Beyondコロナ時代に向けたSSC/BPOモデル変革

モデルチェンジの背景

2019年度3月期の東証一部上場企業(金融業を除く)の決算で、売上高実績が予想を下回った企業割合は約50%。対前年比の売上高が減少した割合は約25%、対前年比の純利益額に関しては約45%。コロナ以前でも見通しの立ちづらい不透明な経営環境に突入しています。
 
各社は従前よりSSC/BPO活用により間接業務のコスト削減に取り組んでいるにも関わらず、人財配置の見直し・ノウハウ流出等の課題により、業務改革が不十分であるケース、自社に最適なモデルを模索し続けているケースは少なくありません。
 
Beyondコロナ時代の中、コスト削減の加速並びに市場環境変化を踏まえたSSC/BPOモデルの再構築は避けて通れないと考えています。社員のプロフェッショナル化「社員スキルの向上」、在宅勤務希望の社員を含めた多様な人材活用の多様化「日本・地域社会への貢献」、ビジネス支援による競争力向上「企業・事業の成長」にも焦点を当てた新しいSSC/BPOモデルが求められています。各社(グループ全体)の間接業務改革に向けた多様なモデルを紹介します。

【図1】Beyondコロナ時代のSSC/BPOモデルチェンジ(イメージ)

新たなSSC/BPOモデル=“単一から多機能へ” +“単体から水平機能へ”

間接業務の改革は、業務の廃止・簡素化・自動化・集約化・外部化、合わせて利用システムの見直し等を通じて実施します。コスト削減の成果創出のためには業務量削減だけでなくヘッドカウントの見直しも必要となります。ここが効果を十分に創出できない一因であることは論を俟ちません。
そしてコロナ禍においては、業種にはよりますが経営悪化による人余りの対策、在宅勤務の増大、BP(ビジネス・パートナー)としての事業部(ビジネス成長)支援の期待の高まり、M&A等による事業拡大に伴う業務基盤整備の必要性 等の新たな課題も顕在化しています。SSC/BPOによりコスト削減を加速させると同時に、従前のコスト削減を主眼とした “単一機能”モデルから、外部環境・経営方針・組織文化等も踏まえた各社に“最適な多機能”モデルへと変化させる必要があります。
 
取り組みの一例を挙げれば、

  • 業界再編が盛んであると同時に、企業横断のロジスティックス並び購買の共同利用もノーマルになってきました。また社員を人手不足の他社へ業種を問わず出向させる取り組みも増加しています。これらの流れの中で、組織横断的な間接業務集約化の可能性は高まっています。
  • BP(ビジネス・パートナー/事業支援)機能を強化するために、間接部門のオペレーション業務担当者を事業部門のノウハウ可視化(優秀な店舗・人材の棚卸やマニュアル化等)や採用・研修支援等に異動させる必要性・説得性は高まっています。よって、SSC/BPO導入後の重要課題である人財再配置等の将来像(BP対象業務の洗い出し)から、SSC/BPOを加速させていくアプローチの有用性も確実に高まっています。
  • シニア人材の有効活用や運用拠点分散化(コロナ拡散等のBCP)の観点から、BPO化した業務の一部をSSC(顧客内)に戻すケースも散見されます。そして、多様な人財の活用という観点から在宅勤務を前提としたマネジメントは今後益々重要にあると考えています。
  • AI/RPA等テクノロジーの実証実験・効果検証の場としてSSCを活用する会社も少なくありません。

 
当社は各社の現状や将来の方向性を踏まえた間接業務の改革支援を実施しています。当社のSSC/BPOサービスは大きく3つで構成されており、その特徴は各社に応じた最適なモデルを構築・実行支援し、その成果(コスト削減・利益向上等)を確実に実現することにあります。

  1. 間接業務改革の計画策定・実行支援(グループ全体のSSC/BPO導入支援を含む)
  2. 各社に最適なSSC/BPO活用モデルの計画・実行支援(業務運用支援等を含む)
  3. ビジネス成長に向けたSSCの組織横断的な業務基盤の構築(プラットフォーム化)並びBP(ビジネス・パートナー)業務の構築・実行支援

【図2】当社のSSC/BPO支援の概要

なお上記は別々の論点ではなく、一つに繋がっているテーマです。確実な効果創出に向けて、全てのポイント(コンサルティング計画策定)、最適モデルの実現と運用(成果の創出)、人財の活用(社員のプロフェッショナル化・BP化)を俯瞰して検討することが重要と考えています。

事例紹介

当社の支援内容並びにSSC/BPOバリエーションモデルを一部紹介します。

  1. 子会社を含めてグループ全体の業務をSSCに徹底的に集約(グループ各社へ外販)する、SSC強化モデル(事例:某公共サービス企業)。この事例では同業界全体の間接業務のプラットフォームになることも目指しています。またBPOの一部業務を自社に戻す場合の受け皿にもなり得ます。
     
  2. SSCに集約した業務の中で、より低コストで実施できる業務又はより専門的な知見が必要な業務をBPO化する、ハイブリッドモデル(事例:某鉄道関連企業)。
    この事例ではノウハウ維持目的として、同一業務の運用主体をエリアや個社単位でSSCとBPOで使い分けています。同時にSSCとBPOとで業務改革を競わせ、コスト削減の推進も目指しています。
     
  3. M&Aでグループ会社が増大する中、新規加入会社はSSC、今までSSCが担当していた現存会社の業務はBPOへ移管する、ビジネス成長支援モデル(事例:某流通企業)。この事例ではまずは自社内で新会社の業務を習得・標準化したうえで、BPOへ順次業務移管させてノウハウを自社内にも残しています。このモデルはグループ全体の間接業務(オペレーション業務)の人手不足の補強にも寄与しています。
     
  4. 担当部門が対応していた、決算・税務等の高度な専門性が必要とされている業務もSSC/BPO化する、プロフェッショナルモデル(事例:某流通企業)。この事例では社員のBP(ビジネスパートナー)化や高度化を目指しています。
    BPの具体的な業務内容として、A社では子会社のCHRO/CFO的な役割へのキャリアアップ、B社では間接部門の社員を各店舗のノウハウ可視化、C社では各地区の人事機能強化(採用支援・労働マネジメント対応等)、を検討しています。
     
  5. 事業変化に伴い事業再編(大胆なコスト削減)をする必要があった場合、全社や個社や事業単位で全間接業務をBPO化する、構造改革BPOモデル(事例:某製造企業)この事例ではコスト削減を主眼であるため、社員の出向・転籍等も含めた人材再活用の検討・実施も同時に必要となります。
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