会計システム刷新

【第19回】
会計システムのシステム連携にはどんなのがあるの?

◆この記事の要約

本記事では、会計システム刷新で失敗を防ぐ鍵となる「基幹システムとのシステム連携」を整理します。
購買管理・生産管理・販売管理・人事給与管理からの取引データを、インターフェースサブシステムで仕訳データへ変換し、IT統制とETLツールで安定運用する考え方を解説します。

  • 基幹システムの全体像:会計システムは下流に位置し、上流システム(購買管理、生産管理、販売管理、人事給与管理)のデータを連携して会計処理。スクラッチ開発の古いシステムが残っているとデータの流れが複雑化。
  • 連携タイミングと明細化:検収・入庫、支払、出荷(検収)、入金、給与支払など「会計上の取引」で取引データを連携。従来のサマリー連携(合計仕訳)から、品目・数量・単価を含む明細単位連携が増加。
  • 機能配置の論点:支払管理や売掛金管理は、請求条件・サイト等が複雑な場合は購買/販売側に機能配置されることもあるため、システム刷新時の早い段階で切り分けを検討。
  • インターフェースサブシステム:上流の取引データをERPや会計パッケージのデータ形式(仕訳の形式)へ変換して登録。IT統制が担保されれば承認済仕訳として計上できる。ETLツールで送受信・変換を自動化し蓄積機能も持つ場合もある。
企業には、会計システムのほかに購買管理システム、生産管理システム、販売管理システム、人事管理システム等の基幹システムがあります。会計システムは下流に位置し、上流のシステムからのデータを連携し、会計処理を行うことが一般的です。
 
したがって、会計システムを刷新するうえでは、この上流システムから情報を理解することが重要になります。特に、上流システムに昔からのスクラッチ開発のシステムを使っている場合、システム連携が複雑になります。また、会計システム刷新に合わせ上流システムを刷新したり、ERPを導入したりすることもありますが、これらの刷新がうまくいかず、会計システム刷新に影響がでたプロジェクトも少なくありません。
 
そこで今回は、ERPや会計システムパッケージによる「会計システム刷新」のキホンのキとして、会計システムにおける基幹システムとの連携の概要をご紹介します。

基幹システムとは

基幹システムとは、企業の主要な業務を支える情報システムのことを指します。一般的に、基幹システムとしては以下に挙げた種類があり、会計システムは基幹システムを構成する重要なシステムです。

購買管理システム:商品や資材の発注、検収、支払、仕入先管理など
生産管理システム:製造計画、工程管理、生産実績、受払・在庫管理、品質管理など
販売管理システム:商品などの受注、出荷、売上、請求、顧客管理、在庫管理など
人事給与管理システム:従業員情報、給与計算、勤怠管理など
会計システム:仕訳、勘定、決算、予算管理など

【図1】基幹システムの全体構イメージ

会計システム以外の基幹システムを会計システムから見て上流システムと呼ぶこともあります。これは、これらのシステムのデータが元になって、会計データが作られることに由来しています。また、これらの上流システムから会計システムへ取引データを送り、それらを仕訳に変換するインターフェースシステムを用意していることも一般的です。特に、上流システムが古く、いまだ自社開発のシステムである場合、データの流れ等が複雑化するため、このインターフェースシステムが重要なシステムになります。

ERPはこうした基幹システム統合したものであり、会計システムはERPの重要な構成要素となっています。ERPではすでにデータ間が連携され統合されているため、その範囲であればシステム連携やインターフェースシステムをあまり考慮する必要がありません。その中で今回は、ERPを使用せず上流の基幹システムが独立している場合のシステム間連携について説明します。

※ERP(Enterprise Resource Planning)は、その名のとおり最適資源計画を作る経営意思決定システムを目指したものですが、現実的には基幹システム(各種伝票処理システム)を統合した域に依然とどまっています。

購買管理システムとの連携

購買管理システムは、商品・原材料・部品・資材などの購買活動を効率化・最適化するためのシステムです。主に購買依頼から支払までのプロセスを管理します。
購買システムの主な機能は下記になります。

【図2】購買管理システムの主な機能とシステム連携

購買依頼管理

購買依頼管理は、購買申請の登録、承認ワークフロー、依頼内容の審査、購買予算管理等のプロセスを管理します。一般的に購買依頼時点では、まだ会計上の取引ではない(仕訳を起こす必要がない)ため、会計システムとの連携は不要です。

発注管理

発注管理は、取引先への見積依頼、取引先選定、発注量の自動計算、発注書発行等のプロセスを管理します。生産管理システムで所要量展開を行い、発注量を自動計算し、注文する場合もあります。
一般的に発注時点では、まだ会計上の取引ではない(仕訳を起こす必要がない)ため、会計システムとの連携は不要です。

検収・入庫管理

検収・入庫管理は、取引先からの納品のチェック、納品検収、入庫登録、棚卸、在庫更新等のプロセスを管理します。一般的に、検収段階で会計上の取引になる(仕訳を起こす必要がある)ため、検収データを取引データとして会計システムに連携します。連携タイミングは、リアルタイム、日次、月次等様々な場合があります。

以前は、会計システムでの仕訳データ数や容量等の問題から検収データをサマリー(合計仕訳)することも一般的でしたが、昨今は会計側での分析等のために、1件1件の検収データ(品目、数量や単価等を含めて)を連携する場合も増えてきています。

支払管理

支払管理は、取引先からの請求書照合、支払決定(手段、サイト等)、支払承認、支払、残高管理等のプロセスを管理します。一般的にERPや会計パッケージでは、支払管理は会計システムの範囲です。
しかし、自社開発等のシステムの場合は、会計システムとの機能の切り分けが問題となります。取引先への支払条件(サイト、支払手段等)が複雑な場合、購買システム側に機能は配置されることがあります。
例えば、「買掛金の支払は原則月末締め翌月末の振込支払だが、ある一定の金額を超えると手形やでんさい(電子記録債権)、支払サイトが3か月後となる」といった取引条件の契約も少なくありません。

このような場合、会計システムの標準機能で対応できない部分も出てきますので、購買システムに機能配置することもあります。ただし、全てを購買管理システム側に機能配置するわけではなく、取引先からの請求書照合、支払決定(手段、サイト等)、支払承認、支払、残高管理などのうち一部を機能配置するケースもあります。したがって、会計システムを刷新する場合には、早い段階でこの機能配置を検討する必要があります。

一般的に支払時点では、会計上の取引になる(仕訳を起こす必要がある)ため、支払データ(支払決定データ、支払済みデータなど機能配置で異なる)を取引データとして会計システムに連携します。連携タイミングは、支払とのタイミングの関係があるため、リアルタイムや日次が多いようです。

取引先管理

取引先管理は、取引先情報の登録、QCD評価、交渉履歴管理等のプロセスを管理します。取引先マスタは、一般的にERPではマスタが統合されているため問題になりませんが、自社開発等のシステムの場合は会計システムとの間でどちらが会社として基本となるマスタかを検討する必要があります。

購買システムの取引先マスタが基本になる場合は、取引先マスタを会計システムに連携する必要があります。逆に、会計システムの取引先マスタが基本となる場合は、取引先マスタを購買管理システムに連携する必要があります。連携タイミングは、システム間のマスタ不整合を防ぐため、リアルタイムや日次が多いようです。

生産管理システムとの連携

生産管理システムは、主に製造業で使用されるシステムで、生産プロセス全体を効率化・最適化するためのシステムです。製品の受注から出荷までを管理します。原価管理機能を生産管理システムで持つか、会計システムで持つかで、大きくデータ連携が異なるという点には注意してください。

【図3】生産管理システムの主な機能とシステム連携

受注管理

受注管理は、受注情報の登録、納期確認、受注生産の計画立案理等のプロセスを管理します。
また受注管理は、販売管理システムとの機能の切り分けで、保有する機能が異なります。受注時点では、まだ会計上の取引ではない(仕訳を起こす必要がない)ため、会計システムとの連携は不要です。

生産計画

大日程計画・中日程計画・小日程計画の立案、生産キャパシティ調整等のプロセスを管理します。
生産計画は会計上の取引ではない(仕訳を起こす必要がない)ため、会計システム連携は不要です。

所要量展開(MRP)

原材料・部品・中間品の必要量計算、調達計画の自動生成等のプロセスを管理します。
所要量展開は会計上の取引ではない(仕訳を起こす必要がない)ため、会計システム連携は不要です。

工程管理

生産指示、工程進捗管理、作業実績管理、完成実績管理等のプロセスを管理します。
会計システム側の原価管理機能を使う場合、原価管理サブシステムに作業実績データや完成実績データなどを連携します。連携タイミングは、リアルタイム、日次、月次等様々な場合があります。

在庫管理

在庫管理は、材料・仕掛品・製品等の入出庫管理、在庫引当、定量発注、在庫管理、棚卸等のプロセスを管理します。在庫管理で、棚卸資産の受払金額を計算している場合には、受払金額は会計上の取引であるため、会計システムに入出庫データ(数量、金額等)を連携します。

また、会計システム側の原価管理機能を使う場合、原価管理サブシステムに入出庫データ(数量)を連携します。この場合は受払に係わる仕訳は会計システム側の原価管理サブシステムで行います。連携タイミングは、リアルタイム、日次、月次等様々な場合があります。

原価管理

原価管理は、費目別計算、部門別計算、仕掛品・製品別計算、売上原価計算等のプロセスを管理します。
生産管理システムで原価管理機能を持つ場合は、会計システムに材料・仕掛品・製品等の受払データ(金額)を連携します。連携タイミングは、リアルタイム、日次、月次等様々な場合があります。
会計システム側の原価管理機能を使う場合、生産管理システムの原価管理機能は一般的に使いません。

※ただし、製品等の種類で切り分けて、両者に原価管理機能を持つ場合もあります。
例えば、プロジェクト別原価計算は会計システム、製造指図書別原価は生産管理システムといった切り分けもあります。

品質管理

品質管理は、品質チェック、検査データ管理、トレーサビリティ、補償管理等のプロセスを管理します。
品質管理に、補償費の支払管理(債務計上)がある場合に、会計システムに補償費データを連携します。その場合、連携タイミングは、支払とのタイミングがあるため、リアルタイムや日次が多いようです。

販売管理システムとの連携

販売管理システムは、企業が販売活動を効率化・最適化するために使用するシステムです。受注から売上計上、顧客管理までを管理します。

【図4】販売管理システムの主な機能とシステム連携

受注管理

受注管理は、引き合い情報の登録、見積作成、受注情報の登録、納期管理等のプロセスを管理します。
一般的に受注時点では、まだ会計上の取引ではない(仕訳を起こす必要がない)ため、会計システムとの連携は不要です。

売上管理

売上管理は、売上実績の登録、売上実績分析等のプロセスを管理します。
一般的に、出荷または顧客の検収段階で会計上の取引になる(仕訳を起こす必要がある)ため、出荷(検収)データを取引データとして会計システムに連携します。連携タイミングは、リアルタイム、日次、月次等様々な場合があります。

以前は、会計システムでの仕訳データ数や容量等の問題から出荷データをサマリー(合計仕訳)することも一般的でしたが、昨今は会計側での分析等のために、1件1件の出荷データ(品目、数量や単価等を含めて)を連携する場合も増えてきています。

在庫管理

在庫管理は、商品・製品等の入出庫管理、在庫引当、定量発注、在庫管理、棚卸等のプロセスを管理します。売上管理ではなく在庫管理で出荷(検収)データを管理している場合は、出荷(検収)データを取引データとして会計システムに連携します。連携タイミングは、リアルタイム、日次、月次等様々な場合があります。

売掛金管理

売掛金管理は、請求確定、請求書発行、入金、入金消込、残高管理析等のプロセスを管理します。
一般的にERPや会計パッケージでは、売掛金管理は会計システムの範囲です。
しかし、自社開発等のシステムの場合は、会計システムとの機能の切り分けが問題となります。取引先への請求条件(サイト、回収手段等)が複雑な場合や入金消込が複雑な場合、売掛金管理機能が販売管理システム側に機能配置されることがあります。

また、BtoCのビジネスでは取引先が非常に多いため、販売管理システムに売掛金機能が配置されることが多いようです。したがって、会計システムを刷新する場合には、早い段階でこの機能配置を検討する必要があります。一般的に入金時点で、会計上の取引になる(仕訳を起こす必要がある)ため、回収データおよび入金消込データを取引データとして会計システムに連携します。連携タイミングは、リアルタイム、日次、月次等様々な場合があります。

取引先管理

取引先管理は、顧客情報の登録、購買履歴管理、与信管理等のプロセスを管理します。
取引先管理は、一般的にERPではマスタが統合されているため問題になりませんが、自社開発等のシステムの場合は、会計システムとの間でどちらが会社として基本となるマスタかを検討する必要があります。

販売システムの取引先マスタが基本になる場合は、取引先マスタを会計システムに連携する必要があります。逆に、会計システムの取引先マスタが基本となる場合は、取引先マスタを販売管理システムに連携する必要があります。連携タイミングは、システム間のマスタ不整合を防ぐため、リアルタイムや日次が多いようです。

人事給与管理システムとの連携

人事給与管理システムは、企業や自治体の従業員に関する人事情報管理、勤怠管理、給与計算、社会保険・税務処理などを管理するシステムです。

【図5】人事給与管理システムの主な機能とシステム連携

人事情報管理

人事情報や従業員情報の登録・更新、経歴・資格管理、入社・退職管理等のプロセスを管理します。
一般的にERPでは、従業員マスタが統合されているため問題になりません。
しかし、自社独自開発等のシステムの場合、人事マスタを会計システムに連携する必要があります。連携タイミングは、システム間のマスタ不整合を防ぐため、リアルタイムや日次が多いようです。

勤怠管理

勤怠管理は、出勤・退勤記録、残業・休暇申請・承認、シフト管理、勤怠集計等のプロセスを管理します。勤怠データは、会計上の取引ではない(仕訳を起こす必要がない)ため、会計システムとの連携は不要です。ただし、原価管理サブシステムで勤怠データ(時間)を利用する場合は、原価管理サブシステムに連携します。

給与管理

給与管理は、給与・賞与計算、控除項目管理(保険・税金)、明細書発行、社保手続、年末調整等のプロセスを管理します。月末に給与等の未払いがある場合には、給与管理で給与計算期間と会計期間の差分としての未払給与等データを連携することもあります。連携タイミングは、期末または月末の未払費用計上時点が一般的です。

支払管理

支払管理は、従業員への給与・賞与の支払データの作成、支払データ送信、支払等のプロセスを管理します。会計システムの支払機能も利用できますが、個人の支給額が会計仕訳になるため、人事給与管理システムで支払う場合も少なくありません。人事給与管理システムで支払う場合は、給与額を部門別人件費等に集計した給与データを会計システムに連携します。連携タイミングは、支払時点が一般的です。

人事評価・目標管理

人事評価・目標管理は、評価シート作成、目標設定・進捗管理、人事考課(評価、処遇決定)等のプロセスを管理します。人事評価・目標管理は、会計上の取引ではない(仕訳を起こす必要がない)ため、会計システムとの連携は不要です。

インターフェースサブシステムの概要

インターフェースサブシステムは、上流の基幹システムから取引データ等を受信・蓄積し、仕訳データに変換するシステムです。

変換機能

上流システムからの取引データ等は各上流システムの取引に応じて各種の形式があります。仕訳データはERPや会計パッケージが用意したインターフェースデータ形式に準拠します。
つまり、変換機能は、色々な形式の取引データを、ERPや会計パッケージの用意した形式(仕訳の形式)に変換する機能です。上流システムで勘定科目等がない場合は、取引に応じて勘定科目等の仕訳に必要な項目を追加します。以前は、取引明細データを集約(サマリー)して仕訳計上することが多かったのですが、昨今は取引の分析や統制を行うため、明細単位での計上が多くなってきています。

他システムからのインターフェースデータでの仕訳登録は、IT統制がしっかり担保されていることを前提に、登録時点で正式な仕訳(承認済仕訳)として計上とすることができます。IT統制が担保されていない場合(インターフェースの途中で改竄のリスクがあるなど)は、人間系で確認や承認が必要になり、未承認仕訳として計上します。また、データの送受信変換等は、通常ETLツールなど用いて行います。

※ETLツールとは、データ抽出(Extract)、変換(Transform)、ロード(Load)の3つのプロセスを自動化するソフトウェアです。

蓄積機能

インターフェースサブシステムは、データ変換機能が中心ですが、上流の取引明細を一元的に管理したいとの要求に合わせ、蓄積機能を持つこともあります。こうしたデータを一元管理するデータ基盤としては、データ基盤用の製品・サービスを利用することが一般的です。

まとめ

今回は、ERPや会計システムパッケージによる「会計システム刷新」のキホンのキとして、会計システムにおけるインターフェースサブシステムについてご紹介しました。今後の会計システム刷新は、ERPや会計パッケージに限らず様々なクラウドサービスやAIサービスを活用して「真に経営に資する情報システム」として実現する必要があります。個別のERPや会計パッケージ、クラウドサービスの活用のポイントについては、是非レイヤーズ・コンサルティングにお問い合わせください。

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