強いリスキリング、ご存知ですか。

「リスキリング」とは、職業能力の再開発、再教育のことを意味します。
近年では、企業のDX戦略において、新たに必要となる業務・職種に順応できるように、従業員がスキルや知識を再取得するという意味で使われることが増えています。
 
さて、この「リスキリング」という言葉を、社員に対して、どのような意図で使っておりますか。
「リスキリング」というバズワードをそのまま社員に発信していませんか。
 
企業も主体的に、この「リスキリング」をどのような意図で使い、どのような戦術を組み立てるのか、これら無くして、「強いリスキリング」の実践はあり得ません。
 
今回は、企業主体で推し進めたリスキリングの事例を基にポイントをご紹介します。

新しい資本主義【人への投資】

2022年1月17日、岸田内閣総理大臣は施策方針演説の中で【人への投資】について演説を行いました。その内容の抜粋をご紹介します。
「モノからコトへと進む時代、付加価値の源泉は、創意工夫や新しいアイデアを生み出す『人的資本』、『人』です。
スキル向上、再教育の充実、副業の活用といった人的投資の充実が、デジタル社会、炭素中立社会への変革を円滑に進めるために鍵です。
世界が、産業界が、地域が必要とする、人財像やスキルについて、現場の声を丁寧に聞き、明確化した上で(略)職業訓練の在り方をゼロベースで見直します。」
 
このように日本経済を再生させるため、イノベーションを起こし新しい時代や変化に対応していく人財の教育や人的資本への投資が非常に重要視されており、様々な企業においても、【人への投資】は経営における最重要課題になっております。

【図1】【人への投資】人的資本経営とは

両利きの経営が求められる時代背景

昨今、変化の激しい時代と言われ、VUCA時代とも呼ばれています。先が見えず、変化が大きい状況で突然Disruptorが現れ、業界を大きく変えてしまう可能性もあります。次々と新しいサービスが生み出される時代では、これまで通りの仕事だけにこだわっていてはいずれ衰退していく、もしくは変化の波に飲み込まれてしまう危険性が大いにあります。そこで重要になってくるのが『両利きの経営』です。
『両利きの経営』とは、知の深化と知の探索です。つまり、既存事業の深化と新規事業の探索です。
『両利きの経営』においては、下記の図にあるように、既存事業に割かれているリソースを新規事業の探索にシフトしていくことが求められます。

【図2】両利きの経営を実現する、リソースのシフトイメージ

従来の研修ではなく、短期選抜型研修による早期活躍支援プログラムが重要

時代の変化スピードに対応するためにも、これまでの人財の育成スピードでは間に合わない部分が大いにあります。そこで、重要になってくるのが、短期間で活躍のできる人財を育成するプログラムです。新規事業の探索や既存事業の深化のために、人財の流動化(部門間異動)がこれまでよりも多く行われ、部門間異動後にいち早く活躍のできる人財が必要になってきます。
これら部門間異動者の短期選抜型研修による早期活躍支援プログラムをリスキルプログラムと当社は呼んでいます。
 
当社リスキルプログラムの特徴は大きく3つございます。
① :コンテンツありきのプログラムではなく、プログラムの全体設計から実施すること
② :リスキルプログラムだけではなく、他研修(階層別研修等)との棲み分け、全体育成との棲み分けをすること
③ :イネーブラーなチームとして、一人前に活躍できるまで鍛える・支えること
 
よくある研修の落とし穴として、研修の内容が線ではなく点の内容になっていたり(ホットな技術を吸収して終わり)、他の社内研修や現場でのOJT等と内容が被り非効率になっていることが挙げられたり(他でもやっている)、研修を受けて自己評価をして終わり(やっただけ)というようなものがあります。
当社のリスキルプログラムでは、『なぜ、そのスキルが必要なのか』という目的や研修後の人財の姿をしっかりと定義し、『他、社内研修やOJTとの棲み分け』(=リスキルプログラムでしか習得できないもの)を明確化し、『継続的に1人前になるフォローアップを実施』することを基本方針としています。

【図3】リスキルプログラムのイメージ

事例:大手製造系会社A社におけるリスキルプログラムの構築・運用

大手製造系会社A社は、中期経営計画において「既存事業の改革による効率化と再成長」及び「新規事業による成長の柱の構築」を掲げ、今後の持続的な成長に向けて、組織体制の見直しや人財育成制度の見直し等、人財育成における全体スキームの構築が必要でした。そこで、新たな組織体制の構築において、スムーズなジョブチェンジのために、リスキルプログラムの全体スキーム構築とプログラムの体系化を実施することになりました。
 
まずは、中期経営計画を起点にどのような人財を今後育成していく必要があるのか、異動後の部門において必要となる人財やスキルはどのようなものなのかを、人財開発部門及び事業部門にヒアリングして人財要件設計を行い、必要人財要件をベースに必要な育成領域を確定させました。
それらの必要領域の研修会社の選定等も支援しながら、どのような研修の中身にしていくかをカリキュラム設計し、スキルのモニタリング及びアセスメントの評価方法等のアセスメント設計を行い、実際の研修までご支援させていただきました。
2023年3月現在は、フォローアップ期間として、研修対象者のメンタリングや実施後のフォローを実施しておりますが、特に異動後の受入部門からの評価がとても高く、今回対象になっていないメンバーも含めて研修を実施して欲しいという声を頂いております。
リスキルプログラムは実施してからがスタートとなります。リスキルプログラム第二期、第三期と並行し、既に研修に参加頂いたメンバーのイネーブラーチームとしてご支援を継続させていただいております。

 

以上のように、『両利きの経営』を実現するリスキルプログラムを是非皆様と実現していきたいと思っております。詳細については是非お問合せください。

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