顧客接点のデジタル化で真価を発揮するデジタルマーケティングの実践
加速する顧客接点のデジタル化
CEB社の調査によると、BtoBでの購買担当者は『営業担当者と会う前に購買プロセスのうち57%まで終わっている』ことが明らかになり世の中に衝撃を与えましたが、この傾向はコロナ禍の影響で間違いなく拡大しています。
さらにGartner社の調査によると、BtoBでの購買活動の中で『購買担当者がサプライヤーと接触する時間は全体の17%に過ぎない』という結果も出ています。サプライヤーが3社いる場合、1社あたりわずか6%にも満たない接触時間となります。
この顧客の購買行動の変化により、どの業種・業界においても例外なく、オンラインでの顧客タッチポイントの維持、顧客接点のデジタル化への取組みの強化は余儀なくされ、BtoB企業のマーケティング部門やDX部門は真新しいテクノロジーを探索し、採用・導入を推進しているのが実態です。
【図1】BtoBビジネスにおける顧客購買行動の変化
デジタルマーケティングで成果を得られない要因
デジタルマーケティングへの取組み強化が急務となり、真新しいマーケティングツールに魅了され導入したり、競合が利用しているからという理由で同じツールを導入したりするものの、思うような成果を出せている企業は少ないと言えます。実際にデジタルマーケティングの取組みを進めているBtoB企業の内、サービス業では50%、製造業に至っては22.6%しか成果を実感していないという結果も出ています。
ではなぜ思うような成果が得られないのでしょうか。弊社のクライアントからも実情を伺ってみたところ様々な要因が挙げられましたが、主に4つの要因に集約されると考えられます。
【図2】デジタルマーケティングで成果を得られない4つの要因
顧客行動の変化を把握することの重要性
そもそもなぜ顧客行動の変化を把握することが重要になってきているかのファクトをご紹介します。
SiriusDecisions社の調査によると、獲得した見込み顧客の内『75%は直近で購買検討には至らない』という結果が出ている一方で、購買意欲がないためフォローを継続しなかった見込み客の内『80%は2年以内に競合企業から製品を購入している』という結果が出ています。すなわち獲得した見込み客の60%は競合企業に流れていることになります。これも衝撃の調査結果ですが、心当たりがあり悔しい思いをした営業担当者の方はたくさんいるのではないでしょうか。
このような状態を未然に防ぐためにも、マーケティングオートメーション等のデジタルテクノロジーで顧客行動の変化を常時把握し、適時にアクションを講じることが重要となり、デジタルマーケティングの真価を発揮することが可能になります。
【図3】放置した見込み顧客が競合に流れる割合
マーケティング施策へのテクノロジーマッピング
顧客接点を中心としたマーケティング変革が急務となっているのは理解しているものの、個々の改善施策が山積みになっており全方位で取組むリソースがない中で、いったいどこからデジタルマーケティングを強化するべきか悩んでいるマーケティング担当者も多いのではないでしょうか。
まずは顧客行動プロセスとマーケティング施策のマトリックスに自社が利用しているデジタルソリューションをマッピングし、デジタルマーケティングの全体像を明らかにすることが必要です。まだ自社では未導入のソリューションもマッピングしておくことも重要です。ソリューション間の連携も明確にし、欠落や重複がないか確認が必要です。
次にマーケティング施策の優先度を検討します。施策の優先度の考え方としては、売上増加により早く貢献できる施策から取り組むことが望ましいです。施策の優先度が決まると優先的に見直すべきデジタルソリューションも決まります。
この取り組むマーケティング施策を決めてから適切なソリューションを選ぶ手順が重要なのですが、弊社のクライアントでも散見されるのがデジタルソリューションから優先度を検討するアプローチです。未導入のソリューションがどうしても特効薬に見えてしまい、導入を進めてしまった結果、十分な成果が得られなかった改革が多く発生しているため注意が必要です。
【図4】顧客行動×マーケティング施策へのテクノロジーマップ
デジタルマーケティング変革の進め方
デジタルマーケティング変革は、①計画フェーズ、②実行フェーズ、③運用フェーズに分けて進めます。
- 計画フェーズでは、まず現状の実態・実力を分析した上で、戦略シナリオ・カスタマージャーニーマップをアップデート、テクノロジーマップを作成し戦略を具体化します。具体化したマーケティング施策を基にソリューションを選定し、実行計画を策定します。
- 実行フェーズでは、選定したソリューションの導入(導入済みの場合は機能改修)と必要に応じてパイロットで有効性を検証します。また上述で成果を得られない要因でも挙げているように、改善効果を定常的に検証するプロセスを事前に設計しておくことが重要です。
- 運用フェーズでは、設定したKPIに目標値を設定し、運用状況をモニタリングします。モニタリングはできる限り短いサイクルで、計測~分析~改善のプロセスを回すことが重要です。
顧客の購買プロセスにおいては今後もデジタル化は進行し、デジタル完結する未来もそれほど遠くないと予想されます。ビジネス環境の変化に合わせて顧客接点のデジタル化を再構築し、高い次元でデジタルマーケティングを実践することで、持続的な成長への貢献が期待できます。
【図5】デジタルマーケティング変革の進め方(例)
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