電子機器メーカーの新工場立上支援

レイヤーズ・コンサルティングの新工場、工場建設、工場設計、工程設計、コンストラクションマネジメント、自動化・省人化、製造IoTにおける支援事例をご紹介します。

◆ この事例のポイント

  • クライアント:大手電設メーカー
  • 課題:工場老朽化で能力増強が課題
  • 対応:構想の再定義~設計までを一気通貫で支援
  • 成果:クライアントの意思決定スピードの向上が実現

クライアントが抱えていた課題

既存工場の老朽化が進む一方で、生産量の継続的な拡大が見込まれており、将来需要に応えるには抜本的な能力強化が不可欠でした。設備更新の積み上げでは限界があると判断し、新工場建設を含む構造的な改革の検討が開始されました。

 

当初より「生産性2倍」という高い目標が掲げられ、自動化・省人化・デジタル活用といった方向性も示されていましたが、具体策や推進体制、実行ロードマップへの落とし込みは不十分でした。理想像はあるものの、実現への道筋が明確でない状況でした。

 

また経営層は、本プロジェクトを今後50年、100年を支える競争力の源泉にしたいと期待していました。しかし検討は既存技術の延長線上にとどまり、「既存工場の置き換え」に収束するリスクを抱えていました。そのままでは、生産性2倍も部分最適の積み上げに終わり、本質的な競争優位にはつながらない懸念がありました。

 

求められていたのは、競合を圧倒するために何が不足しているのかを再定義し、将来を見据えた技術・研究テーマを設定すること。そして本件を単なる新工場建設ではなく、「新しいものづくりへの挑戦」と捉え直し、検討メンバーの視座を事業競争力のレベルへと引き上げることでした。

レイヤーズのアプローチ

「新工場建設を成功させること」だけでなく、「将来の競争力を実装すること」を最上位目的に据え、構想の再定義から設計までを一気通貫で支援しました。
特に以下の6つの観点から、構想の具体化を進めていきました。

 

① 目指すべき目標の明確化(新工場の年度別生産能力目標の設定)
まず着手したのは、新工場が達成すべき生産能力を定量的に定義し直すことでした。最新の市場見通しや事業戦略を反映した中期経営計画の再整理を実施した結果、「いつまでに」「どの工程で」「どの水準まで」生産性を引き上げる必要があるのかを年度別に明確化。単なる総量目標ではなく、工程別のKPIへと分解することで、具体的な設計条件として機能するレベルまで落とし込みました。さらに、「原則として増員せずに増加する生産に対応する」という前提条件を設定。人員増で吸収するのではなく、生産プロセスそのものを進化させるという共通認識を形成したうえで、具体策の検討を開始しました。

 

② 既存技術の整理と技術探索
次に、競争力の源泉を明確にするため、全工程(購買、板金、プレス、塗装、組立、検査、物流など)の詳細作業まで分解し、現行技術の棚卸しを実施しました。
各工程で「現在の技術は何か」「どの作業が人依存か」「どこがボトルネックか」「改善が停滞している領域はどこか」を可視化し、自動化・省人化の余地を定量的に評価。そのうえで、市場に存在する最新技術の探索を行い、即時導入可能な領域と、技術開発が必要な領域を切り分けました。

 

③ 研究テーマの設定
入手可能な先進技術が存在しない工程については、将来の競争力を左右する研究テーマとして設定しました。技術成熟度を踏まえたマイルストーンを定義し、大学や他企業との共同研究などの外部連携の枠組みを構築していきました。これにより、新工場は単なる「既存技術の集積」ではなく、「次世代技術の実装拠点」としての位置づけを明確にしました。

 

④ 新技術の取り込み計画とレイアウト設計
新技術・新設備の導入時期を明確にし、各工程の生産ラインのレイアウト設計をゼロベースで再構築しました。従来の配置を踏襲するのではなく、目標生産能力を達成するための最適なライン構成・設備配置を設計。設備メーカーやプラントメーカーなど複数のパートナーと連携しながら、生産能力・タクト・保全性・将来拡張性を加味した生産ラインを具体化していきました。構想レベルのアイデアを、設備仕様・スペース・投資規模まで落とし込み、実行可能な設計案へと昇華させました。

 

⑤ 工程間連携と全体整合
各工程のレイアウトが一定程度固まった段階で、次に取り組んだのは全体最適化です。個別工程の最適解が、必ずしも工場全体の最適解とは限らないためです。
モノ・人・情報の流れを整理し、工程間の滞留、搬送距離、仕掛在庫の発生要因を洗い出したうえで、各工程の生産性の向上施策が工場全体の生産効率が最大化する工程の能力・組み合わせとなるよう確認・追加検討をしました。加えて、レイアウトや設備に併せて必要となる要員計画も策定し、各工程の人員再配置も年度別に遷移計画を策定しました。
さらに、直接工程を基軸に全体構造を固めた後、事務棟、厚生棟、駐車場、食堂といった間接機能との動線も含めて再設計を行い、働きやすさと効率性を両立する工場レイアウトへと統合しました。これにより、単なるライン設計ではなく、「一つの統合された生産システム」としての新工場像を具体化しました。

 

⑥ 新工場建設計画との整合と移管シナリオ設計
最後に、新工場への移行フェーズを構想段階から具体化していきました。設備移設や新設備導入など多くのイベントが発生する中でも、生産能力を落とさずに切り替えをスムーズに実行する必要があります。長期連休や休日を考慮した日別レベルの詳細スケジュールを策定し、設備ごとの移管工数を見積もったうえで、移管順序、立上げ期間、想定リスクを事前に洗い出していきました。さらに、想定トラブルに対する代替生産シナリオやバックアップ体制も設計し、移行期の供給リスクを最小化する計画を構築しました。

 

これら6つの取り組みを通じて、新工場は単なる設備更新ではなく、「将来の競争優位を実装するプロジェクト」へと進化しました。構想、技術、設計、全体最適、移行計画までを一貫して設計することで、実現性と戦略性を両立した新工場計画を具体化していきました。

成果と顧客満足

本件は進行中であるため、現時点までの成果と顧客満足についてご紹介します。

 

構想段階から伴走することで、プロジェクト全体の推進力は大きく向上しました。まず顕著に表れたのは、検討スピードの向上です。論点の構造化、意思決定事項の明確化、会議体の設計を徹底することで、議論の手戻りや曖昧な検討を排除し、各フェーズを計画通り、あるいは前倒しで進めることが可能となりました。あわせて、重要マイルストーンの可視化とリスクの事前洗い出しを徹底したことにより、納期遵守の確度も大きく高まりました。

 

さらに、プロジェクトメンバーの視座にも明確な変化が生まれました。日々の業務改善の延長ではなく、「将来の競争力をどう構築するか」という経営視点で議論する文化が醸成され、検討の質が一段引き上げられました。各工程の最適化にとどまらず、全体最適・事業競争力という観点から意思決定が行われるようになったことは、本プロジェクトの大きな成果の一つです。

 

そして何より、「妥協を許さない」プロジェクト推進が定着しました。当初掲げた生産性2倍という高い目標に対し、困難な論点や技術的課題が顕在化した場合でも安易な目標引き下げに逃げることなく、代替策や新たな打ち手を徹底的に検討する姿勢が組織内に根付きました。

 

その結果、新工場構想は単なる設備更新計画ではなく、企業の将来を支える競争力強化プロジェクトとして着実に前進しているとの評価をいただいており、現在も強固なパートナーシップのもとでプロジェクトを推進しています。

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