「妄想力」でタレントマネジメントの台本を描く
~今からでも遅くない!タレマネシステム導入後の次の一手~

近年、タレントマネジメントへの注目が高まり、人事業務効率化や人財データ活用を目的にシステムを導入する会社が増えてきています。一方で、システムを導入し人財データを集約したものの、導入前に想定していたほどの効果を実感できていない会社も多いのではないでしょうか。今回は、ひとまずタレントマネジメントシステム導入をした後の次の一手として、人事部視点を超えて経営貢献や全社員でのデータ活用による効果創出を狙う取り組みのポイントをお伝えします。

タレントマネジメント推進のカギは「妄想力」

社内で散在していた人事・人財データを新システムで統合管理・集約し、タレントマネジメントを行う土台ができたにもかかわらず、次に何をすべきなのかが分からないとのお悩みをお聞きすることが増えています。

次のステップは、そもそも“人と組織で勝つ”ために、我が社らしいタレントマネジメントの世界観を「だったらいいな」の発想で描いていくことが重要です。人事業務の効率化という視点だけでなく、「人事・人財データで経営陣がどのようなことができるようになればいいのか」、「社員が人事・人財データを見て、どんなことを思い考え、どんな行動に変わったらよいのか」などの視点から議論し、我が社らしいタレントマネジメントについて自由に「妄想力」を膨らませます。

実際にプロジェクト型でサービスを行うA社では、「メンバー同士がお互いのことをよく理解したうえでプロジェクトを開始し、今よりさらにメンバー同士がイキイキと仕事に取り組むことで、プロジェクトの質や生産性を向上させられないか」という狙いで、妄想を膨らませてタレントマネジメントの高度化に向けて議論を行いました。

【図1】我が社らしいタレントマネジメントを生み出す「妄想力」

目指す世界観を実現できる活用シナリオの具体化

次に重要なのは、膨らませた妄想を、妄想のままで終わらせず、実行に移していくことです。そのためには描いた世界観を「活用シナリオ」に落とし込んでいく必要があります。

「活用シナリオ」とは、評価・育成・配置などの人事に関する施策・イベントや、メンバの普段の仕事の中での局面毎に、人事・人財データを活用しているシーンを具体的に台本として描いたものです。それぞれのシーンで期待したい効果・ゴール、そこでなされる対話やアクション、用いられるデータ・レポートイメージなど、5W1Hの観点やそのシーンで関わる様々なステークホルダーとの関係も踏まえ、活用シナリオを具体化させていきます。

前段でお伝えしたプロジェクト型でサービスを行うA社でも活用シナリオの具体化に取り組みました。プロジェクトのスタート時の「活用シナリオ」を一例としてご紹介します。プロジェクトで初めて集まったメンバのチーム力・心理的安全性を高めるため、初見のメンバー同士が個人毎に仕事観やこれまでのプロジェクト経験、人脈、強み・弱みなど、自分のことを表出した情報をメンバー間で共有する台本を描きました。そして、これまでデータ化されていなかった個々人の仕事に対する価値観や嗜好等をデータ化する取り組みを行っていきました。
活用シナリオを具体的に定めることで、今後、優先的に取り組むタレントマネジメント高度化テーマを整理し、新規で集める必要があるデータの整理にも繋がります。

【図2】我が社らしいタレントマネジメントを実現するためのステップ

今回は、タレントマネジメント導入後の次の一手となる、我が社らしいタレントマネジメントを創り上げるアプローチを取り上げました。人事視点での業務効率化のステージから次のステップとして、経営・従業員メンバを主語とした時の高度化・活用シナリオの策定の事例をご紹介させていただきました。

顕在化している問題をヒアリングで炙り出し、解決していくというアプローチだけでは「わが社らしいタレントマネジメント」を導出することには限界があります。キーとなるのは妄想力です。まだ見ぬ「活用シナリオ」を仮説で描き、それを具体化することで、「差別化されたタレントマネジメント」につなげていくことができると考えています。
そして、タレントマネジメントシステムの詳細要件定義として、「活用シナリオ」を具体化することができればできるほど、世界観実現に向けた解像度が高い道筋・ロードマップを明らかにすることにも繋がってきます。
タレントマネジメントシステムの活用を重要取り組みテーマとして担当し、経営・事業運営や現場にどのように貢献すべきかをお悩みの皆様にとって、本記事の内容がご参考になれば幸いです。ご関心があれば、取り組み事例等をご紹介させて頂きます。
また、レイヤーズ・コンサルティングでは、今回ご紹介した内容以外にも、人事領域における豊富なコンサルティング経験がございます。お悩み事や課題がございましたら、ぜひご相談ください。

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この記事の執筆者

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