顕在化スキルよりも「潜在力」に注目しませんか?
人的資本経営がなぜ注目されるのか
当社では、「人的資本経営」に関する問い合わせが急増しております。なぜここまで問い合わせが増えているのでしょうか。
人的資本経営が注目される背景として、1つ目は株主資本主義からステークホルダー資本主義への変換があります。多様性(ダイバシティ)、従業員エンゲージメントが注目されるように、ステークホルダーとしての従業員に関わる内容が重視されるようになりました。
2つ目として非財務資本への評価があります。非財務資本の代表が人的資本となります。
3つ目としてVUCA時代においてイノベーションが非常に強く求められるようになったことです。正解のない時代にはイノベーションが必要です。そのイノベーションはヒトが生み出すものです。
このような3つの理由から人的資本が非常に注目されております。
【図1】人的資本経営が求められる背景
実は開示が求められるということに対応するために、開示対応をどうすれば良いかという問い合わせも増えております。その際に我々は最初にお聞きします。「その開示は何のためにやるのでしょうか?」と。開示はあくまでも手段です。開示が目的化してしまっている場合には、プロジェクトを進めても、どうしても途中でスタックしてしまいます。最初に人的資本経営強化のために、目的をプロジェクトメンバーでしっかりと定めていくことが非常に重要となります。
経営戦略と人財戦略の連動
人的資本経営は、人財を経営において重要な資本と捉えて、人財価値の向上を持続的に支える「人財戦略」を通じて、人財を活かし、企業価値を高めていく経営手法となります。よって経営戦略と人財戦略の連動が重要となってきます。この2つをしっかりと掛け合わせていくことで、人的資本経営、企業を動かす力になっていきます。経営戦略を立案していく際に、人財戦略を一緒に検討していくことがポイントとなります。
経営戦略と人財戦略を掛け合わせる際に、今までのように、経営戦略を立案し、戦略に従って組織を設計し、組織に人を当てはめていこうとすると、どうしても人財の『顕在化したスキル、能力』に注目して配置してしまいます。
そこで経営戦略を立案する段階から選抜メンバーを入れて、検討していくことで、目指す姿をその選抜メンバーと共有しながら進めていくことができ、最終的に経営層と一緒になってグランドデザインを描くことができます。このようにしていくことで、経営戦略が選抜メンバーの中で腹落ちすることとなり、やらされ感がなくなり、自分事化していきます。
この時点ではスキルや能力が低い、もしくは顕在化していなくても、その選抜メンバーの『潜在力』に期待して、施策を実行していくために配置をしていきます。
今はVUCA時代で変化も大きい中、各現場で判断してスピード感を持って進めていく必要があります。ヒトの顕在的な能力・経験だけを頼りにするのではなく、「潜在力」に期待し最大限に引き出し活かしていくことが、勝ち残っていく企業の条件となります。
【図2】顕在力から潜在力へ
潜在力を活かして勝つための人事部門の役割
潜在力を活かして、企業として勝ち残っていくために、人事部門としての役割はどのようなものがあるのでしょうか。
1つ目は多様な人財を獲得することです。
そのためには採用のあり方そのものを抜本的に変えていく必要があります。
2つ目は、評価制度の見直しです。
今までのように2:6:2の法則のように、上位2割のリーダー的存在が中間層6割の方々を動かしていくことを前提とした評価制度では通用しません。6割の方も、下位2割の方も様々な価値観を持っており、イノベーションに必要な潜在力を持っています。今後はそれらを活かしていく必要があるという認識のもと、評価制度自体も多様化していかざるを得ません。
3つ目はそのような多様な人財を「視える化」していくことです。
タレントマネジメントシステムを導入し、どこにどんな人財がいるのかを可視化し、最高のパフォーマンスが出せる組み合わせでのチーム組成をしていくことが重要となります。そのためにも重要になってくるのが、単に顕在化している、目に見える資格やスキル、経験だけではなく、目に見えづらい価値観や、軸、好き嫌いなどから期待される潜在力を引き出すようなタレントマネジメントにしていくことです。
【図3】人事部門の役割
自分らしいキャラクターを表出
潜在力を引き出していくために、ありのままの自分を発揮することが大事です。ありのままの自分を発揮するために、自分が何者かを知ることからスタートとなります。
当社が支援をさせていただく場合には、様々なアプローチで自分のありのままのキャラクターを表出していただきます。
① 自分史
今までの人生を振り返り、モチベーションの高低、印象に残っている出来事、言葉、出会いなどを振り返り、自分が何を大切にしているかを理解します。
② マイパーパス・ワークショップ
一番イキイキすることはなにか、今までどんな困難に挑戦したことが今の自分を形づくってきたか、といったことをワークショップ形式で議論し、自分が何者かを理解していきます。
③ Assimilation
自身のいない場でみんなに自分のことを語ってもらい、その内容をフィードバックしてもらうことで、自分を理解します。
【図4】自分表出の様々なアプローチ
このようなアプローチによって、「自分ブランディング」そして「自分磨き」をしていただきます。その先には、今の仕事の中で自分の価値観・強みを活かせることを明確にし、自分自身が輝けるポストを自らの意思で選択・挑戦できる環境を会社側で用意し、個人の挑戦を支援していきます。
その結果、「自分の軸に基づいて、好きなことに夢中になって、個がイキイキし、人で勝つ」につながっていくと我々は考えています。このような自分ブランディング・自分磨きという風土・ムーブメントをつくり、各個人の自分に関するデータを蓄積していくと、意味のあるタレントマネジメントとなり、最強の人事DXに近づいていけると考えます。
企業目線でタレントマネジメントシステムを入れ、そして顕在化したスキルなどのデータを入れて、最初に入れたまま更新されず、結局使われない、といった例が多々あります。「ヒト」のデータは、変化と本音を如何にタイムリーに溜めていけるか、その流れをつくるか、そしてそれを活かせるか、ということが肝だと考えます。
ご興味を持っていただいた方は、事例も交えて詳細についてお伝えいたしますのでお問い合わせいただければ幸いです。
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