Z世代とコロニーマーケティング(2)
共感マーケティング

◆この記事の要約

Z世代の消費行動において、共感を軸としたコロニーマーケティングが注目されています。
そこで本記事では、Z世代の特徴と共感マーケティングの手法を解説し、企業が効果的にターゲット層とつながるための戦略を紹介します。Z世代の価値観やデジタルネイティブとしての特性に対応したマーケティング施策の理解に役立つ内容です。

▼注目ポイント▼

  • Z世代:1990年代後半から2010年代初頭に生まれたデジタルネイティブ世代。
    価値観や消費行動が従来世代と異なる。
  • コロニーマーケティング:共感を基盤にしたマーケティング手法で、ターゲット層のコミュニティ形成を促進し、
    自然な情報拡散を狙う。
  • 共感マーケティング:消費者の感情や価値観に寄り添い、ブランドと顧客の信頼関係を構築する戦略。
    Z世代に特に効果的。
  • デジタルネイティブ:インターネットやSNSを日常的に活用し、情報収集やコミュニケーションを行う世代。
    マーケティング施策の重要なターゲット。
スマホネイティブといわれる新しい消費者層「Z世代」。その情報発信力・トレンド構築力には計り知れない力があり、彼らの消費志向や価値観によって、購買動向は全体として大きく変化しています。そこで本記事では、その消費行動の特徴とマーケティングのポイントをご紹介します。

Z世代とは誰なのか

前回の記事『Z世代とコロニーマーケティング(1)コロニー点火型消費行動』では、Z世代が複数のコミュニティ(コロニー)に所属・活動し、そこを起点に購買行動を起こすという特徴についてご説明しましたが、今回はその購買行動の詳細について深堀りしていきたいと思います。

Z世代の購買行動においては、「ときめいたらその場で比較せずに購入」「よいと思ったものにはプレミアム価格をいとわない」など、機能面よりも情緒面を重視して購買を行う傾向があります。しかし、それ以外の消費に関してはリスク意識が高く、コスパ・タムパ(タイムパフォーマンス)にシビアな態度を取り、時間・お金の支出をミニマムに抑えるリスク回避行動が見られるという特徴があります。それを踏まえ、いかに情報過多の時代の中でZ世代にアプローチし、生み出したトキメキを購買につなげるのかがポイントになります。

そこで次章より、前回の記事内でご説明した以外のZ世代の特徴である「 ③価値観起点の購買」「④実店舗離れの傾向」から、コロニーマーケティングのポイントを事例含めご説明してまいります。

Z世代の特徴③ 価値観起点の購買

Z世代の「こだわり」の価値観は、同じ価値観を共有するコミュニティに影響を受けながら醸成されていきます。検索のファーストチョイスについては、従前はググる(Google)が一般的であったのに対し、タグる(Instagram)に変化したことで「信頼できる情報に頼りたい」ニーズが高まっています。
企業からの一方通行でパーソナライズされていないマス向けのコミュニケーションではなく、リアルなユーザーの声をZ世代は重要視する傾向があります。

これは、SNSの普及により、販売者と購入者の距離が近くなることで起こった変化といえるでしょう。
Z世代には特に動画コンテンツの人気が高く、TikTokやInstagramの短い動画や、YouTuberのレビュー動画から、その発信者のライフスタイルを通じて、気になる商品やサービスに出会っているようです。
自分と似た価値観の人の購買行動やライフスタイルに同調し、自分の個性としていくような「価値観起点の購買」がZ世代の大きな特徴といえます。

Z世代の特徴④ 実店舗離れの傾向

近年はDXの発展により、「いつでも」「どこでも」「買いたいと思った瞬間に」購買できる仕組みが整備されてきています。Z世代の特徴として他世代と比べ、ソーシャルコマース(SNS上で完結するショッピング)や、ボイスコマース(IoT機器を通じた音声ショッピング)など、多様で新しい購買経路により好意的であることが挙げられます。新車販売等これまでデジタルで完結させることが難しいと考えられていた商品やサービスも、どんどんデジタルで完結するものが出てきています。このデジタル完結に慣れ親しんだZ世代が、企業の意思決定者層に増える近い将来、B2B事業においてもデジタルで完結するサービスが求められることでしょう。

Grand View Researchによると、米国のB2B-EC市場の2022-2030年の年平均成長率は18.5%と予測されており、同水準ほどではないものの、日本におけるB2B-EC市場も成長基調です。支払い手段のDX化にともない、Z世代はリサーチする際もオンラインで完結する傾向があり、ミレニアル世代と比較し、実店舗まで足を運ばない傾向が強いという調査結果があります。SNS等から情報収集し、口コミサイト等でのリサーチやインフルエンサーの投稿、Youtubeでの商品レビューを参考にしたうえで購買します。

これらのZ世代の特徴③④から、Z世代の共感・応援欲求をくすぐることと、情報収集~購買までのデジタル完結の仕組み作りをすることが、今後のZ世代マーケティングにおける重要なポイントとなります。

共感を呼ぶオープンプロセス

某シューズブランドの立ち上げにおいて、「実体験を基にした事業構想化」×「環境配慮を前面に押し出した事業構想」が投資家の感情移入ポイントを創出したことで、クラウドファンディングで12万ドルを獲得し、事業を立ち上げた事例があります。商品開発プロセスにおいては、製造~販売~廃棄までに排出するCO2量および商品の部分別使用素材(全て自然素材)を全ての商品タグに記載することにより、購入時のSDGs貢献度を見える化し、顧客の感情移入ポイントを創出しました。

このように、商品やサービスをそのまま提供するのではなく、プロセスごとのストーリーテリング要素を追加することで、顧客の感情移入ポイントを創出し、強固なファンを獲得して、設立5年で売上1,500億円以上の企業へと躍進しています。

【図1】顧客への提供プロセスと共感ポイント

デジタル完結のB2Bサービス

某ドイツのオンライン部品製造販売サービスでは、ウェブサイト上に設計ファイルをアップロードし、個数や素材等の仕様を決めると、全世界の3Dプリントサービスを請け負う工場から見積り金額・納期を生成し、発注することができます。従来は詳細な設計や仕様についての合意に多大な時間を要していましたが、オンラインでやり取りすることで発注をスピーディーに完了させることが可能となりました。

また、某スポーツ用品のメーカーでは、このサービスを使用し、新しい製品開発の着想~最終製品化までを3か月で完了させました。既存の工場ラインを使用すると、金属プロトタイプを作るために数か月かかってしまいますが、オンラインですぐ発注できる3Dプリントサービスを活用し、タフレジンを使用したプロトタイプを作成し、使用感や機能性を確認・微調整することができました。

【図2】完全オンライン発注フローおよび対応ポイント

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この記事の執筆者

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