人的資本

1.人的資本とは何か

人的資本とは、人材の持つ能力・技能を示す経済学の用語です。能力や技能は、蓄積することができ、各人が蓄積方法の意思決定を行うこともできます。その性質が他の資本である「モノ」や「カネ」と似ているため、「人的資本」と表現されます。なお、旧来から使われてきた「人的資源」という用語の枠組みで、人材は「資源」として大量生産主義における生産力向上のための投入物とみなされていました。したがって、「人的資本」と「人的資源」の意味合いは、人の成長可能性への期待という点で大きく異なります。
また、人的資本の蓄積には、投資が不可欠です。能力や技能を向上させるためには、時間や教材費といった消費を行います。その結果として、将来の生産性向上を獲得できるという構造です。いっぽうで、資本効率を機械的に上げることができない点で、他の資本とは異なっています。

2.人的資本に関する世界の動向

環境変化著しい現代社会では、企業の製品やサービスの源泉である人的資本が財務資本にもまして重要視されています。特にリーマンショック以来その傾向は顕著であり、ESGへの関心の高まりも相まって、投資家からの人的資本情報の開示圧力は高まっています。2018年12月には国際標準化機構(ISO)が、人材マネジメントに関する初の国際標準ガイドラインである「ISO30414」を公表し、人的資本情報を定量的に開示することを提案しました。また、2020年8月に米国証券取引委員会(SEC)が上場企業に人的資本情報の開示を義務付けられ、人的資本情報をなくしてグローバルな事業を展開することは難しくなってきています。
人的資本情報開示の世界トレンドは日本にも既に入ってきており、人材戦略の変革が求められています。

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