱立している状況でした。加えて、この個別最適化された現状を把握している人財がおらず、各拠点でどの業務でどのツールを使用しているのかについても、ブラックボックス状態となっていました。
こうした状況下で経営層は、労働人口減少下で事業拡大を狙うため、業務効率化によって現行の人員体制でも業績拡大できる仕組みを求めていました。その一環で、既存の基幹システムの保守期限が迫ることも相まって、グループ全体での業務の全体最適化とそれを支える新たな基幹システムを遅滞なく導入する必要がありました。

レイヤーズのアプローチ

基幹システム導入と聞くと、どのようなシステムを作り上げるか、システムありきで考えてしまいがちです。また、社内でもシステムに対する期待が異なり、導入途中で意見が食い違って暗礁に乗り上げてしまう失敗パターンが散見されます。

 

本件では、基幹システム再構築をグループ全体の情報戦略活動と位置づけ、まず「何を実現したいのか」という目的・旗印を、各拠点の経営層、IT部門、業務部門それぞれから業務実態とニーズを吸い上げ、目標設定とそこに到達するための問題点と解決の方向性を基本構想として、三者間で認識を合わせました。
次に構想に基づき、基幹システムを軸としたグループ全体での新たな標準業務を作り上げました。その一環でガラパゴス化した個別システム(全拠点で約250件)・帳票(基幹システムに関連するもの約80件)の分析を行い、廃止するもの、基幹システムで代替するものの範囲を定めました。その後定めた業務要件をもとにクライアントの業務に最適なシステムと導入ベンダー選定を主導し、ベンダー参画後はクライアントとの橋渡し役としてプロジェクトの円滑な推進の一翼を担いました。

成果と顧客満足

上記のアプローチを経て、事業間・拠点間で独自で進められていた業務を、基幹システムを軸としたグローバルでの標準業務を定義し、関係各所と合意しました。
また、乱立していた個別システムのうち約2割を基幹システムでの代替または廃止、帳票は半分以上を廃止・システム機能での代替を実現しました。
こうした活動を通じて、顧客からは以下2点について特に評価いただきました。

 

まず、これまでシステム利用がほぼできていなかった事業について、現状業務を丁寧にまとめ上げ、それをもとに両事業共通の標準業務を定義した点です。当初クライアントからは、事業間で生産や調達方式が異なるため、業務の標準化に懐疑的でした。しかし話を聞き進めると、そもそも共通点は一定数あり、相違点についても違える明確な理由がないものが多く見られました。そのため、両事業で横串を通す形で標準業務を定義するに至りました。

 

もう1点は、海外各拠点の業務実態を調査し、かつ基幹システム再構築への機運を高めることができた点です。こちらは実際に各拠点に足を運んで現場を視察し、国内本社との業務差分や個別システム・使用帳票を1週間でまとめ上げました。その後、標準業務を各拠点でも適用可能な形にブラッシュアップし、また個別システム・帳票の置換範囲も定義しました。
このように、社内でナレッジが不足している箇所に積極的に入り込み、基幹システム導入活動に取り込んだことを特に評価いただきました。

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