2023/05/23

PMOの意味・役割・業務内容とは?PMとの違いや体制の具体例を説明

#経営管理
数多くのステークホルダーが関わる大規模プロジェクトを成功裏に終わらせるためには、プロジェクトを横断的かつ俯瞰的に補佐するPMOは欠かすことができない機能です。具体的には、事務局的立ち位置のPMOはプロジェクト内において、どのような役割を果たすのか。そして、PMと何が違うのか。この記事では一般的なPMOの定義に加え、当社独自のPMOの役割やメリットについても解説します。

1.PMOの役割や機能

PMOとは、Project Management Officeの頭文字をとった略称です。一般的には、大型または中規模プロジェクトにおいて、円滑に進行するように事務局的な立ち位置から、進捗状況、システム・ツールの導入、品質向上、リスクヘッジ、リソースやコストの調整などを管理します。プロジェクトのQCDと呼ばれるクオリティ、コスト、デリバリーを順守しながら、プロジェクトを達成するサポートが主な役割となります。
この一般的なPMOの機能を前提に、当社はどのようにすれば、プロジェクト内で複雑に絡み合う課題の解決に導けるか、そして、遅れている進捗をどう取り戻すことができるのか、という視点に立ち、プロジェクトに関わる情報収集だけにとどまらず、課題解決に向けた具体策を提示し、それを実行していくことが、当社の提案するPMOの特長です。事務局的な立場を取りつつも、プロジェクトの現場であるP(Player)、管理職であるM(Manager)、経営者または経営陣のO(Owner)の3つのレイヤーに分け、それぞれ細やかに支援し、課題解決につなげていきます。
プロジェクトは基本的にオーナーを頂点にプロジェクトマネージャー、現場の検討メンバーのピラミッド型で構成され、多くのケースでは、PMOはプロジェクトマネージャーの横に設置します。一方で経営や現場の支援の観点からオーナーや現場に張り付くケースもあります。

2.PMOの業務内容

PMOの業務は、課題抽出や品質管理をはじめ、リソース・コストの調整、リスク分析、ステークホルダーの対応など多岐にわたります。ただ、それらの業務は内容こそ違いますが、プロジェクトを円滑に進める共通の目的があるため、大括りにすれば、プロジェクトの進捗管理が業務内容と言えるでしょう。
その基本業務に加えて、当社では、P(Player)である現場で、プロジェクトを進める上での解決策の提示や方法論の構築・設計を支援します。
M(Manager)の支援では、意思決定における補佐の役割を果たします。各ステークホルダーとの調整や現場から上がってくる情報を分かりやすく整理し、情報の解像度を高めます。必要に応じて情報の中身を補足し、プロジェクトマネージャーへ報告するために必要な意思決定をサポートします。
経営者または経営陣のO(Owner)のレイヤーでは、現在進行形のプロジェクトが経営にどれだけのインパクトを及ぼすのか、または、プロジェクトを進行していく上での将来的なコストを予測し、BS(賃借対照表)やPL(損益計算書)への影響度合いを慎重に分析することで、経営者が適切な経営判断を下せるように支援します。その他、M(Manager)から上がってきた情報をより分かりやすく“通訳”する役割やステークホルダーへの対応にも積極的に関わります。
具体的には、システム開発やシステム導入のマネジメントを担うことが多くなりますが、それ以外にも、労務改革におけるプロジェクトマネジメントなど多岐にわたります。

3.PMOに必要なスキル

一般的にPMOに必要なスキルとして、
①資格・知識(PMP、情報処理技術者試験、プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格、PMOスペシャリスト認定資格、プロジェクトマネージャー試験、PMBOKの修得等)
②コミュニケーションスキル
③プレゼンテーションスキル
④マネジメントスキル
の4つが挙げられます。

 

さらにそれらのスキルを深掘りすると、1つ目にプロジェクト内に点在している情報を構造化し、わかりやすく整理する力。次に、その整理した情報を基に仮説を立て、どこにどのような問題・課題があるかを抽出し、論理的に解明していく力が必要になってきます。3つ目は個々のプロジェクトに対する豊富な業務知識の蓄積です。課題解決には必ずその業界の一般常識的な知識や専門知識が不可欠となります。4つ目はP(Player)、M(Manager)、O(Owner)の各レイヤーで対応は変わりますが、幅広い見識や高い視座が必要となります。人と人をつなぐコミュニケーションスキル、各ステークホルダーとの調整を進めるための交渉力やプレゼンテーションスキルも要素となり、中核にはこれらの素養を兼ね備えた“人間力”の高い人財が求められます。
また当社のPMOは上記4つのスキルに加えて、業界に関する知識や業務に関する知識を持ち合わせたコンサルタントが支援することで、単なる管理屋で終わるのではなく、中身に踏み込んだ、中身の解決ができるPMOとしてご支援させていただいております。

4.PMOとPMの違い

PMOはProject Management Officeの略に対し、PMはProject Managerの略です。PMはプロジェクト全体のマネジメントをするのに対し、PMOはPMがプロジェクトをマネジメントするための補佐的な役割を担う組織体または機能を指します。
一方、当社が考えるPMOとPMの違いは、PMには意思決定権があるのに対し、PMOには意思決定権がない点です。PMもPMOもプロジェクト成功というゴールは同じで補完関係にあり、進捗管理や品質管理の業務内容も大きく変わりません。

5.PMOが必要なケースや関わり方

当社では、PMOをP(Player)、M(Manager)、O(Owner)の各レイヤーを統制する機能だと位置付けています。PMOはプロジェクトの規模が大きくなればなるほど、重要性が増します。その理由として、規模に比例してステークホルダーも多く登場し、多くの場面で調整が必要となるからです。また、ステークホルダー同士において、利益背反が出るケースもあります。例えばIT部門では効率化を図りたい一方で、現場に近い業務部門では非効率にはなるが、人的リソースを割いてでも品質を高めたい、というケースです。二項対立的な部門にまたがるプロジェクトマネジメントを進めるにあたって、客観的な視点を持つ中立の立場の組織、メンバーによる調整は欠かせません。
また、コンサルタント的な機能としてのPMOが必要なケースもあります。企業の命運をかけたプロジェクト、または企業改革を盛り込んだ新規プロジェクトなど初めての取り組みに関しては、専門的知識は必須です。未知の世界で当事者たちが路頭に迷うことを防ぐ機能を持ちます。
当社では企業理念・風土に基づき、プロジェクトを自分事化して関わっていきます。顧客側に立った組織の一員として、客観的かつ第三者的な立場は忘れないようにしつつも、一メンバーとして働くことが当社の関わり方の大前提となります。いわば、コンサルタントというよりもPMOを通じた“プロジェクト成功請負人”という形での関わり方です。関わる範囲を絞らず、プロジェクトを成功させるために必要な業務にはすべて関与していきます。

6.PMO導入のメリットとデメリット

一般的なメリットとしては、プロジェクトのQCDつまり品質、コスト、納期を管理しやすくなると言われています。プロジェクトの専任メンバーだけでは、細かな業務まで管理しきれず、リソースの観点から一元的に管理するのが難しい状況であれば、PMOにあたる専門の管理機能を作ることで、情報の集中化・集約化を図りつつ、品質やコスト納期をマネジメントすることができます。
デメリットはコストの肥大化です。PMOの業務は社内調整が入ってくるため、外部委託しなくても内製化できるケースも見られます。また、安易に外部に委託することで、企業の社員教育の観点から知識を蓄積するいわゆるナレッジ化ができないことも指摘されます。一方、当社では顧客の一員として、PMOを機能させ、常に情報を共有・蓄積させていくため、そのような懸念はございません。
当社のPMOの導入メリットとしては、大規模なプロジェクトでは様々なステークホルダーの利害や要求・要望を、当事者だけでマネジメントすることは不可能に近く、プロジェクトが大きくなればなるほど、全てのステークホルダーを客観的かつフラットな立ち位置で俯瞰し、意思決定を下さなければなりません。その調整機能や客観的視点を持つのが当社のPMOとなります。
2つ目は、特に伝統のある歴史の長い企業では根の深い問題や手をつけにくい課題を抱えているケースがあり、当社のPMOを導入することで、それらの課題や問題に切り込み、真の改革のエンジンとなります。これが当社のPMOが好評を得ている大きな理由でもあります。
3つ目は、プロジェクトの進捗管理だけでなく、先述したように当社はプロジェクト自体を自分事化し、深く立ち入ることで、課題解決のコンサルティングをできることがメリットとなります。

7.まとめ

PMOが多岐にわたる管理機能を遂行するのと同時に、そのプロジェクトが成功を収めるカギとなるのはPMOの調整力と言っても過言ではありません。その業界に対する深い知見をベースに情報を整理し、立案した仮説に基づき、課題解決を目指す中で、さまざまなステークホルダーといかに信頼関係を構築できるかが成否を分けます。プロジェクト成功のためには、専門性を持ち、かつ客観的に物事を見つつ、気配りも忘れないPMOの適任者を配置することが肝要となります。当社はPMOの数多くの実績と知見があり、定型ではないそれぞれの企業風土やプロジェクトに見合った支援、サービスを提供しています。

この記事の執筆者

堀 優磨
堀 優磨
株式会社レイヤーズ・コンサルティング
HR事業部
ディレクター

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