CHRO・人事がクリエイティビティで勝つ人的資本経営

当社は、2024年の人的資本経営を「人的資本開示Phase2」、かつ、「人的資本経営実走Phase1」の局面と位置付けております。特に実走においては、新たな考え方である人的資本経営に取り組むには、CHRO・人事がクリエイティビティを発揮した差別化と、並行した人的資本経営の高度化が必要と考えられます。上記内容について、2024年5月15日の当社セミナーでご説明した内容のポイントを踏まえ、以下お伝え致します。

人的資本開示をめぐる最新動向

2024年の日本の人的資本開示は、有価証券報告書における開示が義務化された2023年に次ぐ、いわば「人的資本開示Phase2」の局面にあり、様々な動きが見られます。
まず、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)は、今後2年間で取り組むサステナビリティ開示の研究プロジェクト(S3)のテーマに、自然(生物多様性)と人的資本の2つを選定しました。そこでは、関連した既存の取り組みをベースに検討を進めるとしており、ISO 30414も参照される可能性が高まっています。

また、ISO 30414の認証取得企業はグローバルで20社に増え、うち日本企業が13社を占めて全体をリードしています。もっとも、日本企業の多くが人的資本レポートを発刊したものの、施策・指標の開示が主体で戦略・おもいの表現が弱い、つまり、独自性・創造性の強化余地があるものが少なくない印象です。

さらに、有価証券報告書における人的資本開示に関して、金融庁が最低限の留意事項を取りまとめた「有価証券報告書レビュー」を3月末に公表しました。そこでは、開示義務は従変更ありませんが、戦略連動性や連結開示の充実をより求めています。この点に関して、2023年12月決算期企業の有価証券報告書では、戦略連動性や連結開示がより意識されている印象です。

差別化戦略としての人的資本経営とISO 30414活用

我々は、人的資本経営の開示から実走準備に転じる上で、先行した人的資本開示を活用した体系化・統合化が有用と考えます。体系化・統合化とは、経営戦略~人財戦略~人事施策~企業価値が一貫し、ステークホルダーと双方向で腹落ちできる対話「ナラティブ」と、そこに紐づくKGI・KPIが体系的・統合的に整理されることを指します。その目指すところは、企業価値向上・勝ち残りのための差別化戦略・施策をナラティブとして語り、よりアグレッシブに差別化することです。
「差別化した人財戦略」として、例えば下記の例が考えられます。

  • 独自の経営戦略・ポジショニングを体現
    経営戦略やポジショニング等が同一の企業はなく、それを実現するための人財戦略も自ずと独自性を伴うと考えます。
  • 個別事業の事業戦略との連動
    全社人財戦略でカバーし切れない事業では、個別事業独自の人財戦略を立案する必要があるでしょう。
  • ヒトの特長・強みの表出化
    人財のAs-Is/To-Beギャップを埋める土台には、各社独自のヒトの特長・強みがあるはずで、その表出も差別化と考えられます。
  • グループ視点への拡張
    人財戦略の視点をグループに拡張して実行力を高めることも、単体ベースの人的資本開示が主流の現状では差別化となります。

なお、当社は[独自性=自由演技]を[標準形=規定演技]に上乗せして差別化することにこだわって、人的資本経営コンサルティングを展開しております。

【図1】差別化した人財戦略の例:ヒトの強み・特徴の表出化

CHROと人事の「創造性」が人的資本経営のキモ

独自性を上乗せして差別化した人的資本経営では、CHROと人事の創造性が不可欠と当社は考えます。新しい考え方である「人的資本経営」へのチャレンジだからこそ、CHRO・人事の創造性と、それが発揮できる環境が重要とも言えるでしょう。
そして、CHRO・人事に期待される「創造性」のポイントは、下記3点と考えております。

  1. 企業価値向上・勝ち残りのナラティブと人財戦略・施策を体系的に紡ぎ上げる戦略連動性をより高めて、経営視点より人事戦略・施策の実効性を高め、開示を通じたステークホルダーとの対話を経営・人事に活かします。
  2. ヒトのマネジメントのあり方を創りかえる
    人財戦略・施策とKGI・KPIを体系化し、データを活用して戦略・施策の精度や実効性を高める、かつ、人的資本マネジメントの現場化を進めます。
  3. 人事部門のあり様を創りかえる
    CHRO・人事には、ヒトの観点より経営の一翼を担う、戦略・施策とKGI・KPIを体系化する、現場への委譲と目配りを両立するアクションが求められます。また、よりオープンなスタンスに転じ、社内外のステークホルダーと積極的に対話することも必要です。

ISO 30414を活用した人的資本経営の「土台構築」のポイント

人的資本経営の高度化に向けた仕組み作りは、一般的なスタンダードを活用して構築した人的資本経営の土台に独自性を上乗せすることで着手すべきと考えます。
上記した「土台構築」のポイントは、下記2点と言えるでしょう。

  1. スタンダードを活用した人的資本の可視化
    人的資本に関する指標を一定以上網羅し、指標・データ定義がある程度確立されているISO 30414の活用が有効と考えます。
  2. 指標ごとの業務フローの確立
    「データ・システム」(Input)、「レポーティング」(Process/Output)、「ステークホルダーとのコミュニケーション」(Outcome(Action))の観点より検討します。

なお、ISO 30414の認証取得において、当社は独自テンプレートを活用して迅速・的確にプロセスを可視化しております。これにより、単なる指標の算出・開示を超えて、堅固なプロセスの下でマネジメントを進める基本的仕組みの表出・構築を実現致します。当社は、ISO 30414とのFit &Gap分析~Gap解消や業務フロー可視化、さらに、ナラティブの視点も踏まえた開示レポート作成までを、約6~8か月でご支援しております。

また、人的資本経営にあたってはHRデータの収集も必要です。
ただし、現在主流の表計算ソフトによる人海戦術では、「データの入力ルール未整備により、データ精度が悪い」、「フォーマットが不統一で、データの取りまとめに工数が掛かる」等の課題があります。
これら課題を解消するには、「ITツール活用による効率化」、「データ精度の向上・標準化」(ベースは次項のマネジメント要件)が必要です。

人的資本経営に資するマネジメント要件整理のポイント

人財戦略の実現に向けて「誰が」「何のために」「何を」マネジメントするかによって、人的資本データの見方が異なります。マネジメントの実効性を高める上では、マネジメント要件の表出化が必要です。また、「経営を担う人事」「現場に寄り添う人事」を進める上では、「経営」「現場」とのコミュニケーションの精度を高めるためにも、マネジメント要件の整理が必要です。

マネジメント要件を整理するには、見るべきHCM-KPIに対する5W1Hの視点が有効で、その出発点に当たるのは「誰が」「何のために」「何を」マネジメントするかです。
マネジメントの目的の例には、経営のKPIの進捗把握、人財戦略・施策の策定・見直し時の検討材料としての活用等が挙げられます。「どの会議体・どの場面で」「いつ」の観点では、例えば半期ごとにHCM-KPIをモニタリングするマネジメントメカニズムを設計します。また、「どのようにレポーティングするのか」の観点において、例えば以下の切り口があります。

  • 予実比較:計画値と実績値のギャップの発生要因を特定
  • 時系列比較:類似した局面等と水準や勢いを比べて、相違の有無や要因を抽出
  • 社内比較:他事業・組織と比較して、水準の相違や要因を特定
  • 他社比較:開示情報より、他社との相違の要因を比較・深掘り

【図2】マネジメント要件整理のポイント

おわりに

グローバルスタンダードの動向を見ても、人的資本経営への流れは不可逆的、かつ、より高度化が求められると見込まれます。当社は、単なる開示対応を超えてこのトレンドを賢く活用することで、ヒトの観点から差別化して勝ち残ることが良策であり、それにはCHRO・人事の皆様方のクリエイティビティと、それを実現する仕組みの高度化が欠かせないと考えます。本メルマガならびに当社サービス・セミナーにご関心をお待ち頂けましたら、お気軽にご連絡を頂けますと幸いです。

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この記事の執筆者

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