SAP(エス・エー・ピー)
SAPとは
SAPとは、1972年にドイツで設立されたソフトウェア会社です。正式名称は「SAP SE」です。ガートナー社が発表した「Market Share Analysis:Supply Chain Management Software, Worldwide, 2020」によると、SAP SEはサプライチェーン・マネジメント・ソフトウェアの収益において、世界シェアNo.1を誇っています。
また、SAP社が提供するERPのことを「SAP」と呼ぶ場合もあります。SAP社はERPの他にも、CRM、BI、SaaS型サービス、PaaS型サービスなどのERPを支える業務ソリューションやシステム基盤を提供しています。
SAPのERPの歴史
SAP社の代表的な製品であるERPは、1973年に登場した「SAP R/1」に始まり、「SAP R/2」、「SAP R/3」、「SAP ERP」(「SAP ECC」)、「SAP S/4HANA」と進化してきました。また、プラットフォームもメインフレームからUNIXサーバー、Windowsサーバー、そしてクラウド、SaaSへと進化し、SAP SEはメジャー・クラウドベンダーに成長しています。
現在、世界で最も使用されているのは「SAP ERP」ですが、2027年にサポートが終了してしまうため、後継の「SAP S/4HANA」への移行がユーザーにとって重要な課題となっています。
SAP S/4HANAの概要
SAP社の最新のERPであるSAP S/4HANAは2015年に登場しました。インメモリーデータベースの「SAP HANA」を基盤としたことで処理が高速化し、リアルタイムな分析が可能となりました。また、ユーザー目線で設計された新しいUIである「SAP Fiori」を実装し、シンプルで直観的な画面デザインや、マルチデバイスへの対応を実現しています。
SAP S/4HANAの長所、短所
他社のERP製品と比較して、SAP S/4HANAの長所となるのは、業務効率化によるコスト削減が期待できる点です。SAP S/4HANAは世界中で使用されているため、世界標準の業務プロセスに合わせて設計されています。SAP S/4HANAの導入に合わせて業務改革を行うことで、自社の業務プロセスを効率化し、無駄な業務を削ることでコスト削減につなげることができます。
一方、弱みとしては導入期間が長くなってしまう点、導入コストが高くなってしまう点、操作が難しく慣れが必要な点があります。導入期間、導入コストをできるだけ抑えるためには、可能な限り追加開発を減らして業務を標準機能に合わせる、いわゆる「Fit to Standard」が重要となります。
SAP S/4HANAがもたらす価値
SAP S/4HANAを導入することで、経営においてはリアルタイムな可視化、分析、意思決定を、また業務においてはリアルタイムな受発注情報、在庫情報などの把握を行うことが可能になります。さらに投資家や取引先に対しても、リアルタイムな情報の提供が可能になり、時代とともに変化するステークホルダーの要求に応えるERPとして進化を続けています。
SAPの普及を支えるSAP認定コンサルタントおよびパートナー
SAP ERPのサポート終了が迫る中、SAP S/4HANAへの移行を支援するための人材が不足しているといわれています。SAP社は、SAP社が認定するパートナーやコンサルタントを拡大していくことにより、SAP S/4HANAへの移行を後押ししていく姿勢を示しています。SAP認定コンサルタントは、SAP社の製品に関する知識と技術について、SAP社が実施する試験により認定されています。
当社でも多くのコンサルタントがSAP認定コンサルタントの資格を保有し、お客様のSAP S/4HANA導入のご支援に携わっております。