人事給与業務のオペレーションをAIで省力化する方法
◆この記事の要約
人事のAI活用が「調査分析や文章作成止まり」になっているのは、業務の流れや作業負荷が可視化されていないことが原因であることが多く、本記事では業務の棚卸しを行い、AI等のテクノロジーをどのように適用するか、さらには運用の定着までを、特に日々の業務負荷が高い、勤怠・給与領域で短期効果を出す進め方を解説します。
- 人事AI活用の現状と壁を整理
- 業務一覧化で適用候補を特定
- AI×ツール(RPAやVBAマクロ等)でチェックおよび登録を自動化
- 例外削減とKPI運用で効果を継続
人事DXが止まる理由は「AIの性能」ではない
企業向けAIは、資料作成、情報収集、分析補助などで活用が進み、全社的な生産性向上の手段として定着しつつあります。しかし、人事部門などバックオフィスの実態としては、「使ってはいるが、通常の業務における効果はまだ出ていない」という声が多くなりがちです。なぜでしょうか。
下図では、人事領域でのAIの活用が限定的で、用途がルーティンの周辺業務に寄りやすい状況が示されています。つまり、AIツールの問題というより、人事業務がAIを適用させる形に整っていないことが原因となっています。
人事業務は、各種制度・例外処理・承認が絡み、パターンの多様化が進み、さらには部門や拠点でやり方が変わるといった複雑度が増す傾向にあります。ここを残したままPoCに進むと、結局“担当者の手作業”が残ったり、効率化が進まなかったりする結果となってしまいます。人事DXの起点は、テクノロジーの適用の前にしっかりとした業務の可視化が必要です。
【図1】人事領域でのAI活用の現状(活用率・用途)
業務一覧化で「AIが効く」と「AIが効かない」プロセスを見分ける
AI導入を急ぐほど陥りやすいのが、「とにかく何かに使ってみる」アプローチです。ここで一度立ち止まり、業務を一覧化し、非効率がどこで起きているかを特定する必要があります。下図のように、業務をワークフローに落とし込むことで非効率なプロセスを見極め、AIでサポートするプロセス・タスクを洗い出すことが重要です。実務では、次の観点で棚卸しすると、優先順位が明確になります。
処理件数が多い(勤怠、手当、各種申請)
判断が定型(ルールに沿う/沿わないが明確)
転記が多い(システム間登録、帳票入力)
問い合わせが多い(常に質問や問い合わせが発生)
「AIが効く」プロセスを選別し、早期に成功体験を作ることが重要です。
【図2】業務一覧作成→非効率可視化→AIが効くタスク抽出
AI×RPAの役割分担をする
人事オペレーションで効果が出やすいのは、RPAやVBAマクロ等のツールと組み合わせた自動化で、AIは「読む・要約する・分類する・判断を補助する」などのRPAやVBAマクロ等のツールといった役割分担になります。ここで重要なのは、業務を可視化し、上記役割分担でAIまたはツールでの適用箇所を整理することです。「便利そうだから入れる」ではなく、業務フローを作り替える視点でAI×RPAを置くことが成功の近道です。
【図3】RPAとAI活用の適用例(人事・給与プロセス効率化)
適用例:人件費分析レポート自動化(事例)
下図では、検索メニューに入力するとAIが人事データを分析・集計し、人件費レポートを自動作成する例が示されています。これは「短期に効果を作りやすい」題材です。レポートという出力が明確で、必要データも比較的定型だからです。一方、最初から高度な要因分解や自由度の高い分析を狙うと、設計が複雑になり遅延します。まずは月次定型レポートの安定稼働が優先です。
「まず動くものを作り、継続的に品質を改善する」方が、結果的に投資対効果を高めます。
【図4】AIによる人件費分析レポート自動作成の事例
適用例:人事・勤怠・給与周辺をAI×RPAで省力化し、改善を回す
勤怠修正や給与関連の申請にともなう確認・差し戻し・転記作業は一定期間に業務が集中し、繁忙期に人事が逼迫してしまうことがよくあります。そこで、(1)業務一覧化でボトルネックを特定し、(2)判断やチェックルールを整備、(3)AIによるチェック・分類・判断およびエスカレーションルールの特定、(4)RPAによる基幹システム登録と照合を自動化という順で段階導入を行うことが有効です。
**導入ステップ(現場で進める順番)**
1. 対象業務を選定(件数×定型度×問い合わせ量で優先順位付け)
2. 現状フロー可視化(例外の種類と発生原因まで分類)
3. AI×RPAの役割設計(通常/例外の分岐、KPI定義)
4. 段階導入(小さく開始→対象拡大)
5. 定着化(SLA/KPIレビュー)
【図5】AI化・RPA化を織り込んだ業務フロー全体像(例)
まとめ
人事DXは、業務・データ・統制の設計が絡むため、社内だけで短期にやり切るのは簡単ではありません。実行計画から運用定着までを最短で進めたい場合は、是非レイヤーズ・コンサルティングにご相談ください。設計から実装まで伴走させていただきます。
【出典】
・【図1】:jinger株式会社 「人事労務業務の生成AI利用に関する実態調査」


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この記事の執筆者
職種別ソリューション



