会計システム刷新

【第17回】連結決算ってシステムでどうやるの?

◆この記事の要約

本記事では、会計システム刷新で押さえるべき「連結会計サブシステム」の全体像を解説します。各種マスタ設定から連結データ取り込み、資本連結・内部取引消去などの連結処理、連結財務諸表(P/L・B/S・C/F)作成までを、ERPと会計パッケージ選定の観点で整理します。

  • 連結会計サブシステムの主要機能:企業グループの財務状況を一元的に把握・報告し、連結決算データを作成する基盤(財務会計を中心に整理)。
  • 連結データ取り込み処理:仕訳・勘定残高を、手動入力/Excelインポート(連結パッケージ:連結PKG)/会計システムのインターフェースデータで取り込み。ETLツールやAPI、取り込みステータス管理で運用を安定化。
  • 連結処理の中核:資本連結(のれん・非支配株主持分)、内部取引消去、債権・債務消去、未実現利益消去を連結仕訳として計上。投資履歴や取引先情報など事前登録が成否を左右。
  • 導入上のポイント:ERP/会計パッケージ標準か連結専用パッケージかを、自社要件と標準機能を踏まえて選定。明細データ蓄積の可否(保持データ量・データ変換方法)も導入時に確認が必要。
会計システムのサブシステムとして連結会計サブシステムがあります。複数の子会社や関連会社を持つ企業グループが、グループ全体の財務状況を一元的に把握・報告するためのシステムです。上場企業は連結ベースでの財務諸表開示が義務付けられているため、連結会計サブシステムが必要です。
 
連結会計サブシステムは、ERPや会計パッケージの一部として提供されるものもありますが、専用パッケージとして提供されるものもあるため、ERPや会計パッケージの導入にあたっては、それらがどのような標準機能をもっているか、ERPや会計パッケージと同じものを選ぶか、違う提供企業が提供するものを選ぶかといった検討が重要となってきます。
 
そこで今回は、ERPや会計システムパッケージによる「会計システム刷新」のキホンのキとして、会計システムにおける連結会計サブシステムについてご紹介します。

連結会計サブシステムの主要機能

連結会計サブシステムは、複数の子会社や関連会社を持つ企業グループが、グループ全体の財務状況を一元的に把握・報告するためのサブシステムです。

【図1】会計システムのシステム構成イメージ

連携会計には、財務会計と管理会計がありますが、ここでは財務会計を中心にご説明します。
財務会計の連結会計サブシステムには、以下のような機能があります。

【図2】連結会計サブシステムの主な機能

各種マスタ等設定

連結会計サブシステムを利用するためには、会計システムと同様に連結会計として下記のマスタを登録することが必要です。

【図3】連結会計サブシステムのマスタ

登録するマスタ類や設定項目等は、連結会計サブシステムごとに異なるため、導入時に確認が必要です。

連結データ取り込み処理

各グループ会社の仕訳や勘定残高を連結会計サブシステムに取り込む処理です。
連結データの取り込みには、画面からの手動入力、Excel等からのインポート登録、会計システムからのインターフェースデータの登録などがあります。

画面からの手動入力
ユーザーが画面上で連結データとして、財務諸表の各項目や付属明細表の各項目等を直接入力する方法です。通常は、親会社が指定した入力項目に対して、各社会計データの変換加工(人間系が多い)した結果を画面から入力します。なお、画面からの入力は、人間系のオペレーションがほとんどであるため、誤謬等のリスクがあります。

Excel等からのインポート登録
子会社の連結データは、Excel等インポートファイルに入力することが一般的です。このExcel等のインポートファイルを通称として「連結パッケージ(PKG)」と呼びます。Excel等の形式は、連結会計サブシステムが用意したインポートファイル形式に準拠します。インポート登録は、連結PKGを親会社に送付して親会社が登録する方法と、子会社が直接画面から登録する方法があります。なお、Excel等からのインポート登録は、人間系のオペレーションがほとんどであるため、誤謬等のリスクがあります。

会計システムからのインターフェースデータの登録
会計システムから連結に必要なデータを出力し、それをインターフェースデータとして連結会計サブシステムに直接取り込む方法です。会計システムのデータから連結データへの変換は下記の2つがあります。

(1)連結会計サブシステムの外で、会計システムデータを連結システムデータに変換して、変換後のデータを取り込む
(2)会計システムからの元データを連結会計システムに取り込み、連結会計システム側で変換する

【図4】連結データへの変換パターン

データ変換のためには、データ変換テーブル(コード等の読み替え表)を事前にマスタ登録しておくことが必要です。また、データの送受信変換等については、通常ETLツールなど用いて連結会計サブシステムのAPIを通じて行います。IT統制を的確に担保していれば、インターフェースデータからの取り込みが最も信頼性が高いといえます。

※ETLツールとは、データ抽出(Extract)、変換(Transform)、ロード(Load)の3つのプロセスを自動化するソフトウェアです。

データ取り込みステータス管理
各社がどのデータを登録(取り込み完了)したかのステータスを管理する機能です。
各子会社ごとに取り込みのスケジュール等を登録して、アラーム等を出すものもあります。

連結処理

各個社の連結データから連結決算データを作成する処理です。連結処理の結果は連結仕訳として計上されます。連結処理が自動で行えない場合や修正する必要がある場合は、画面から連結仕訳を入力します。

資本連結
親会社の投資と子会社の純資産を相殺消去します。
親会社が投資した子会社の株式と、子会社の純資産を相殺し、その差額を「のれん」として計上します。親会社の持ち分以外は、非支配株主持分として計上します。
(借方)純資産(子会社) XXX (貸方)投資勘定(親会社) XXX
(借方)のれん      XXX (貸方)非支配株主持分   XXX

資本連結処理のためには、親会社の投資履歴(持ち分比率、持ち分額等履歴)や、子会社純資産履歴等を事前に登録することが必要です。

内部取引消去
グループ内の会社間で行われた取引を消去(相殺)する処理です。
売上・仕入取引の相殺や配当金の相殺などが代表的です。
(借方)売上(子会社A) XXX (貸方)売上原価(子会社B) XXX

内部取引消去処理のためには、取り込んだ連結データ(損益取引)にグループ会社情報(取引先)が付与されていることが必要です。

債権・債務消去
グループ内の会社間債権と債務を消去(相殺)する処理です。
売掛金・買掛金の相殺や貸付金・借入金の相殺などが代表的です。
(借方)買掛金(子会社B) XXX (貸方)売掛金(子会社A) XXX

債権債務消去処理のためには、取り込んだ連結データ(債権・債務)にグループ会社情報(取引先)が付与されていることが必要です。

未実現利益消去
グループ会社間の損益取引で取引された資産が、グループ内に存在する場合の未実現利益を消去する処理です。グループ間で売買された棚卸資産や固定資産に含まれる未実現利益が代表的です。
(借方)売上原価(子会社B) XXX (貸方)棚卸資産(子会社B) XXX

未実現利益消去処理のためには、グループ会社間取引の資産残高や未実現利益(利益率)などが未実現消去処理の前に登録されていることが必要です。

連結残高処理

連結仕訳が入力されると連結会計サブシステムの連結残高が更新されます。連結残高の更新タイミング等は、連結会計サブシステムで異なるため、導入時に確認が必要です。また、連結残高をベースに連結財務諸表(P/L、B/S、C/F)や、付属明細表等のレポートが作成されます。レポートの種類等は、連結サブシステムで異なるため、こちらも導入時に確認が必要です。

明細データ蓄積

連結会計サブシステムへの取り込みデータは、各社ごとのサマリーされたデータが一般的でした。
しかし、各種観点から分析を行うにはサマリーデータでは不十分であることから、昨今では仕訳明細データや残高明細データを取り込める連結会計サブシステムもあります。

【図5】明細データ取り込みのイメージ

ただし、明細データ蓄積は、保持できるデータ量、保持しているシステム環境、データ変換方法等が連結会計サブシステムで異なるため、導入時にどのようなことがどこまでできるか確認が必要です。

導入上のポイント

ERPや会計パッケージも連結会計サブシステムをもっているものもあります。しかし、連結会計サブシステムの専用パッケージもあり、日本では連結専用パッケージを利用していることが多いようです。
会計システムの導入にあたっては、連結会計サブシステムを同一の提供企業から購入するか、会計システムとは別の提供企業から購入するかは、自社の要件を踏まえて検討することが重要です。

まとめ

今回は、ERPや会計システムパッケージによる「会計システム刷新」のキホンのキとして、会計システムにおける連結会計サブシステムについてご紹介しました。今後の会計システム刷新は、ERPや会計パッケージに限らず様々なクラウドサービスやAIサービスを活用して「真に経営に資する情報システム」として実現する必要があります。個別のERPや会計パッケージ、クラウドサービスの活用のポイントについては、是非レイヤーズ・コンサルティングにお問い合わせください。

ソリューションに関するオンライン相談ソリューションに関するオンライン相談 最新情報をお届け!メルマガ登録最新情報をお届け!メルマガ登録
いますぐ会計システム刷新事例を見る

お仕事のご相談や、ご不明な点など、お気軽にお問い合わせください。
セミナー開催予定など最新ニュースをご希望の方はメルマガ登録をお願いいたします。