業務改革

 近年、働き方改革やビジネス環境の変化によって、業務改革(BPR)というワードがよく使われるようになりました。変化していく時代に、企業は大きな改革をせざるを得ない状況になっています。既存の業務プロセスから脱し、新たに構築する業務改革が注目を浴びているのです。

1.業務改革とは

 業務改革とはBPRと呼ばれ、BPRはBusiness Process Re-engineeringの略語です。既存の業務プロセスや業務フローを見直し、業務全体の最適化を図る取り組みを指します。業務改革は業務改善とは異なり、抜本的な組織の在り方を見直す取り組みです。まずは、業務改善との違いを見ていきます。

<業務改革と業務改善の違い>

 業務改革とは、先述のとおり業務プロセスや業務フロー全体を見直し、組織の抜本的な在り方を見直す取り組みです。一方、業務改善とは、業務プロセスや業務フロー全体の中で発生している「ムリ・ムダ・ムラ」を発見し、効率的に業務を回すためにそれらを取り除くという取り組みです。つまり、業務改革と業務改善ではその影響が及ぶ範囲、かかる期間、プロジェクトの規模、実施する目的などすべてが異なります。

  業務改革 業務改善
実施する目的 抜本的に組織の在り方を見直す 「ムリ・ムダ・ムラ」を無くし、効率的に業務を回す
期間 長期に亘る 比較的短期間で終わる
規模 組織全体を巻き込む大規模プロジェクト 部門ごとで行う
影響が及ぶ範囲 組織全体 部門

2.業務改革の進め方

 組織全体を巻き込む業務改革には、必ず大きな目的があり、それによって方針を定める必要があります。

<業務改革の目的>

 業務改革を進めるにあたり、まずはその目的を明確化する必要があります。既存の業務プロセスのどこに問題があるのか。その問題を無くすためにはどのような改革が必要なのか。その改革を行うことでどのような影響があるのか。組織全体のみならず、取引先にも影響を及ぼす可能性があるか。様々な問題・影響を考慮し、取り掛かる必要があります。そのためにも、最終目標を明確化することは欠かせません。

<業務改革の進め方>

 業務改革の目的を定めたら、具体的にどのように進めるのかを検討する必要があります。業務改革の進め方は以下の通りです。

①業務フローチャートを作成する
②業務フローチャートをもとに現状の分析を行う
③分析結果をもとに戦略の策定、およびビジネスプロセスの設計を行う
④実際に運用を開始する
⑤実運用で見えてきた効果や成果をモニタリングし、改善する

順に見ていきます。

  1. 業務フローチャートを作成する
    現状改革が必要だと思っている業務が本当に改革の必要があるものなのか、業務全体を可視化し、確認する必要があります。業務フローチャートを作成することで業務全体の流れを見直すことができ、問題となっている部分の原因がわかります。業務フローの可視化は重要なポイントです。
  2. 業務フローチャートをもとに現状の分析を行う
    業務フローチャートの作成が済んだら、それをもとに現状の分析を行います。業務全体の流れをみて、問題の原因はどこにあるのかを見極める必要があります。また、問題の原因は1つではない可能性もあります。全てを根本から改善するために、時間をかけて分析することが大事です。
  3. 分析結果をもとに戦略の策定、およびビジネスプロセスの設計を行う
    現状の分析が済んだら、次はその現状を打破するためのビジネスプロセス設計を行います。分析して抽出された課題に優先順位をつけ、どの問題から解決すべきかを検討します。
  4. 実際に運用を開始する
    ビジネスプロセスを設計したら、実運用に入ります。抽出した課題を解決するために組織全体で改革を行います。
  5. 実運用で見えてきた効果や成果をモニタリングし、改善する
    業務改革はPDCAサイクルを回し、長期的に改革を行うことが重要です。

3.業務改革を成功させるポイント

 今まで見てきた通り、業務改革は組織全体の在り方を見直すため、一筋縄ではいきません。実際に改革中に目的がブレてしまう企業も少なくないのです。では、最後に業務改革を成功させるためのポイントを紹介します。

<業務改革はなぜ失敗するのか>

 業務改革が失敗に終わってしまう企業には、共通点があります。以下の点に注意して業務改革を行うことで、業務改革が成功に近づきます。

  1. 業務改革の目的は明確か
    業務改革の目的がずれてしまっていては、方向性も定まりません。しっかりと定め、そのために改革すべき点、課題を見つけることが重要です。
  2. 業務改革の目的がしっかり社員に伝わっているか
    業務改革の目的が明確化されていても、それが社員に伝わっていないと意味がありません。組織全体の在り方を根本から見直すが必要がある状況にあるからこそ、しっかり社員に共有し、理解を得たうえで改革に臨む必要があります。
  3. トップダウンで業務改革ができているか
    組織全体に関わることですので、経営のトップの言葉で業務改革の目的や進め方について説明し、理解を得る必要があります。
  4. トップに現場の声が届く環境か
    業務改革により最も影響を受けるのは現場の人間です。現場の人間の声をしっかり聞き、改革に臨む必要があります。

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