エクセルバケツリレー症候群の処方箋

DXがキーワードとして世に認知されて数年がたちましたが、いまだ「情報のエクセルバケツリレー」があらゆる業務でなくなっていません。貴社もバケツリレー症候群になっていないでしょうか。
・前工程からの引継ぎ情報を自部門のエクセル・画面に再度入力している。
・入力しようとしたが不明点が多く前工程に問い合わせを行なっている。
・入力内容に不備が判明し、前工程に修正依頼を行い、再度業務をやり直している。
・各部門の情報を繋ぐことができず、何が正しい情報かわからない。
・業務の属人化が著しく、もしもの際の事業リスクがある。

昨今DXツールも進化しています。今回は業務領域毎のバケツリレー症候群とその処方箋をご紹介します。

決算バケツリレーの処方箋

ERP等の普及により、単体決算はある程度の効率化を実現している企業が多い中(フロントデータの修正に膨大な時間を要している企業も散見されますが)、連結決算(特に管理連結)は未だにバケツリレー症候群にかかっている企業が多くみられます。特に会社間をまたがるので情報のブラックボックス化は深刻さを増しています。
各国のシステムを統一して管理連結を実現するのが最も精度は高いですが、かかる時間と労力は膨大です。
 
こんな時には、標準取り込み口を定義した上で、DXツールで連結用の統合データベースを作り、ダイレクトに入出力する方法を採用することで、比較的短期間で症状を改善させることが可能です。

【図1】決算バケツリレーを2カ月で解決

経営計画バケツリレーの処方箋

恐らく最も病状が深刻なのは計画策定の業務領域です。各部門の意思が入ってくる分、更に複雑になるだけでなく、考え直し、目標変更、そもそもの環境変化等の要因によってやり直しが多発し、結果「年間の半分は計画策定期間」という会社も少なくありません。更にエクセルバケツリレーは粒度に限界があり、本来計画実績対比としてほしい単位をあきらめざるを得ないことが大半です。(例えば製品別製品群別をあきらめて事業別等)
 
計画策定ツール自体は大分前から存在はしたのですが、最近はツールが充実してきました。販売・生産・購買・投資・人員・原価・損益等の計画が連動して策定できるツールです。これらツールを活用すれば変更分の反映もツール内で処理できるため、短期間、短サイクルで詳細粒度の経営計画を策定することが可能になっています。

【図2】経営計画バケツリレー解決イメージ

サプライチェーンバケツリレーの処方箋

本領域もERPの台頭がその改善に一役かっている部分ではありますが、「部分的にしか活用できていない」「そもそもERPの前のプロセスの連携が問題」等、バケツリレーは撲滅しきれていないのが大半ではないでしょうか。

  • 営業でクライアントとの「仕様」をしっかりと固めないために、設計で繰り返し仕様の詰めが発生してしまう。
  • 設計でしっかりと設計が詰められていなかったために、生産で頻繁なトラブルが発生し、非定常業務(トラブル対応)が増加する。
  • 生産で後工程の順序立てを無視した生産を行い、物流効率が低下し、増便が必要になる。

これらは全て部門間連携の「際」で発生している課題です。各部門間連携の必要情報を明確化し、情報がスルーで流れるように設計していく必要があります。

【図3】サプライチェーンバケツリレーの「際」

例えば顧客仕様によって製品構成が変更される受注生産品の場合、得てして顧客仕様 → 製品構成 → 生産…はそれぞれバラバラの業務になっていて、手戻り・二重入力・冗長なL/Tになりがちです。
CPQ(Configure:部品構成、Price:価格、Quote:見積書などの作成を行うソフトウェア)をはじめとした各種DXツールを連携させていくことで、業務・情報の全体スルー化を実現し、無駄な業務・L/Tを排除していくことが重要です。

【図4】サプライチェーン業務スルー化イメージ

業務をスルー化するためには情報のスルー化も必要となります。情報をスルーで連携させていくには各部門が好き勝手に登録・メンテナンスしている情報を揃えて一元管理することが重要です。独自のやり方でデータ定義・管理を行うことで「変換の嵐(又は変換できない)」「他部門にとっては使えない、必要ない情報」に陥っていることがよくあります。

【図5】使えない・意味のないデータ連携

DXツールは本当に特効薬となりえるのか

管理連結ツール、経営計画ツール、ERP、CPQ、3DCAD、PLM、CAM… バケツリレーをなくすためのDXツールは充実してきました。
ではツールを導入すれば全ては解決されるのでしょうか?
「DXツールを導入したが何も変わっていない」「入力作業が更に複雑で大変になった」というケースもよくあります。安直にツールに飛びつくことは危険です。
 
解決したい課題・方向性、繋ぐべきデータ・その定義、変えるべきプロセス・変更後の姿等、「何がしたいのか?」「あるべき姿」を十分に検討し、DXツールはそれを実現するための手段と考えている企業のほうがバケツリレーの撲滅に成功しています。急がば回れの諺にあるように、HowよりWhy、Whatを重視することが秘訣です。
 
今回は一部領域のバケツリレー症候群とその処方箋をご紹介させていただきましたが、当領域以外にも様々な事例がございます。
詳細については是非お問い合わせください。

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