2023/07/11

業務プロセスとは?可視化や改善の方法・成功事例を紹介

#事業戦略
業務プロセスとは、組織における業務の流れや手順を指します。人体で例えるのなら、血管と同じ役割を果たします。血流が悪くなれば、健康に悪影響を及ぼし、さまざまな病気の原因となります。それと同様に、組織内において業務が滞れば、生産性の低下を招き、ひいては利益を圧迫しかねません。つまり、業務プロセスにおいて、スムーズな体制を継続して整えることが、健全にビジネスを進めるエンジンとなるのです。ここでは、ややもすれば無駄が常態化したり、属人的になりがちな業務プロセスの標準化や改善策、その手順について解説します。

1.業務プロセスとは

業務プロセスとは、各々の組織における業務間のつながりや手順です。従業員の職務や情報システムの管理を組み合わせ、一連の仕事の流れとしてデザインしていきます。長く企業活動を続けていると、どうしても業務プロセスに無駄や非効率が出てきてしまいます。組織のパフォーマンスの最大値を引き出すためには、常態化する無駄や非効率を見極め、“新陳代謝”を繰り返していくことが欠かせません。
 
業務プロセスの改善では、現状の業務の手順、従業員の職務、既存システムなどを前提に問題点を洗い出して、長期的な改善を目指していきます。一方、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)では、経営戦略の実現や経営目標の達成に向けて、現行の組織や社内制度、ルールを前提とせず、ゼロベースから仕事のやり方や流れを組み直し、再設計していきます。

2.業務プロセス改善の目的

業務プロセスを改善する目的は、その業務を遂行する部門や組織の生産性を高めることにあります。具体的には、いままでよりもミスや手戻りをなくしつつ、業務スピードを高めると同時に、業務の質も高めていきます。業務にかかるコストを抑えることも目的の一つです。机上の論理や理想論ではなく、実際の現場の状況に即し、実行可能なプロセスにしなければ、実効性は上がりません。
 
改善活動を進めるにあたっては、目的や最終目標を明確化する必要があります。具体的には既存の業務プロセスのどこに問題があり、その問題を解消するためにはどのような改善が必要なのかを検討していきます。その際、関連する部門だけでなく、取引先など外部組織を含めて、どのような影響を及ぼす可能性があるのかも考慮しなければなりません。その上で明確な目的や目標を設定してください。

3.業務プロセス改善のステップ

ステップ1/業務項目の洗い出し

業務プロセス改善の第一歩は、どの工程でどのような業務が行われているかを洗い出すことです。元々、各業務の内容が決まっていたとしても、年月を経るにつれ、担当者によってカスタマイズ化されていたり、余分な手間が加わっていることが少なくありません。まずは、現状のすべての業務項目や内容を把握することが先決です。

ステップ2/業務工数の視える化

業務項目の洗い出しが終われば、それらの各業務が本当に必要なのか、または、改善が必要な業務なのかを精査していきます。その際、業務プロセスのチャートを作成し、業務プロセスの流れを可視化することがポイントとなります。全体の工数を把握した上で、俯瞰して流れを見直すことで、流れが滞る原因となっている業務やその原因を特定することができます。

ステップ3/現状分析と改善ポイントの抽出

次に業務プロセスのチャートを基に現状分析をした上で改善ポイントを抽出していきます。そのためには、業務プロセス全体の流れを把握し、問題の原因を見極める必要があります。問題の原因は1つとは限りません。根本的に改善するためには、現場からのヒアリングも交えつつ、じっくりと時間をかけて分析することが重要です。

ステップ4/新たな業務プロセスの再設計

抽出した改善ポイントを基に、新たな業務プロセスを再設計します。そして、抽出課題に優先順位をつけ、どの問題から解決すべきかを検討していきます。設計した業務プロセスの運用を開始し、その中で見えてきた効果や成果をモニタリングしつつ改善を繰り返していきます。PDCAサイクルを回し続けて長期的な視点に立って改善活動を行っていきましょう。

4.業務の可視化

業務を可視化する手段としては、2つの方法があります。実際に業務中の人の横に立って時間をストップウォッチで計測する実測法と、アンケート回答法です。また、アンケート回答法の中にも、業務を行う当事者一人ひとりが回答する方法と、業務の管理者が当事者に代わって答える代替回答法があります。
 
アンケート回答法で質問する業務の対象も主に2つに分かれます。1年間を通してすべての仕事について質問する方法と、特殊な業務や季節性の業務を除いた平常業務だけに質問を絞る方法があります。
 
どの方法にもメリットとデメリットがあります。一人ひとりの業務を把握できる実測法は、細かく客観性も高い情報を取得できる一方、膨大な工数とコストがかかってしまいます。アンケート法も同様で、一人ひとりから回答してもらうのが理想的ですが、こちらも時間とコストの負担が大きくなります。業務の管理者に平常業務に絞って回答してもらう方法が最も手間を省けますが、現場の意見が反映されていなかったり、回答に疑問符がつくケースが多く、信頼性は低下します。したがって、現場の負担やコストを勘案した上で最適な方法を選択することが大切です。

5.取り組み事例

受け身の調達から攻めの調達への変革

①クライアントの課題

製品のデジタル化・複雑化に伴い、外製部品比率が高まり、付加価値が社外に流出している状況に置かれていました。経営層から、『受身の調達』からデジタルテクノロジーを活用した『攻めの調達』への移行を求められたのを受け、調達改革プロジェクトを立ち上げ、次期中期経営計画の中で調達の付加価値向上に取り組むこととなりました。

②レイヤーズのアプローチ

最初のステップとして、その企業の実力(As-Is)を徹底的に分析しました。その結果、常態的にルーティーン業務に忙殺され、仕事が蛸壺化し、調達のフロントローディングが十分行われていないことが判明しました。その上で、次期中期計画で目指すべき姿(To-Be)を徹底的に議論し、3つのテーマを掲げ、調達改革を推し進めました。
 
1つ目のテーマが要素技術開発への調達のフロントローディング。2つ目が情報武装調達の推進(SRM(サプライヤーリレーションシップマネジメント)の導入)。3つ目がデジタルテクノロジーを活用した業務の効率化です。全体的な戦略を立案するとともに、製品化、量産にあたって管理や実施の詳細な項目を設けました。例えば、製品化実施の項目では『新規サプライヤー探索』、量産実施の項目では『サプライヤー生産改善』など、項目ごとに到達すべきレベルを設定しました。
 
組織的には開発部門からの人材異動を行うとともに、複数事業に分散していた調達部門を調達本部として統合し、調達ナレッジの集約と業務の効率化を図りました。

③ 成果と顧客満足

当初は組織の壁が存在し、『受身の調達』であったため、調達と開発・生産との部門間で温度差がありましたが、調達部門の意欲や人事異動によって、開発・生産部門にも積極的な姿勢が波及し、改革を推進することができました。SRMを導入し、従来メールや電話で行っていたサプライヤーとのやり取りが効率化されたことで、サプライヤー側の効率化にもつながり、事業継続計画への反映にも迅速に対応できるようになりました。

ビジョン達成に向けた戦略的ワークスタイル変革

① クライアントの課題

コア事業が縮小トレンドにある外部環境の中、将来を見据えた中期ビジョンを経営として打ち出しました。そして、この中期ビジョン達成のためには、従業員の一人ひとりの革新マインド・スピードを重視した風土への変革が必要でした。一方、これまでの安定を重視した組織風土が根強く、社員一人ひとりの行動変革を促す総合的で視座の高い視点からの働き方変革が求められていました。

②レイヤーズのアプローチ

働く環境の改革から従業員のマインドチェンジを促そうと、『働く場と道具』の変革に着手しました。具体的には、『オフィス空間』『社内業務プロセス』『ITツール』の再構築です。島型・固定席だったオフィスは、社員の動線が無意識的に制約されていましたが、フリーアドレス化に変更することで、部門を超えた社員同士の交流を促しました。社員の動きを固定化する紙文書から徹底的にペーパーレス化を図り、場所と時間に縛られない働き方を実現しました。さらにより自由に働けるようにするため、さまざまなデジタルツールを刷新し、従業員がパフォーマンスを発揮しやすい環境を整えていきました。

③成果と顧客満足

部門や肩書に縛られた固定的な働き方だった従業員の方々は、物理的な制約条件をなくすことで、自律的かつ主体的に働く姿勢への変化が見られました。今後は“サラリーマン”ではなく、自律した“ビジネスアスリート”として、よりパフォーマンスを発揮できる進化した働き方へ飛躍する素地を築けました。

6.まとめ

業務プロセスは、一度設計しても、業務を行う人や業務を行う部署ごとに、細かな変化が加わったり、どうしても属人化してくるため、非効率に陥りやすいです。最適な環境を保ち続けるためには、一連の流れを可視化した上で定期的かつ継続的に改善活動を行っていくことが必要です。改善にあたっては、当事者となる現場の理解は欠かせません。現場の意見に耳を傾け、改善の理由を共有した上で推し進めていきましょう。

この記事の執筆者

佐藤 隆太
佐藤 隆太
株式会社レイヤーズ・コンサルティング
事業戦略事業部 副事業部長
マーケティング戦略ビジネスユニット長
マネージングディレクター
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