KPIマネジメントを強化するしくみ

多くの企業が活動を展開する上で、部門ごとに目標を設定しています。営業部門であれば、売上や営業利益、工場などの製造部門であれば、商品の製造個数など様々です。それらの目標を達成するためには、達成度合いを定点観測することが欠かせません。その定量的な数値指標となるのが、KPIと呼ばれる重要業績評価指標です。
現在ほとんどの企業でこのKPIを設定し目標管理を実施していますが、KPIマネジメントによって継続的に大きな効果をあげている企業は少ないのも実状です。
 
今回は、KPIマネジメントを強化するしくみについてご紹介します。

KGI・KPIマネジメントとは

KGI・KPIマネジメントとは、企業や組織の目標達成のために、目標数値となるKGI(Key Goal Indicator)及び、各活動の業績管理指標であるKPI(Key Performance Indictor)を定め、これらをベースに企業運営のPDCAサイクルを回していくことです。

VUCA時代と言われるように企業を取り巻く環境の複雑性や不確実性が増している今日においては、こうしたKGI・KPIによってマネジメントサイクルを回すことによって、環境変化やそれにともなう業績変動にスピーディかつ、きめ細かに対応していくことが重要です。

KGI・KPIマネジメントにおいて多くの企業が抱える問題

KGI・KPIマネジメントを導入しているものの、なかなか大きな効果が上がらない企業が抱える問題は、多くの場合下記のいずれかに該当します。

  1. KGI・KPIの定義が不明確
  2. 経営目標とKGI・KPIの関係性に整合が取れていない
  3. 設定されたKGI・KPIが多すぎてマネジメントしきれていない
  4. KGI・KPIが更新されていない
  5. KGI・KPIの責任者が不在で十分な改善活動が行われていない

【図1】KGI・KPIマネジメントについて多くの企業が抱える問題

今回は特に「5. KGI・KPIの責任者が不在で十分な改善活動が行われていない」という問題に着眼し、強固なマネジメント体制構築に必要なしくみの例をご紹介します。

KPIマネジメントを強化するしくみ

①KPIオーナー制

一つ目は、KPIオーナー制の導入です。
期間経過とともにKPIの改善活動が形骸化することを防ぐには、KPIの実績値はただ事業行為の結果として自然にできるものではなく、誰かが責任を持ち数値を作りこんでいくのだと腹を決め、目標達成に執着して取り組んでいく必要があります。
そのためには、KPI毎の監視・改善・報告に対して誰が責任を負うのか明確に決めておく必要があります。その責任者を「KPIオーナー」として定めるのがKPIオーナー制度です。
KPIオーナーは本部・拠点それぞれで設定し、KPIオーナー間で連携を取りながら、その達成(水準を守る)に向けて活動します。

【図2】KPIオーナー制

②ICTによる数値の見える化

二つ目は、KGI・KPIの実績集計、アラート検知、報告データ作成等のKGI・KPIマネジメントのシステム化です。
システム化により担当者は未達要因分析、施策検討・実施といったコア業務により集中することができ、KGI・KPI達成のためによりスピーディできめ細かい対応が可能になります。
KGI・KPIダッシュボード構築によりタイムリーな数値のモニタリングや指標のドリルダウン分析も可能になり、さらにシミュレーション機能を持たせることで損益シミュレーションの精度・スピードを上げることもできます。
必ず最終的なシステム化まで視野に入れ、KGI・KPIマネジメント導入計画を立てるべきです。

【図3】ICTによる数値の見える化

③KMO(KPI Management Office)の設置

三つ目は、KMO(KPI Management Office)の設置です。
KMOはKPIマネジメントを個別の動きにさせないためのPMOとして活動し、KPIオーナーに継続的改革をやらせきる責任を負います。
前述のKPIマネジメントシステムで各KPIを監視し、各KPIオーナーから改善活動報告をとりまとめることで部門全体のKPIマネジメントの状況を把握し、KGI達成に向けた活動を支えます。

【図4】KMO(KPI Management Office)

製造業でのKPIマネジメントシステム導入の事例

狙い・背景

あるメーカーでは、海外製造拠点に対して、月次で収集するデータについては標準化を進めており、PLや原価情報は既に管理できていました。しかし、結果のみを収集しているに過ぎず、なぜそうなったのかということについては、データできちんと説明できませんでした。
また、各製造拠点内の管理手法については、拠点ごとにバラバラになっており、確固たる型がありませんでした。その結果、本部から拠点に対して随時様々な問い合わせがなされ、データマネジメント、報告業務が肥大化する事態に陥り、肝心の要因分析、改善施策検討・実施までなかなか手が回らない状態でした。

当社のアプローチ

本部として確固たる思想に基づいた「型(KGI/KPIストラクチャ)」を構築し、各種指標の整理・集約を実施しました。ストラクチャ構築にあたってはROICを頂点としてブレイクダウンすることで現場KPIまでを紐付けました。
また、KMO設置・KPIオーナー制導入により、効率的かつ堅実な業務体制を整え、それを支えるKPIダッシュボードシステムを構築しました。

結果、KGIと紐づいた各部門のKPIの見える化と、強固なKPIマネジメント体制が実現しました。

今回は、KPIマネジメントを強化するしくみについてご紹介しました。
事例の詳細や貴社でのお悩みなど、是非お問い合わせください。

【図5】事例:大手製造業におけるKPIマネジメントの取り組み

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