プロダクトライフサイクル収支管理
プロダクトライフサイクル収支管理とは
プロダクトライフサイクルとは、企業が売り出す新しい商品が、顧客の支持を経て売り上げを増やし衰退するまでの一連のプロセスを表したものです。そのプロセスはマーケティング戦略として、商品が市場に出てから導入期、成長期、飽和期、衰退期の4つの段階に分けられます。
そして、プロダクトライフサイクル収支管理とは、当該製品が生まれて(開発開始)から死ぬ(EOL)までの収支、すなわちその一連のプロセスの中で発生するすべての費用およびサービス収入まで含めた売上を統合的に把握し管理する手法です。
プロダクトライフサイクル収支管理の必要性
販売価格がマーケットで決められ、コスト低減が下げ止まる中、製品を製造・販売して利益を得るだけではなく、アフターサービスや派生する事業を含めて生涯収益をデザインする「プロダクトライフサイクル収支管理」を取り入れる企業が増えています。
- 製品開発費、生産準備費用等のイニシャルコストが増大しているが、これらを価格転嫁できていない、または、これを回収できるようなコスト構造になっていない
- 生産・生産終了後のアフターコストや品質コスト等が増大し、これらの利益に与えるインパクトが年々大きくなっている
- ライフサイクルも短くなり、また、販売数量の予測も困難となっていることから、廃棄損が多く発生している
- 各部門は個別最適の収益改善に陥りやすく、全体最適でのトレードオフができていない
プロダクトライフサイクル収支管理のメリット
- 業務の効率化
商品のライフサイクルを各フェーズで一括収支管理することで、市場の変化に対応することができ、総合的な収支が予測しやすくなります。
- ビジネスのサステナビリティ向上
製品トータルでの利益効率が改善されることで、ビジネスそのものの持続性が保たれます。
プロダクトライフサイクル収支管理の限界
基本的にはプロダクトライフサイクル収支管理はどの分野の商品にも適用できるもので、便利な理論であると言えます。ただ、売り出された商品がどの時期にあたるかを正確に把握することは簡単ではありません。もちろん、何年経っても同じ品質、同じやり方で提供され続ける商品は断続的に安定した収支を見込めますが、外的要因を受けやすいような商品は爆発的に需要が増えたり減ったりと、一定の需要が約束されているわけではありません。そのため、そのような商品に対するプロダクトライフサイクル収支管理でのアプローチは難しいと考えられます。